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世論調査か世論操作か― 新テロ特措法案と政党支持率 -

2007-11-15 | Weblog
世論調査か世論操作か
― 新テロ特措法案と政党支持率 -
 10月13日、新テロ特措法案が衆議院を通過し、参議院での審議に移る。これでインド洋での海上自衛隊による米国艦船等に対する給油・給水に向けて片目が開いた形だ。だが、参議院は民主党を中心とする野党が多数を握っており、参議院で否決されれば、衆議院で3分の2の多数を握る自・公両党が再採決を強行するかなどが注目されている。
 この国会の動きに対応し、保守系主要紙等が新テロ特措法案と政党支持率などにつき、それぞれ世論調査の結果を発表している。世論調査は、10、11の両日行なわれた模様で、その結果は、衆議院での特別委、本会議での採決に先立ち、13日までに公表された。新テロ特措法案については、数値において若干の差はあるが、ほぼ50%強が賛成との結果となっている。他方、反対も40%前後あり、反対も根強い。また政権支持では、福田政権の支持率が一定程度低下すると共に、政党支持では、自民党への支持率が低下している一方、民主党の支持率は上昇(一部紙では微減)している。大連立問題で混乱した民主党の小沢代表の続投に厳しい姿勢を示す保守系新聞もある。
 数値水準などや保守系に好意的か否かなどの差はあるが、一見、傾向としては大体このようなことかと受け止められるであろう。しかし、どうも新テロ特措法案問題や大連立構想を巡る論調などからして、この各紙毎の世論調査は、国民のどの層の世論を反映しているか、世論「調査」か世論「操作」かなど疑問も残る。
政府関係筋は、新テロ特措法案への支持が60%程度になればと期待している。そうなれば、参議院で否決され、衆議院において3分の2の多数で再可決して押し切っても、世論の反発は少ないと読んでいるのであろう。それだけに世論支持の浮揚が鍵であったと見られる。
1、 日本経団連の政党政策評価の公表
日本経団連は、政党への献金の基準として、自民、民主両党に対する2007年政策評価を
公表した。正式公表は12日に行なわれ各紙が報道したが、一紙は11日、同紙が世論調査を実施している期間に報道している。
 政策評価は、政策の「合致度」、「取り組み」、そして「実績」に分けてABCDで評価されているが、「実績」については政権に就いていない民主党には評価は行なっていない。項目は、税・財政政策や規制改革・経済法則、技術革新など、経済関係項目の他、外交安全保障、教育改革、道州制導入など政治、外交分野にまで及んでいる。
 日本経団連は、現在、日本の代表的な企業1,343社を含む1,662社・団体が会員となっている。政策の「合致度」では、当然のことながら、長期に亘り政権与党の自民党についてはほとんどがAで、Bは社会保障改革、規制改革・経済法則と雇用政策の3分野となっている。他方、民主党との政策合致度は、ほとんどがB かCで、雇用政策についてはDとなっている。
問題の外交・安全保障では、 自民党については合致度A で、取り組み・実績ともBとしている。民主党については、合致度Cで、取り組みについてはDとしており、インド洋の給油反対などをその理由と解説されている。
もっとも、自民党の「実績」については、A は1つもなく、ほとんどがBに止まっており、社会保障改革と雇用政策に至ってはCであり、政策を実施出来る立場でありながら、政権政党としての実績は高くは評価されてはいない。
日本経団連は日本を代表する経済団体の1つであり、多くの国民や家庭が関係会社・団体の職場となっているだけに、世論に与える影響は少なくないであろう。ましてや、その政策評価が、世論調査中に公表されればなお更のことである。新テロ特措法案の採択も一つつの背景としてあった大連立構想を支持する論調を取りつつ、世論調査期間中にこのような政党への政策評価を公表すれば、一般論として世論誘導となる恐れがあり、世論調査のあり方や公表の仕方などにも配慮が必要のようだ。
