忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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北村龍平のおもちゃ箱「ゴジラ FINAL WARS」その1

2004年11月30日 | 作品紹介(映画・ドラマ)

■DVD:「ゴジラ FINAL WARS スタンダード・エディション」


シリーズ開始から50年、ついに「ゴジラ」の歴史に幕が下りることになった。
不死身のゴジラにとどめを刺す大役を東宝から仰せつかったのは、
米・ミラマックス社との契約も済ませ、世界デビューを控えている北村龍平だ。
「VERSUS-ヴァーサス-」「あずみ」「スカイハイ-劇場版-」など、
スピード感のあるアクションには定評のある彼が「ゴジラ」をどう料理したのか、
怪獣映画と北村テイストは合うのか、そんな私の不安は6割的中し、4割外れた。

開始早々、主演の松岡昌宏と同僚役のケイン・コスギとの
アクションシーンが展開するのだが、これがどうにもつまらない。
北村監督の作品は4、5作しか観ていないものの、
どの作品も基本的に同じ演出方法の使い回しばかりで新鮮味に欠けるのだ。
はい吊った~!はい投げた~!はいクルクル回した~!はいマント翻した~!
北村作品のアクションはだいたいこの4つのパーツから構成されており、
パーツを繰り出す順番を入れ替えることで違いを出しているだけに見える。
一般的にはハイスピードアクションこそが北村監督の最大の魅力だと言われているが、
はっきり言おう。私はもう飽きた。

しかし、監督はどうしても人間主体のアクションを撮りたかったらしく、
ゴジラが熱線を出したり、モスラが鱗粉を撒き散らしたりするシーンよりも
ケイン・コスギが飛んだり、北村一輝が回ったり、宝田明が銃を撃ったり、
ドン・フライが刀を振り回すシーンの方が圧倒的に多くなっている。
北村龍平という名にピンと来て劇場に足を運んだファンならいざ知らず、
「ゴジラ」を観に行った子供達はこれでは納得するまい。

監督が怪獣同士の戦いに魅力(愛着)を感じていないことはすぐに分かる。
ほんの数分だけ出てはさっさとやられていく怪獣達、毎回首を切り落とす倒し方、
「松岡と北村が宇宙船内で激しい戦いを繰り広げているその頃『ゴジラ』は?」というか、
CMの時だけチャンネルを合わせてもらえる2番目に観たいテレビ番組のような扱いである。
これでは本末転倒ではないか。「ゴジラ」に出てくる人間達は皆添え物であるべきだ。
軽視しろと言っているわけではない。
しっかりしたストーリーはあって然るべきだが、最終的に美味しいところは
「ゴジラ」が全部持っていかなければ「ゴジラ」ではないと思う。

今回、どうにも笑えて仕方なかったのがケイン・コスギだ。
あまり俊敏ではない(と思えた)松岡だけでは
アクション部分の見映えが悪いと思ったのだろう。
アクション要員としての責務はきちんと全うしているのだが、
台詞回しが完全にアグネス・チャンかルビー・モレノである。
「イイカ、コレダケウァイテオク、オマエノソノアマサガイノチトーリニナルゾ」
など、漢字表記が難しかった頃のファミコンゲームのテキストを
声に出して読んでいるような感じ、とでも言えばわかってもらえるだろうか。
山に登ったりカレーを食べたりするぐらいでは誤魔化せても、映画では通用しない。
しかもケイン、気分が高揚してくると例え相手が怪獣でも英語になるのだ。
昔、早見優が普段は日本語で会話しているが、
大喧嘩になったりすると英語になると言っていたがそんな感じか。
松岡やケインは戦う為に生まれたミュータントという設定なのだが、
ケインだけがアメリカ生まれで日本育ちのミュータントということなのか。よく分からない。

