猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

誰のせいでもない

2017-03-28 21:16:53 | 日記
ドイツ・カナダ・フランス・スウェーデン・ノルウェー合作映画「誰のせいでもない」
を観にいった。
作家のトマス(ジェームズ・フランコ)はスランプ状態で、恋人サラ(レイチェル・マクア
ダムス)との仲もぎくしゃくしていた。ある雪の日、トマスが車を走らせていると、突然
子供が車の前に現れ、急ブレーキをかけた。車を降りると、車の前で虚ろに座り込んで
いる幼い少年がいた。ケガがないのを確かめてホッとしたトマスは、子供を近くの家ま
で送る。しかし、ドアを開けて出てきた母親ケイト(シャルロット・ゲンズブール)は、子
供に「ニコラスは?」と聞くと、半狂乱になって飛び出していった。

カナダを舞台にしたサスペンスフルな人間ドラマ。雪深い道で起きた交通事故が、1人の
男と3人の女の人生を変えてしまう。淡々と進んでいく地味な映画だが、なかなかおもし
ろかった。作家のトマスはスランプに陥っており、恋人サラは献身的に彼を支えようと
するが、トマスにはかえってそれが重たかった。サラはトマスと結婚して子供を持ちた
いと思っていたのだが、結局トマスはサラと別れてしまう。2年後、作家として成功した
トマスは、あの事故の現場を初めて訪れ、ケイトと再会する。ケイトは「あなたを憎ん
ではいない」と言い、その日から2人の間に不思議なつながりが生まれる。
仕事で成功しても、トマスは事故のことを忘れた日はなかった。サラと別れた後、子持
ちの女性アン(マリ・ジョゼ・クローズ)と交際するようになったトマス。子供もとても
懐いていた。やがて、事故の時車の前で座り込んでいた5歳だったクリストファーは16
歳になり、トマスの元に彼から手紙が届く。「僕を覚えていますか。あなたの小説のフ
ァンです。今度会って欲しい」と。事故の記憶はクリストファーを縛り付け、トマスに
会って話さないといつまでもその苦悩から逃れられないと思ったからだ。1度は断った
トマスだったが、ケイトから怒りの電話がかかってきて、会うことを決意する。
罪の意識と許し。それが繊細に描かれていて、考えさせられた。トマス、ケイト、サラ、
アン役の俳優たちの演技もとても良かった。この物語で悪いのはトマスだけではない。
あえて言うなら運が悪かったのだと思う。いくつもの、何人ものミスが重なり、事故は
起きてしまった。青年になったクリストファーもトマスにとんでもない嫌がらせをして、
お互いに許し合うことになるのだが、トマスはあまり感情を表に出さない人なので、彼
がどんなふうに考えているのか、少しわかりにくい面もあった。
それにしても別れて10年以上が経ち、結婚して子供もいると言うのに、サラがトマスを
未だに恨んでいたというのは意外だった。確かにサラはトマスに傷つけられたが、望み
通り家庭を持てたのだから、もういいじゃないか、と思うのだが。トマスに一生懸命尽
くしてきた分、怒りや憎しみも持続するのだろうか。でもこの2人は一緒にはなれなか
ったのだと思う。それも運命だ。「白い沈黙」の時も思ったが、カナダの雪景色がとて
も美しかった。夏の景色も良かった。




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コメント (2)
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