そもそも日本経団連が組織として、国民に選ばれた自民、民主両党の政策評価を通信簿のごとくABCDなどで評価し、公表まですること自体に若干の違和感を感じる。日本を代表する経済団体と言っても、民間団体の一つでしかない。その統一した政党別の政策評価に基づき、会員企業・団体が「横並び」で政治献金するとすれば、全体主義的な色彩を帯びて来る。更に、評価項目に、国民生活全体に大きく関係する外交安全保障や経済協力、教育改革などの政治・外交項目が含まれており、これらについても政治献金で影響を行使していることになる。
民主主義においては、どの政党や信条などを支持するかは個々人の判断によることであり、企業・団体や経営者についても、いずれを支持するかは「自由だア~」ではないであろうか。経営者や従業員が政治、社会に関心を持ち、それぞれが自由な立場で発言し、議論することは望ましいことである。しかし、個人は組織を前にすると弱い立場にある。日本政治において、政権政党が企業献金に依存し、個人ベースの党員が広がりを見せていないのもこんなところに原因があるのかも知れない。
2、新テロ特措法の国民にとっての重要度は「どんだけエー」
 訪日中の米国の外交問題評議会リチャード・ハース会長は、13日の日本記者クラブでの会見において、日本の給油活動が最終的に中止となった場合、「その影響は、アフガニスタンにおける対テロ戦争よりも、日米関係にとってより深刻だ」として、軍事的意味合いよりも日米間の政治的意味合いを強調したと伝えられている。
 確かに、ブッシュ政権は、2008会計年度(07年10月~08年9月)のイラク、アフガニスタンでの軍事費として423億ドル(約4兆8千億円)を議会に追加提案しており、200億円強程度の日本の給油・給水活動は、自衛艦(補給艦と護衛艦)の出動費を加えても軍事的には極く小さな額でしかない。また、インド洋における米国艦船等による活動内容や「海上阻止活動」の効果などについても、説明は抽象的、一般的である。更に「抑止効果がある」とされているが、米国情報当局等は、アフガンの治安状況は未だ安定しておらず、脅威は国際的に拡散しているとしており、評価がまちまちである。
 日米関係は、経済分野に加え、日本の安全保障にとっても重要であり、インド洋での補給活動は、日米関係上の政治的、象徴的な意味合いをも十分勘案の上検討されるべきであろう。
 しかし、この問題は、日本国民にとってすべてに優先する事項であろうか。現在、日本国民にとって最大の将来不安は年金問題であり、また、消費税の引き上げの可能性や、諸物価の上昇と行財政の硬直化などへの不安である。参議院においては、民主党より、年金基金の流用禁止法案などの福祉関連法案も提出されており、これらの審議には応じず、新テロ特措法案を審議せよでは多くの国民は納得しないのではなかろうか。野党に新テロ特措法案などの協議を求めているが、他の件は協議に応じないというのでは理解は得れないであろう。
 また、新テロ特措法案に関連し、民主党より、国連の枠組みをより明確にした法案が対案として提出されている。両案の審議や突合せなども必要になって来よう。一部の識者や与党議員が、「対案となる法案が提出されなければ、政権担当能力を疑われる」などとしているが、これも余りフェアーな議論ではない。政策を実施、執行する立場にあるのは与党であり、各種法案についても、そのほとんどについては行政各部が作成している。新テロ特措法案も外交・防衛当局が作成したものだ。与党も野党もそれぞれ国民に選ばれた代表であり、相互に国民の代表として尊重し合う度量と姿勢が欲しいものだ。
― 新テロ特措法案と政党支持率 -
 10月13日、新テロ特措法案が衆議院を通過し、参議院での審議に移る。これでインド洋での海上自衛隊による米国艦船等に対する給油・給水に向けて片目が開いた形だ。だが、参議院は民主党を中心とする野党が多数を握っており、参議院で否決されれば、衆議院で3分の2の多数を握る自・公両党が再採決を強行するかなどが注目されている。