今回の陰の主役は北村一輝(今回の画像は北村のキャラのイメージ画らしい)であろう。
最初のうちは妙なスコープを付けていたので、あの独特の目つきが隠されてしまい
輪郭の似ている大澄賢也と区別がつかなかったのだが、
スコープを外してからはもう大暴走、後半はほとんど彼の独壇場だった。
子供にも伝わる悪役のイメージ(目を背けない程度に残酷でカッコ良い)で、
そして限りなくおちゃめ(私の語彙ではそうとしか言いようがない)なのだ。
北村の芝居はちゃんと「観客の目線」が念頭に置かれていたと思う。

そしてこの「観客の目線」こそが監督には足らない気がする。
どういうことかと言うと、、、続きは次回で。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:ゴジラ FINAL WARS
    配給:東宝
   公開日:2004年12月4日
    監督:北村龍平
   出演者:松岡昌宏、ケイン・コスギ、北村一輝、菊川怜 他
 公式サイト:http://www.godzilla.co.jp/index.php
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
コメント (6)
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「ドラゴンクエスト8」発売2日目で最安値5800円

2004年11月29日 | 業界四方山話

■PS2:「ドラゴンクエストVIII空と海と大地と呪われし姫君(廉価版)」


週明けで事態が好転するかも知れないと思い一度取り止めにしたのだが、
どうも悪化しているようなので思い切ってアップすることにした。
以下の*ラインの枠内が昨日アップ予定だった記事である。

************************************

正確な数字の把握がまだ出来ていないので、
あくまでも27日と28日の市場の「雰囲気」だけ。

桁違いの出荷数のため、法人や地域によってかなり差が出たせいだとは思うが、
全体的に絶好調とまではいかなかったようだ。
某問屋が小売り相手に行った調査では27日閉店の時点で
大体4割~6割の消化率だったらしい。
小規模店でも数十本~数百本という入荷数からすれば
27日だけで軽く150万本前後は販売したのではないか。
間違いなく今年最高の出足であり、
発売日の時点で年間ランキングのトップ5には入ったはずだ。

一方、2次問屋には小売りからの買い取り依頼も複数あったようだが、
問題なのはその本数と価格だ。

「DVD付き100本を@72%で」
「DVDなし今日出荷可能の分を80本@75%で」
「29日出荷分50本を@70%で」

など、赤字覚悟の放出はいささか早過ぎる気がする。
これは、
■8800円という高額商品であること。
■支払いが前金であったこと。
■この後まだリピート分の入荷があること。
■DS、PSPなどの新機種や各種大作ソフトのリリース。
■発売1ヶ月以内にかなりの数が来るであろう中古買い取り。
などを見越しての判断かとは思うが、
それにしても特典DVD付きを放出するということは
リピート分ではなく初回納品分がそれだけ余っているということであり、
上記のショップの状況はかなり深刻なのではないかと推察する。

今年末が主役不在の貧弱なラインナップであったなら
この程度の在庫量は年末年始の需要を見越して呑気に構えていられたとは思うが、
DS&PSPの新機種及びその関連ソフトと付属品、
「テイルズ」「メタルギア」「グランツーリスモ」などの大作ソフトなど、
今年末はショップにとって例年にないほどの稼ぎ時であると同時に物入りでもある。
しかも高額の割に薄利なものばかりだ。
「ドラクエ」だけに金を使ってはいられないという台所事情もあるのだろう。

「27日の夕方以降動きが鈍くなってきた」という声を裏付けるように、
28日も休日を返上して営業を行っている問屋には
追加注文ではなく買い取り依頼が増加、掛け率も70%前後で落ち着きつつある。
日曜日までの販売動向を見守ってから動き出すショップも多数あるため、
明日月曜日にどれだけの売り込みがあるかで更なる値下がりも考えられる。

そんな中、12月3日に3回目の追加出荷があると連絡が入った。
合併後初の超大作なのでなるべく多く売りたいという気持ちは分かるが、
コンビニや大手量販との価格競争に巻き込まれ薄利多売を強いられた上に
時間指定までされた小売りの中から
「手間ばかりかかって全く儲からない『ドラクエ』はもうコリゴリ」
という声があがっているのも事実だ。
こういった声にどれだけ耳を傾けられるかが
今後のスクウェア・エニックスの信用を大きく左右するのではないだろうか。

