子どもを守るのは、大人の仕事である

わたしは著書『子どもの脳を傷つける親たち』(NHK出版新書)のなかで、これまで長年行ってきた脳科学から子どもの発達を見つめるという研究内容を、医学書としてではなく、一般の人たちに知ってもらうために上梓(じょうし)した。

友田明美『子どもの脳を傷つける親たち』(NHK出版新書)

子どもの脳が損傷すると聞いて驚かない人はいないと思うが、そう慌てることはない。成長過程にある子どもの脳はレジリエンス(回復力)をもっているからだ。本書のなかでは、脳科学から明らかになった最新の知見に加え、その傷つきから子どもを守る方途と、健全なこころの発達に不可欠な愛着形成の重要性について著した。

マルトリートメントは、決して「特殊な人たちが」「特殊な環境で」行っている「非日常的な出来事」ではない。日常のなかにも存在し、習慣化されていることも多い。このことを子どもに接するすべての人に知ってほしい。