ジーン・ウールの不思議な旅

ジーン・ウールは不思議な女性です。姿を変えて過去にも未来にも現れます。
もしかしたら貴方の友人や奥様かも知れません。

ウトナピシュティム 30

2006-09-10 05:46:30 | ウトナピシュティム
30.
ギルガメシュはこれを聞いて、喜んだ。
ギルガメシュは深淵に通ずる溝を開け、重い石を足に縛り付けた。
その石が彼を深淵に引き込んだ。

ギルガメシュは、いつ終わるとも知れない深い深淵を沈んでいった。
深淵は下るほどに一層闇が深くなった。ギルガメシュの傍らを何かが通り過ぎる。怪物の息づかいが聞こえる。

「おまえは何者だ。」
ギルガメシュは答えない。
「おまえは何者だ。答えなければ生きては帰さん。」
ギルガメシュは答えない。
「返答なくば、力づくでここに留めおこう」
ギルガメシュは強い力に捕らえられた。強い力に締め上げられた。
しかしギルガメシュの3分の2は神々の身体だ。深淵の怪物は引き下がらざるを得なかった。

再び別の力がギルガメシュを襲った。
「おまえは何者だ。」
ギルガメシュは、またも答えない。
「おまえは何者だ。答えなければ生きては帰さん。」
ギルガメシュはまたも答えない。
「返答なくば、やむをえんな。」
ギルガメシュを捕らえた力は、前以上に強い力だったが、深淵の怪物は引き下がらざるを得なかった。

こうしてギルガメシュは深淵の底にたどり着いた。
漆黒の闇の中にあって1カ所光るものがあった。
闇を照らす蝋燭にも似て、それはそれ自身が光を放っていた。

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