24-320「室井慎次　敗れざる者」（日本）

オレは約束を守れなかった

　これまで現場の捜査員のために戦い続け、警察の組織改革に挑むなど波乱に満ちた警察人生を歩んできた室井慎次。27年前に青島と交わした約束を果たせなかったことを悔やむ彼は、警察を辞めて故郷・秋田へ帰り、「事件の被害者家族・加害者家族を支援したい」との思いから、少年たちと穏やかに暮らしていた。

　ある日、室井の前に謎の少女が現れる。彼女の来訪とともに他殺と思われる死体が見つかり、室井はその第一発見者となってしまう。

　その少女・日向杏は、かつて湾岸署が逮捕した猟奇殺人犯・日向真奈美の娘だった。（「作品資料」より）

　「踊る大捜査線」シリーズの久々の映画化作品。

　管理官であった室井慎次を主役としたスピンオフ２部作の前編。

　定年前に警察を退職した室井は、故郷、秋田の山里に住んでいる。

　事件の被害者の息子、貴仁と加害者の息子、凛久を引き取り、共に暮らしている。

　そんな彼らの元に、謎の少女が訪れる。

　その少女は日向杏。

　かつての猟奇殺人犯、日向真奈美の娘であることが判る。

　時を同じくして、室井は家の近くで埋められていた死体を発見する。

　その死体を巡り、警視庁からも刑事が訪れ、かつての事件に繋がっていることを知る。

　話は、その死体から捜査が繰り広げられるのであるが、それは結構遅々としたもの。

　どちらかと言えば、室井が共に暮らす貴仁の母親殺害事件に関わる貴仁の想いや、室井の家族としての貴仁や凛久への想いを描く方が多い。

　そして杏が引き起こす家族内の波紋も描かれる。

　果たして、杏の目的が何なのか気になるところ。

　終盤になり、新城の登場によって、室井は捜査の協力をすることになるが、事件捜査の展開はまだまだこれからである。

　随所にかつてのドラマや映画のシーンが折り挟まれ、惜しげもなく青島の姿も映し出される。

　室井の若い姿も。

　事件の顛末よりも室井が家族として暮らす子供たちとの関わりをメインに描いており、ヒューマン・ドラマの色が濃い作品だった。

　ちょっと予想外だったが、後編に向かって盛り上がる感じかな。

/５

監督：本広克行

出演：柳葉敏郎、福本莉子、齋藤潤、前山くうが、前山こうが、松下洸平、矢本悠馬、生駒里奈、丹生明里、松本岳、佐々木希、筧利夫、甲本雅裕、遠山俊也、西村直人、赤ペン瀧川、升毅、真矢ミキ、飯島直子、小沢仁志、木場勝己、稲森いずみ、いしだあゆみ

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