大名商売はいずれ淘汰されるということをデジキューブ事業で学んだと信じたい。

************************************

そして今日、予想通り買い取り依頼がかなり出始めた。
週末で品切れを起こしているショップからのリピート発注もあるらしいが、
品切れを起こしているのがどこも小規模店であり、
ダブらせているのが割と大型の専門店や複合ショップばかりなので
比率で言えば圧倒的に買い取りの方が大きくなってしまっている。
29日午後7時現在、私の掴んでいる最安卸値は5800円(税抜き)である。
この値段なら仕入れてすぐ中古屋に売りに行った方が儲かるのではないか。

間違えて欲しくないのだが、これはあくまでも「最安値」であり、「相場」ではない。
そして相場は、一度下がっても消化率さえ上がれば持ち直すことも多々ある。
年末商戦で盛り返してくれれば「あの時は一瞬焦ったよね」という笑い話だ。
しかし、3日の追加出荷がされた後のことは、、、正直私にも分からない。

ただこれだけは言える。
発売直後にこれだけ掛け安案内が乱れ飛んだ「ドラクエ」は過去に無かった。
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「ドラクエ8」直前に大量追加で焦る面々

2004年11月23日 | 業界四方山話

■PS2:「ドラゴンクエストVIII空と海と大地と呪われし姫君(廉価版)」


あと4日で発売になる「ドラゴンクエスト8」だが、
当初予定されていたリピート分のうちの40%が発売日(27日)着に前倒しされ、
残り60%が30日着予定で出荷されるとの案内がスクウェア・エニックスよりあった。
法人によってバラつきがあるのか、FC本部の配分が不当なのかは分からないが
30%:70%や35%:65%と若干の誤差が生じているようだ。
中には20%:80%と言われた某FC系列のショップもあるようだが、
さすがにこのショップにだけははっきり言える。

   「おたくは本部に騙されている」

これにより、初回250万本に加え、リピート80万本の内の40%である
32万本を合わせた282万本が27日の発売日に店頭に並ぶことになった。
280万本と言えば、SFCで発売された「5」とほぼ同数だ。
29日に残りの48万本が出荷された時点で総出荷数は330万本となり、
SFC版「6」の320万本を超え、PS版「7」の410万本、FC版「3」の380万本に次ぐ
シリーズ歴代3位となる計算なのだが、このハイペースでの出荷体制に
早くも及び腰になっているのが2次問屋だ。

この手の大作が発売される時に2次のやることは大体決まっている。
品薄のショップを相手に掛高で案内をかけるのだ。
90%は当たり前、時には95%や98%などという高額になることもあるが、
これだけ長きに渡ってこのスタイルが続いているということは、
在庫切れだけは避けたいという利益より面子重視のショップが購入しているのだろう。
先々週ぐらいまでは90%を超える案内も多数出ていた。
しかし、前倒しの案内があった直後から徐々に下がっていき、
今週に入ってからは80%台前半でほぼ固まってきている。
中にはリピート分は全て定番(通常の掛け率)という所もあり、
予想以上に捌けていない現状が浮かび上がってくる。
メーカーの出荷が潤沢であれば、当然2次の付け入る隙はなくなる。
それはそれで健全なことかも知れないが、
現金化を急ぐ2次が大量に在庫を持て余してしまえば値崩れは避けられない。
スクウェア・エニックスではさらに40万本ほどの追加出荷を予定しているようだが、
(あくまでも現段階で言えば)少し多すぎるような気がする。

「ポケットモンスター」「ウイニングイレブン」「三國無双」など、
馴染みのタイトルにばかり人気が集中する最近のゲーム業界の流れからすれば、
「ドラゴンクエスト」はその中でも究極とも言えるタイトルだ。
当然売れる数も100万や200万ではあるまい。
用意された330万本が瞬く間に消化され、2次の在庫も一掃されれば万々歳となるわけだが、、、
祭りの日は近い。
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母は強し!は世界共通「Mr.インクレディブル」

