ジーン・ウールの不思議な旅

ジーン・ウールは不思議な女性です。姿を変えて過去にも未来にも現れます。
もしかしたら貴方の友人や奥様かも知れません。

ウトナピシュティム 27

2006-09-06 06:42:55 | ウトナピシュティム
27.
彼の妻は、ウトナピシュティムに語った。
「彼にお触れなさいな。この者が目を覚ますように。彼が自分の来た道をやすらかに帰れるように。彼が出てきた門を通って、自分の国に帰れるように。」

ウトナピシュティムは、語った。
「人間はよこしまなものだぞ。彼はお前にもよこしまをはたらこうぞ。
さあ、彼のためにパンを焼き、彼の頭のところに置きなさい。」

彼女はギルガメシュのためにパンを焼き、彼の頭に乗せた。そして彼の眠った日数を壁に記しておいた。
彼の最初の日のパンは乾いてしまった。
第2日のパンはいたみ、第3日のパンはべたつき、第4日の焼き菓子は白くなってしまった。第5日のパンは灰色になり、第6日のパンは焼かれた。
第7の日のパンが焼かれたところで、ウトナピシュティムが彼に触れると、ギルガメシュは眼を覚ました。

目覚めたばかりのギルガメシュは、言う。
「眠りがこの身に注がれるやいなや、すぐさま、わたしに触れ、わたしを起こしてくれたのはあなたですね。」

ウトナピシュティムは、語る。
「さあ、ギルガメシュ、お前のパンを数えてみよ。眠っていた日数がお前にわかろうというもの。お前の最初のパンは乾いてしまった。第2日のパンはいたみ、第3日のパンはべたつき、第4日の焼き菓子は白くなってしまった。第5日のパンは灰色になり、第6日のパンは焼かれた。第7日のパンが焼かれたところで、お前は眼を覚ましたのだ。」

ギルガメシュは、言う。
「ああ何ということだ。不覚にも眠ってしまったのか。
ウトナピシュティムよ。
わたしはどのようにして、どこへ行ったらよいのです。
略奪する者たちが、この身体をしかとつかまえてしまったのです。わたしの寝室には死が腰をおろしています。わたしがどこに顔を向けようと、そこにはただ死があるのみです。」

ギルガメシュは斑点としみの浮き出た、変わり果てた自分の身体を見出したのだった。

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