 この国会の動きに対応し、保守系主要紙等が新テロ特措法案と政党支持率などにつき、それぞれ世論調査の結果を発表している。世論調査は、10、11の両日行なわれた模様で、その結果は、衆議院での特別委、本会議での採決に先立ち、13日までに公表された。新テロ特措法案については、数値において若干の差はあるが、ほぼ50%強が賛成との結果となっている。他方、反対も40%前後あり、反対も根強い。また政権支持では、福田政権の支持率が一定程度低下すると共に、政党支持では、自民党への支持率が低下している一方、民主党の支持率は上昇(一部紙では微減)している。大連立問題で混乱した民主党の小沢代表の続投に厳しい姿勢を示す保守系新聞もある。
 数値水準などや保守系に好意的か否かなどの差はあるが、一見、傾向としては大体このようなことかと受け止められるであろう。しかし、どうも新テロ特措法案問題や大連立構想を巡る論調などからして、この各紙毎の世論調査は、国民のどの層の世論を反映しているか、世論「調査」か世論「操作」かなど疑問も残る。
政府関係筋は、新テロ特措法案への支持が60%程度になればと期待している。そうなれば、参議院で否決され、衆議院において3分の2の多数で再可決して押し切っても、世論の反発は少ないと読んでいるのであろう。それだけに世論支持の浮揚が鍵であったと見られる。
1、 日本経団連の政党政策評価の公表
日本経団連は、政党への献金の基準として、自民、民主両党に対する2007年政策評価を
公表した。正式公表は12日に行なわれ各紙が報道したが、一紙は11日、同紙が世論調査を実施している期間に報道している。
 政策評価は、政策の「合致度」、「取り組み」、そして「実績」に分けてABCDで評価されているが、「実績」については政権に就いていない民主党には評価は行なっていない。項目は、税・財政政策や規制改革・経済法則、技術革新など、経済関係項目の他、外交安全保障、教育改革、道州制導入など政治、外交分野にまで及んでいる。
 日本経団連は、現在、日本の代表的な企業1,343社を含む1,662社・団体が会員となっている。政策の「合致度」では、当然のことながら、長期に亘り政権与党の自民党についてはほとんどがAで、Bは社会保障改革、規制改革・経済法則と雇用政策の3分野となっている。他方、民主党との政策合致度は、ほとんどがB かCで、雇用政策についてはDとなっている。
問題の外交・安全保障では、 自民党については合致度A で、取り組み・実績ともBとしている。民主党については、合致度Cで、取り組みについてはDとしており、インド洋の給油反対などをその理由と解説されている。
もっとも、自民党の「実績」については、A は1つもなく、ほとんどがBに止まっており、社会保障改革と雇用政策に至ってはCであり、政策を実施出来る立場でありながら、政権政党としての実績は高くは評価されてはいない。
日本経団連は日本を代表する経済団体の1つであり、多くの国民や家庭が関係会社・団体の職場となっているだけに、世論に与える影響は少なくないであろう。ましてや、その政策評価が、世論調査中に公表されればなお更のことである。新テロ特措法案の採択も一つつの背景としてあった大連立構想を支持する論調を取りつつ、世論調査期間中にこのような政党への政策評価を公表すれば、一般論として世論誘導となる恐れがあり、世論調査のあり方や公表の仕方などにも配慮が必要のようだ。
そもそも日本経団連が組織として、国民に選ばれた自民、民主両党の政策評価を通信簿のごとくABCDなどで評価し、公表まですること自体に若干の違和感を感じる。日本を代表する経済団体と言っても、民間団体の一つでしかない。その統一した政党別の政策評価に基づき、会員企業・団体が「横並び」で政治献金するとすれば、全体主義的な色彩を帯びて来る。更に、評価項目に、国民生活全体に大きく関係する外交安全保障や経済協力、教育改革などの政治・外交項目が含まれており、これらについても政治献金で影響を行使していることになる。
民主主義においては、どの政党や信条などを支持するかは個々人の判断によることであり、企業・団体や経営者についても、いずれを支持するかは「自由だア~」ではないであろうか。経営者や従業員が政治、社会に関心を持ち、それぞれが自由な立場で発言し、議論することは望ましいことである。しかし、個人は組織を前にすると弱い立場にある。日本政治において、政権政党が企業献金に依存し、個人ベースの党員が広がりを見せていないのもこんなところに原因があるのかも知れない。
2、新テロ特措法の国民にとっての重要度は「どんだけエー」