2004年11月22日 | 作品紹介(映画・ドラマ)
■DVD:「Mr.インクレディブル (ピクサーころころアート・ボックス 付き)」

きっとピクサーはずっとこういうのをやりたかったんだと思う。
ドリームワークスが手掛ける「シュレック2」の好調を横目に見ながら
「ふんっ、あれぐらい自分達にも出来るわい!」と爪を噛んでいたのではないか。
過去のディズニー×ピクサーではあり得なかったブラックなテイストを盛り込みつつ、
いつも通りファミリーでもきちんと楽しめる。
今回はピクサーの持ち込み企画ということなので外すわけにはいかなかったのだろう。
自らに課した高いハードルを見事にクリアした快作に仕上がった。

内容は、「スパイキッズ」を手本にしたようなキャラクター設定、
「スパイダーマン」などのアメコミ映画を思わせる勧善懲悪のストーリー、
「007」シリーズを思わせるアダルトな演出など、
アメリカ人好みの要素がたっぷり詰め込まれているので、
既に公開中のアメリカで「ファインディング・ニモ」を超える快進撃を続けているのも納得だ。
各キャラクターの特殊能力については
「サイボーグ009」や「ワンピース」から拝借したのではないかという気もするが、
「きっと偶然の一致だよね」ということで流しておこう。

今回最も活躍するのは、主役のMr.インクレディブルではなく、
元イラスティガールであるMrs.インクレディブルだ。
だらしない亭主の尻を叩き、長女ヴァイオレットの悩みに先輩として接する一方で、
暴れたい盛りの長男ダッシュの首根っこもしっかり掴んでいる。
中盤以降はゴムゴムの実を食べたに違いない伸縮自在の体を駆使して大活躍を見せる。
パッとしない図体のデカいパパより
小柄なママがテキパキと家族を束ねるのは世界共通なのかも知れない。
家族のピンチに誰よりも力を発揮するのはやっぱりママなのだ。

「ビックリすることが好き」な三輪車に乗った子供や、
エドナ・モードが「マントは使わない!」と断固として譲らない理由、
家族で唯一普通なジャック・ジャックなど、
伏線に対するオチの付け方もいちいちシャレが効いている。

唯一の難点は、スーパーヒーロー時代のインクレディブルの相棒である
フロゾンというキャラクターの存在意義がもうひとつ薄いことだ。
序盤と終盤に少しずつ出て来るのだが、どちらも単に賑やかしに出て来ただけに見えてしまう。
見た目も特殊能力もかなり目を引くキャラクターなので、
あの程度にしか活躍しないのは勿体ない。
インクレディブル以外の家族と絡むエピソードがひとつでもあれば
グッと魅力的なキャラクターになったと思うのだが。

破竹の勢いで拡大するドリームワークスのCGアニメに「待った」をかける傑作だとは思うが、
毒気0(ゼロ)のディズニー映画を期待して劇場に足を運んだ人の中には
「死ぬ」「殺す」という台詞に驚く人もいるだろう。
個人的にはディズニー×ピクサーの最高傑作だと思ったが、さて。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:Mr.インクレディブル
    配給:ブエナビスタ・インターナショナル
   公開日:2004年12月4日
    監督:ブラッド・バード
   出演者:クレイグ・T・ネルソン、ホリー・ハンター 他
 公式サイト:http://www.disney.co.jp/incredible/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
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ドラえもん、総入れ替え

2004年11月21日 | 忍之日記
今回はゲームネタでないので申し訳ないのだが、
「ドラえもん」の主要声優5人が来春で総入れ替えになると聞き、急遽取り上げてみる。
東宝が来年2005年度の劇場版の製作を見送ると発表した時の理由は
「スタッフを強化し、より楽しい作品を届けるため」となっていたが、
今にして思えばもうこの時に決まっていたのだろう。
新たに起用するのは若手ばかりとのことなので、
まずはアニメでの反応を見てから、ということになったのではないか。
交代となる声優は

