ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

いわさきちひろ ~27歳の旅立ち~

2012-07-13 20:26:28 | あ行

こんなに波乱の人生だとは、
知りませんでした。

「いわさきちひろ ~27歳の旅立ち~」70点★★★☆

あのふわり柔らかいタッチの線で
子どもを描いた
絵本画家いわさきちひろの生涯を綴るドキュメンタリー。

ナレーションは元NHKの加賀美幸子アナ。
エグゼグティブプロデューサーは山田洋次。

そこからして
きちんとした作品だとお墨付きって感じですが(笑)


これがあのふんわりした絵に似合わず、
波乱万丈な人生なんですよ。
知らなかった。驚きました。


まず、最初に
27歳のときに描いた自画像が出てくるんですが
これにびっくり。

暗く叩きつけるような鉛筆のタッチで
まるで知ってる「いわさきちひろ」のイメージとは結びつかない。

彼女が何故27歳で
こんなにも鬱屈していたのか?!

映画は彼女の生まれから、遡っていきます。

若くして絵の才に恵まれるものの、望まぬ結婚をし、
そして衝撃的な夫の死。

絵だけを頼りに27歳で東京に行き、
ヌードモデルをしたりしながら絵を学んだ・・・とか
まあすごいんですよ。

そんななか生涯の伴侶に出会うわけですが、
結婚のときに交わした誓約書というのが
またすごい。

まあつまり「自分の邪魔をするな」ってことで(笑)
わかるなア(笑)


本当に彼女は“表現者”だったんだなあと。
凄まじい「芸術家」としての自我を感じて
圧倒されました。


けっこう見応えありました。

彼女の功績は多々あれど
今回、改めて感じたのは
彼女の絵がデザイン性が高く、構図的に非常に新しかったいうこと。

番長の好きな漫画家
くらもちふさこ氏の構図って
かなりこの影響受けてる気がしました。違うかな?


ただ海南友子監督は
前作「ビューティフルアイランズ」(09年)もそうだったんですが、
ものすごくきちんと作っているんだけど、
やや単調で退屈になりがち、というのが惜しい。

それでも、今回はテーマのおもしろさでイケます。


★7/14(土)からヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。

「いわさきちひろ ~27歳の旅立ち~」公式サイト
コメント
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