 訪日中の米国の外交問題評議会リチャード・ハース会長は、13日の日本記者クラブでの会見において、日本の給油活動が最終的に中止となった場合、「その影響は、アフガニスタンにおける対テロ戦争よりも、日米関係にとってより深刻だ」として、軍事的意味合いよりも日米間の政治的意味合いを強調したと伝えられている。
 確かに、ブッシュ政権は、2008会計年度(07年10月~08年9月)のイラク、アフガニスタンでの軍事費として423億ドル(約4兆8千億円)を議会に追加提案しており、200億円強程度の日本の給油・給水活動は、自衛艦(補給艦と護衛艦)の出動費を加えても軍事的には極く小さな額でしかない。また、インド洋における米国艦船等による活動内容や「海上阻止活動」の効果などについても、説明は抽象的、一般的である。更に「抑止効果がある」とされているが、米国情報当局等は、アフガンの治安状況は未だ安定しておらず、脅威は国際的に拡散しているとしており、評価がまちまちである。
 日米関係は、経済分野に加え、日本の安全保障にとっても重要であり、インド洋での補給活動は、日米関係上の政治的、象徴的な意味合いをも十分勘案の上検討されるべきであろう。
 しかし、この問題は、日本国民にとってすべてに優先する事項であろうか。現在、日本国民にとって最大の将来不安は年金問題であり、また、消費税の引き上げの可能性や、諸物価の上昇と行財政の硬直化などへの不安である。参議院においては、民主党より、年金基金の流用禁止法案などの福祉関連法案も提出されており、これらの審議には応じず、新テロ特措法案を審議せよでは多くの国民は納得しないのではなかろうか。野党に新テロ特措法案などの協議を求めているが、他の件は協議に応じないというのでは理解は得れないであろう。
 また、新テロ特措法案に関連し、民主党より、国連の枠組みをより明確にした法案が対案として提出されている。両案の審議や突合せなども必要になって来よう。一部の識者や与党議員が、「対案となる法案が提出されなければ、政権担当能力を疑われる」などとしているが、これも余りフェアーな議論ではない。政策を実施、執行する立場にあるのは与党であり、各種法案についても、そのほとんどについては行政各部が作成している。新テロ特措法案も外交・防衛当局が作成したものだ。与党も野党もそれぞれ国民に選ばれた代表であり、相互に国民の代表として尊重し合う度量と姿勢が欲しいものだ。
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世論調査か世論操作か― 新テロ特措法案と政党支持率 -(改訂版)

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世論調査か世論操作か
― 新テロ特措法案と政党支持率 -
 10月13日、新テロ特措法案が衆議院を通過し、参議院での審議に移る。これでインド洋での海上自衛隊による米国艦船等に対する給油・給水に向けて片目が開いた形だ。だが、参議院は民主党を中心とする野党が多数を握っており、参議院で否決されれば、衆議院で3分の2の多数を握る自・公両党が再採決を強行するかなどが注目されている。
 この国会の動きに対応し、保守系主要紙等が新テロ特措法案と政党支持率などにつき、それぞれ世論調査の結果を発表している。世論調査は、10、11の両日行なわれた模様で、その結果は、衆議院での特別委、本会議での採決に先立ち、13日までに公表された。新テロ特措法案については、数値において若干の差はあるが、ほぼ50%強が賛成との結果となっている。他方、反対も40%前後あり、反対も根強い。また政権支持では、福田政権の支持率が一定程度低下すると共に、政党支持では、自民党への支持率が低下している一方、民主党の支持率は上昇(一部紙では微減)している。大連立問題で混乱した民主党の小沢代表の続投に厳しい姿勢を示す保守系新聞もある。
 数値水準などや保守系に好意的か否かなどの差はあるが、一見、傾向としては大体このようなことかと受け止められるであろう。しかし、どうも新テロ特措法案問題や大連立構想を巡る論調などからして、この各紙毎の世論調査は、国民のどの層の世論を反映しているか、世論「調査」か世論「操作」かなど疑問も残る。