ドラえもん  大山のぶ代   68歳
のび太    小原乃梨子   69歳
ジャイアン  たてかべ和也  70歳
スネ夫    肝付兼太    69歳
しずかちゃん 野村道子    66歳

と、確かに皆ご高齢の方ばかりだ。
あと10年このメンバーでいけるかと言われると不安は残る。
以前、何かのバラエティ番組に大山のぶ代が出演した時に、
「私達はプライベートでも一緒に温泉に行ったりするほどの大の仲良しで家族みたいなもの。
 この中で誰か一人だけが抜けるなんてことは考えられない。
 もし辞める日が来たら皆一緒にって決めてるんです。」
と言っていたことをふと思い出した。
アニメ放送開始から四半世紀という長い年月を共にしてきた間柄なら当たり前かも知れない。

日本テレビ系列で1973年4月から全26回で放送されたという
もうひとつのアニメ版を見たことのない私にとって、
「ドラえもん」と言えばやはり1979年から現在も放送中のテレビ朝日系列版だ。
いつでもそこにあるだろうとタカをくくって放置していた物がふいに無くなると聞かされると、
もっと見ておけば良かったと後悔することが多いが、
幸いなことに「ドラえもん」は交代まで数ヶ月の猶予がある。
最低でも何回かは見ておこうと思う。
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PSPサードパーティの冷めた視線

2004年11月16日 | 業界四方山話
12月12日の発売日まで1ヶ月を切ったというのに、
PSPが全くといって良いほど盛り上がっていない。
12月2日のDS発売に向け、テレビCMからユーザー向けの体験会まで、
売れるかどうかはさておき、PR活動は万全の体制を敷いている任天堂に対し、
バイヤー向けの説明会場ですら実機を用意出来なかったSCEは
スタートの段階からもう躓いていると言えよう。
初回配分数も出たようだが、バリューパックの比率が単体の約3倍になっており、
単体はなるべく売りたくないというSCEの本音が見え隠れする。
先日発売された新型PS2の初期不良問題からPSPの初期ロットへの不安も増大している今、
諸々のマイナスイメージを一気に払拭するような「奥の手」を使わない限り、
PSPの立ち上げは非常に困難を伴うものになるだろう。

見切り発車のPSPにソフトを投入するサードパーティは現状をどう受け止めているのだろうか。
そこで、予定通りにPSPが年内50万台出荷されたとして、
貴社から発売されるタイトルの装着率(販売本数)はどれぐらいだと思うか?
という質問を知り合いの何名かにしてみたところ、予想以上にシビアな意見が多かった。
社名を伏せて紹介すると

「5万もいけば上出来かなと。」
「立ち上げに参加することに意義があるので(笑)」
「装着率は10%~15%ですかね。本音は20%ぐらいいって欲しいんですが・・・」

など、どこも非常に慎ましい。
最も印象的だったのは、

「最大で20%、何とか二桁(10万本)に乗せたいですけど、難しいでしょうね。
 ソニーさんなんかは、本体を50万台出荷するので『みんGOL』も50万本いくとか言ってますけど、
 あり得ない話でしょう。あんな楽観的な予想してるとこはどこもないと思いますよ。」

というものだった。

あくまでも私見だが、「みんなのGOLF」というソフトは
「みんなが持っているハードに供給して初めて売れるソフト」であって、
ハードを牽引するようなタイトルではないと思う。
例えば今「みんGOL」がGCに移植されたからと言って
GCのシェアが爆発的に伸びるようなことは無いはずである。
ベスト版の販売比率が高いことや「みんGOLオンライン」の惨敗から見ても、
「みんGOL」人気の大半を支えているのがライトユーザーであることは間違いない。
何かと物入りな年末に、3万円近くも払って掌サイズの「みんGOL」をやりたがる
ライトユーザーがどれほどいるかと言われると・・・かなり難しいのではないか。
少なくとも50万人はいないと思う。

もちろん、中には熱狂的な「みんGOL」ファン、ゴルフゲームファンはいるだろう。
「みんGOL」目的でPSPに興味が湧いたユーザーもいるはずである。
その中の一人が私だ。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:みんなのGOLFポータブル
    機種:PSP
  メーカー:SCE 
   発売日:2004年12月12日
    価格:5040円(税込)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
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フライング販売は専門店の最後の砦

