ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

君の名前で僕を呼んで

2018-04-23 23:50:05 | か行


こんな相手に出会えたことこそが
一生ものの、経験。

 

くう。切ないよう…



「君の名前で僕を呼んで」90点★★★★


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1983年の夏。

17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)は毎年、夏を

北イタリアのヴィラで過ごしている。

 

日がな一日読書をしたり、地元の女の子といい感じになったり

けだるーい日々を過ごす彼の家に

ある日、大学生のオリヴァー(アーミー・ハマー)がやってくる。

 

エリオの父は大学教授で、毎年、研究の手伝いをしてもらうために

インターン学生を招いているのだ。

 

言動も行動も自信に溢れ、いかにも“アメリカン”なオリヴァーに

エリオは拒否反応を示す。

 

だが、二人の間には最初から

目に見えぬ「なにか」が、火花のように、たしかに存在していた――。


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もうね、切ない! 指先がジンジン痺れる。



17歳の少年と、24歳の青年の恋を描いた本作の

脚色とプロデューサーを務めるのは

「眺めのいい部屋」、「モーリス」(87年)、最近では

「最終目的地」(09年)が超よかった、ジェームズ・アイヴォリー。

 

監督は「ミラノ、愛に生きる」(09年)「胸騒ぎのシチリア」(15年)

ジリジリさせる愛の描写に長けたルカ・グダニーノ。

 

この人たち

ジリジリ&ざわざわ恋愛描写の最強コンビかもしれない(笑)

 



これほどまでに狂おしく人を想える、その感覚を

一生のうち、どれだけ体験することができるんだろう。


さらに、その想いが成就する

奇跡のような瞬間。

 

それこそが人生の最高潮であり、最高の幸福なのだと

この映画は、その感覚を映像に定着し、封じ込めている。

 

どんな人にでも少しはあるであろう

人生における一瞬のきらめきを思い出させてくれるんですわ。

 

それは
この歳になった身にも震えがくるほどで(笑)

だって、ここから先、その愛を続けることには

また別の様々な労苦があることを、我々は知ってしまっているからさ。

(まあ、なんとつまらないことよ!
 

こんなスレた観客も

そんな「キュン!」経験ができたことに、ありがとう!言いたいです。

 

そして

たとえ、その恋が成就しきらなかったとしても

そんな相手に出会えたことこそが、一生ものの体験なのだと

自分の経験を交えて主人公エリオに話す、お父さんの語りかけが素晴らしい。


くうう。

この幸福の残り香で、生きてゆけるわー。

と思っていたら

続編が検討されているとのニュースが。

 

うむむ~~~~
すっごく嬉しいようで複雑な気分(笑)


まあ、見るけどね。楽しみにしてるけどね。

 

★4/27(金)からTOHOシネマズ シャンテ、新宿シネマカリテ、Bunkamuraル・シネマほか全国で公開。

「君の名前で僕を呼んで』公式サイト

コメント (2)
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