政府関係筋は、新テロ特措法案への支持が60%程度になればと期待している。そうなれば、参議院で否決され、衆議院において3分の2の多数で再可決して押し切っても、世論の反発は少ないと読んでいるのであろう。それだけに世論支持の浮揚が鍵であったと見られる。
1、 日本経団連の政党政策評価の公表
日本経団連は、政党への献金の基準として、自民、民主両党に対する2007年政策評価を
公表した。正式公表は12日に行なわれ各紙が報道したが、一紙は11日、同紙が世論調査を実施している期間に報道している。
 政策評価は、政策の「合致度」、「取り組み」、そして「実績」に分けてABCDで評価されているが、「実績」については政権に就いていない民主党には評価は行なっていない。項目は、税・財政政策や規制改革・経済法則、技術革新など、経済関係項目の他、外交安全保障、教育改革、道州制導入など政治、外交分野にまで及んでいる。
 日本経団連は、現在、日本の代表的な企業1,343社を含む1,662社・団体が会員となっている。政策の「合致度」では、当然のことながら、長期に亘り政権与党の自民党についてはほとんどがAで、Bは社会保障改革、規制改革・経済法則と雇用政策の3分野となっている。他方、民主党との政策合致度は、ほとんどがB かCで、雇用政策についてはDとなっている。
問題の外交・安全保障では、 自民党については合致度A で、取り組み・実績ともBとしている。民主党については、合致度Cで、取り組みについてはDとしており、インド洋の給油反対などをその理由と解説されている。
もっとも、自民党の「実績」については、A は1つもなく、ほとんどがBに止まっており、社会保障改革と雇用政策に至ってはCであり、政策を実施出来る立場でありながら、政権政党としての実績は高くは評価されてはいない。
日本経団連は日本を代表する経済団体の1つであり、多くの国民や家庭が関係会社・団体の職場となっているだけに、世論に与える影響は少なくないであろう。ましてや、その政策評価が、世論調査中に公表されればなお更のことである。新テロ特措法案の採択も一つつの背景としてあった大連立構想を支持する論調を取りつつ、世論調査期間中にこのような政党への政策評価を公表すれば、一般論として世論誘導となる恐れがあり、世論調査のあり方や公表の仕方などにも配慮が必要のようだ。
そもそも日本経団連が組織として、国民に選ばれた自民、民主両党の政策評価を通信簿のごとくABCDなどで評価し、公表まですること自体に若干の違和感を感じる。日本を代表する経済団体と言っても、民間団体の一つでしかない。その統一した政党別の政策評価に基づき、会員企業・団体が「横並び」で政治献金するとすれば、全体主義的な色彩を帯びて来る。更に、評価項目に、国民生活全体に大きく関係する外交安全保障や経済協力、教育改革などの政治・外交項目が含まれており、これらについても政治献金で影響を行使していることになる。
民主主義においては、どの政党や信条などを支持するかは個々人の判断によることであり、企業・団体や経営者についても、いずれを支持するかは「自由だア~」ではないであろうか。経営者や従業員が政治、社会に関心を持ち、それぞれが自由な立場で発言し、議論することは望ましいことである。しかし、個人は組織を前にすると弱い立場にある。日本政治において、政権政党が企業献金に依存し、個人ベースの党員が広がりを見せていないのもこんなところに原因があるのかも知れない。
2、 新テロ特措法の国民にとっての重要度はそれほど高いのか
 訪日中の米国の外交問題評議会リチャード・ハース会長は、13日の日本記者クラブでの会見において、日本の給油活動が最終的に中止となった場合、「その影響は、アフガニスタンにおける対テロ戦争よりも、日米関係にとってより深刻だ」として、軍事的意味合いよりも日米間の政治的意味合いを強調したと伝えられている。