2004年11月14日 | 業界四方山話
ファミコン全盛期には「抱き合わせ商法」は当たり前だった。
大人気の「ドラゴンクエスト」を1本仕入れるために、
ゴミ箱行き確実のC級ソフト2~3本をセットで購入しなければならないというのは
さほど珍しい光景ではなかった。
当時はまだ販路が限られていたこともあり、1店舗あたりの売り上げ本数も半端ではなく、
掛け率も今のPS2などよりはずっと低めだったために、
多少の抱き合わせ分はチャラに出来たのだが、今では到底無理な話である。
未だに元気に営業を続けている古いおもちゃ屋に眠る在庫の大半は
この頃の名残りと見てほぼ間違いない。

そこまでして仕入れた「ドラクエ」も瞬時に店頭から姿を消し、
市場の飢餓感が限界に達した頃、露天商を営む親父の店先(ゴザの上)では
輪ゴムでC級ソフトと2本パックにされた「ドラクエ」が無造作に並べられていた。
赤の油性マジックで大きく
「ドラクエあります。2万円ポッキリ!」
と書かれたプライスカードの不必要なまでの大きさや字の汚さまで未だによく覚えている。
ほんの15年ほど前まで、ゲーム業界は「何でもあり」だったのだ。

様々な規制が敷かれるようになり、「何でもあり」が通用しなくなった業界に
未だに根強く残っているのがフライング販売である。
「発売日前日」という響きは、発売日を心待ちにしているユーザーにとっては
一撃必殺の殺し文句になる。
しかし、「ドラクエ」を擁するスクウェア・エニックスを始め、
一部メーカーはこのフライング販売がお嫌いのようだ。
超大作や新型ハードの発売前ともなると、
「厳守せなお宅の仕入れ先を突き止めて商品供給を絶ちまっせ」
という脅迫めいたFAXが届くこともある。
先日も「キングダムハーツ・チェインオブメモリーズ」の発売日前に
スクウェア・エニックスから上記内容のFAXが流された。
一応名目は「全国の皆様に同じタイミングで楽しんでいただきたい」ということだとは思うが、
いくら何でも「チクリ情報も大歓迎」というのはあんまりではないか。
「万引きしてる所を発見していただいたお客様にはお礼をいたします」
と貼り紙している本屋は、お礼をするだけまだマシである。
スクウェア・エニックスも、同業者同士で潰し合いをさせたいならお礼を用意してはどうか。
1件チクるごとにソフト1本とか、1件チクることに掛け率を1%引き下げるとか。
実現すればあっという間に数千件のデータが集まるはずだ。

私ぐらいの年になると、発売日にそれほどのこだわりは無くなってくるので
フライングしてまで購入したいと思うことは少ないが、
発売日前に入荷するかどうかを決め手にするユーザーも少なくない。
この「1日も早く入手したいユーザー」こそ、街のゲームショップを支える貴重なお客様だ。
価格面では大手量販と勝負出来ず、特典物では大型専門店と勝負出来ず、
利便性では通販サイトと勝負出来ない小規模店にとって、
フライング販売は最後の切り札とも言える。
FAX攻撃をものともせず、前日に「キングダムハーツ」を並べていたショップの何と多いことか。
今日も「『ドラクエ』26日に入荷いたします!」という貼り紙を見つけた。
スクウェア・エニックスの言うことも理解は出来るが、所詮倫理観で飯は食えないわけで、
今後もゲーム専門店の灯が消えるまでフライング販売は続いていくのだろう。

