24-135「異人たち」（イギリス）

こんな夜には酒が必要だ

　12歳の時に交通事故で両親を亡くし、孤独な人生を歩んできた40歳の脚本家アダム。ロンドンのタワーマンションに住む彼は、両親の思い出をもとにした脚本の執筆に取り組んでいる。

　ある日、幼少期を過ごした郊外の家を訪れると、そこには30年前に他界した父と母が当時のままの姿で暮らしていた。それ以来、アダムは足しげく実家に通っては両親のもとで安らぎの時を過ごし、心が解きほぐされていく。

　その一方で、彼は同じマンションの住人である謎めいた青年ハリーと恋に落ちるが。（「作品資料」より）

 

　山田太一の小説をイギリスで映画化したファンタジー・ドラマ。

　日本でも原作と同タイトルの「異人たちとの夏」として１９８８年に製作、公開され、そちらも鑑賞した記憶があるな。

　脚本家のアダムが死んだはずの両親と出会い、交流を続ける様と同じマンションに住むハリーと恋に落ちていく様を描いている。

　タワーマンションに１人で暮らすアダムは、孤独を抱えているよう。

　ある日、ハリーがアダムの部屋を訪ね、一緒に飲もうと誘うが、アダムは断る。

　そんなアダムが少年の頃に住んでいた郊外の家を訪ねると両親がかつてのように暮らしており、楽しい時を共に過ごす。

　気持ちが少し晴れたのか、マンションで見かけたハリーを部屋に誘い、恋に落ちることになる。

　そんなアダムの様子が描かれていくが、やはり何故死んだ両親と交流できるのかが気になるところ。

　アダムが住んでいるタワーマンションには、ハリー曰く、２人しか住んでいないという。

　これまた怪しい感じである。

　ミステリアスな要素を孕みながら、物語は進んでいく。

　果たして、アダムと両親との交流は続くのか、ハリーとの関係はどうなるのか。

　ラストに明かされる真実からアダムの状態が予測されるな。

　果たして、アダムは異空間に迷い込んだのか、それとも死を迎えようとしているのか。

　ミステリアスな話が興味深いファンタジー・ドラマであった。

/５

監督：アンドリュー・ヘイ

出演：アンドリュー・スコット、ポール・メスカル、ジェイミー・ベル、クレア・フォイ

於：グランドシネマサンシャイン池袋