 確かに、ブッシュ政権は、2008会計年度(07年10月~08年9月)のイラク、アフガニスタンでの軍事費として423億ドル(約4兆8千億円)を議会に追加提案しており、200億円強程度の日本の給油・給水活動は、自衛艦(補給艦と護衛艦)の出動費を加えても軍事的には極く小さな額でしかない。また、インド洋における米国艦船等による活動内容や「海上阻止活動」の効果などについても、説明は抽象的、一般的である。更に「抑止効果がある」とされているが、米国情報当局等は、アフガンの治安状況は未だ安定しておらず、脅威は国際的に拡散しているとしており、評価がまちまちである。
 日米関係は、経済分野に加え、日本の安全保障にとっても重要であり、インド洋での補給活動は、日米関係上の政治的、象徴的な意味合いをも十分勘案の上検討されるべきであろう。
 しかし、この問題は、日本国民にとってすべてに優先する事項であろうか。現在、日本国民にとって最大の将来不安は年金問題であり、また、消費税の引き上げの可能性や、諸物価の上昇と行財政の硬直化などへの不安である。参議院においては、民主党より、年金保険料流用禁止法案などの福祉関連法案も提出されており、これらの審議には衆議院では応じず、新テロ特措法案を参議院で審議せよでは多くの国民は納得しないのではなかろうか。野党に新テロ特措法案などの協議を求めているが、他の件は協議に応じないというのでは理解は得れないであろう。
 また、新テロ特措法案に関連し、民主党より、国連の枠組みをより明確にした法案が対案として提出されている。両案の審議や突合せなども必要になって来よう。一部の識者や与党議員が、「対案となる法案が提出されなければ、政権担当能力を疑われる」などとしているが、これも余りフェアーな議論ではない。政策を実施、執行する立場にあるのは与党であり、各種法案についても、そのほとんどについては行政各部が作成している。新テロ特措法案も外交・防衛当局が作成したものだ。自民党も民主党もそれぞれ国民に選ばれた代表であり、相互に国民の代表として尊重し合う度量と姿勢が欲しい。
 3、「ねじれ」でチェック機能を発揮し始めた参議院
 国会が衆・参2院制となっているのは、広く国民の意見を反映出来るようにすると共に、衆議院により多くの権能を与えつつ、参議院にチェック機能を与え、また衆院の解散、総選挙中も国会の一定の機能を確保し、安定した国会審議を確保するためであろう。
 この観点からすると、従来の参議院は、小選挙区と比例代表の組み合わせなど、衆議院と選挙制度も近似している上、政権与党が両院において多数を占めていたため、参議院も衆議院と基本施策では同様の行動をとり、ともすると衆議院のクローン化し、陰に隠れていた面がある。また、一票の格差問題でも、最大5倍前後の格差が長期に継続し、地裁レベルでは違憲とはされるケースがあり、最高裁では、一応合憲とされているものの、改善意見や反対意見が複数付されているにも拘わらず、5倍をわずかに下回る程度の調整に終始するなど、公正な選挙制度の確保にも消極的であり、保守化が顕著であった。
 しかし、7月の参院選において民主党が第一党となったことから、政権与党にとっては煩雑となろうが、参議院のチェック機能が発揮され、幅広い国民の意見が国会の場で発揮されるようになったとも言える。しかし、そのため国会が動かなくなれば国民生活に大きな影響が出るので、当面、与野党が審議、協議を通じ、出来るだけ広く国民の利益が図られるよう調整されることが望まれるが、参議院は、今後相当期間、現状か継続することになるので、速やかに衆議院につき民意を問うことが望ましい。
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世論調査か世論操作か
― 新テロ特措法案と政党支持率 -
 10月13日、新テロ特措法案が衆議院を通過し、参議院での審議に移る。これでインド洋での海上自衛隊による米国艦船等に対する給油・給水に向けて片目が開いた形だ。だが、参議院は民主党を中心とする野党が多数を握っており、参議院で否決されれば、衆議院で3分の2の多数を握る自・公両党が再採決を強行するかなどが注目されている。
 この国会の動きに対応し、保守系主要紙等が新テロ特措法案と政党支持率などにつき、それぞれ世論調査の結果を発表している。世論調査は、10、11の両日行なわれた模様で、その結果は、衆議院での特別委、本会議での採決に先立ち、13日までに公表された。新テロ特措法案については、数値において若干の差はあるが、ほぼ50%強が賛成との結果となっている。他方、反対も40%前後あり、反対も根強い。また政権支持では、福田政権の支持率が一定程度低下すると共に、政党支持では、自民党への支持率が低下している一方、民主党の支持率は上昇(一部紙では微減)している。大連立問題で混乱した民主党の小沢代表の続投に厳しい姿勢を示す保守系新聞もある。