「そうだそうだ」と思ったそこのショップ関係者、バレないように気を付けてね。


******************************
【おまけデータ】

■ドラゴンクエスト
 1986年5月27日発売/ファミコン
 150万本
■ドラゴンクエストII 悪霊の神々
 1987年1月26日発売/ファミコン
 240万本
■ドラゴンクエストIII そして伝説へ…
 1988年2月10日発売/ファミコン
 380万
■ドラゴンクエストIV 導かれし者たち
 1990年2月11日発売/ファミコン
 310万本
■ドラゴンクエストV 天空の花嫁
 1992年9月27日発売/スーパーファミコン
 280万本
■ドラゴンクエストVI 幻の大地
 1995年12月9日発売/スーパーファミコン
 320万本
■ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち
 2000年8月26日発売/プレイステーション
 410万本
■ドラゴンクエストV 天空の花嫁
 2004年3月25日発売/プレイステーション2
 170万本
******************************
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金勘定>プライドの裏側を邪推してみる

2004年11月01日 | 業界四方山話
一流の板前が一流の料亭を経営出来るわけではない。
一流の選手が一流の監督になれるわけでもない。
プライドと金勘定のどちらを優先するのかは、どこの世界でも頭の痛い問題だと思う。
今日(11月1日)、カプコンの代表作「バイオハザード」シリーズ最新作、
「バイオハザード4」のマルチプラットフォーム展開が発表された。
GC版は予定通り2005年1月27日発売、PS2版を2005年末に発売予定とのこと。

「バイオハザード」というタイトルに特別な思い入れのない私にとって
今回のニュースはさほど衝撃的ではなかったが、
「『バイオハザード』シリーズは今後はGCで独占供給します」と高らかに宣言し、
任天堂の宮本氏ともがっちりと固い握手を交わした同シリーズのプロデューサー、
三上氏に対して今後巻き起こるであろう、各方面からの強烈なバッシングを思うと
他人事ながら同情を禁じ得ない。
特定の機種に肩入れする、いわゆる「信者」の方々からA級戦犯扱いされることは必至だ。

カプコンの「独占です」→「嘘でした」のオオカミ商法は何も今に始まったことではない。
PSでリリースされた初代「バイオ」も、当初はPSのみの独占供給だと言われていた。
当時のライバルマシンであったSSとはハードの能力に差があり過ぎて移植は不可能と言われていたのだ。
が、結局あっさり移植されてしまった。
「コードベロニカ」もやはりDC独占と言われていたが、完全版はPS2にも移植された。
そして、GCでの独占供給を発表、
多数のPSユーザーががっくりと肩を落としかけたが、「アウトブレイク」がPS2で発売。
「バイオ」とは直接関係ないが、「ビューティフルジョー」や「Killer7」なども
当初はGCオリジナルとして発表され、後になってPS2版の発売が決まった。
繰り返される狼少年・カプコンの発表に一喜一憂するシリーズファンからすれば
最早呆れて物が言えない状態だとは思うが、この前言撤回劇が
ほぼ毎回「カプコンがいよいよヤバいらしい」という噂が流れた後であることを思うと、
1本の売り上げが最低でも数十万を見込める稼ぎ頭故の「縛り」を感じる。

クリエイターからすれば、産み落とす作品は我が子同然であろうし、
だとすれば少しでも環境の良い産院を選ぶのは道理である。
(あくまでも親の目から見た、という意味であり、GC>PS2という意味ではない)
GCへの独占供給を発表した当時の三上氏のインタビュー記事からは、
社内から相当の反発を受けたことと、それでも自分はこうしたいのだ、という強い信念を感じた。
あれだけの発言を翻すのは、三上氏が相当なタマか、相当のお家事情かのどちらかしかあるまい。
最近のカプコンは、夏に不良在庫を数百円で大量に吐き出したかと思ったら、
コーエーのお家芸でもあるセット販売を「鬼武者」や「バイオ」を使って作ってみたりと
会社全体が逼迫した事態であることは容易に想像がつく。
産院を選ぶ前に、帰る家が無くなってしまっては元も子もない。
三上氏なりに悩んだ末の決断であったと思う。

カプコンは、シリーズ物や版権物が幅を利かせる中、
未だにオリジナルの新作をそこそこのレベルで発表し続ける希有なメーカーである。
孝行息子の使い回しでどこまで巻き返せるか分からないが、頑張ってほしい。

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