 数値水準などや保守系に好意的か否かなどの差はあるが、一見、傾向としては大体このようなことかと受け止められるであろう。しかし、どうも新テロ特措法案問題や大連立構想を巡る論調などからして、この各紙毎の世論調査は、国民のどの層の世論を反映しているか、世論「調査」か世論「操作」かなど疑問も残る。
政府関係筋は、新テロ特措法案への支持が60%程度になればと期待している。そうなれば、参議院で否決され、衆議院において3分の2の多数で再可決して押し切っても、世論の反発は少ないと読んでいるのであろう。それだけに世論支持の浮揚が鍵であったと見られる。
1、 日本経団連の政党政策評価の公表
日本経団連は、政党への献金の基準として、自民、民主両党に対する2007年政策評価を
公表した。正式公表は12日に行なわれ各紙が報道したが、一紙は11日、同紙が世論調査を実施している期間に報道している。
 政策評価は、政策の「合致度」、「取り組み」、そして「実績」に分けてABCDで評価されているが、「実績」については政権に就いていない民主党には評価は行なっていない。項目は、税・財政政策や規制改革・経済法則、技術革新など、経済関係項目の他、外交安全保障、教育改革、道州制導入など政治、外交分野にまで及んでいる。
 日本経団連は、現在、日本の代表的な企業1,343社を含む1,662社・団体が会員となっている。政策の「合致度」では、当然のことながら、長期に亘り政権与党の自民党についてはほとんどがAで、Bは社会保障改革、規制改革・経済法則と雇用政策の3分野となっている。他方、民主党との政策合致度は、ほとんどがB かCで、雇用政策についてはDとなっている。
問題の外交・安全保障では、 自民党については合致度A で、取り組み・実績ともBとしている。民主党については、合致度Cで、取り組みについてはDとしており、インド洋の給油反対などをその理由と解説されている。
もっとも、自民党の「実績」については、A は1つもなく、ほとんどがBに止まっており、社会保障改革と雇用政策に至ってはCであり、政策を実施出来る立場でありながら、政権政党としての実績は高くは評価されてはいない。
日本経団連は日本を代表する経済団体の1つであり、多くの国民や家庭が関係会社・団体の職場となっているだけに、世論に与える影響は少なくないであろう。ましてや、その政策評価が、世論調査中に公表されればなお更のことである。新テロ特措法案の採択も一つつの背景としてあった大連立構想を支持する論調を取りつつ、世論調査期間中にこのような政党への政策評価を公表すれば、一般論として世論誘導となる恐れがあり、世論調査のあり方や公表の仕方などにも配慮が必要のようだ。
そもそも日本経団連が組織として、国民に選ばれた自民、民主両党の政策評価を通信簿のごとくABCDなどで評価し、公表まですること自体に若干の違和感を感じる。日本を代表する経済団体と言っても、民間団体の一つでしかない。その統一した政党別の政策評価に基づき、会員企業・団体が「横並び」で政治献金するとすれば、全体主義的な色彩を帯びて来る。更に、評価項目に、国民生活全体に大きく関係する外交安全保障や経済協力、教育改革などの政治・外交項目が含まれており、これらについても政治献金で影響を行使していることになる。
民主主義においては、どの政党や信条などを支持するかは個々人の判断によることであり、企業・団体や経営者についても、いずれを支持するかは「自由だア~」ではないであろうか。経営者や従業員が政治、社会に関心を持ち、それぞれが自由な立場で発言し、議論することは望ましいことである。しかし、個人は組織を前にすると弱い立場にある。日本政治において、政権政党が企業献金に依存し、個人ベースの党員が広がりを見せていないのもこんなところに原因があるのかも知れない。
2、 新テロ特措法の国民にとっての重要度はそれほど高いのか
 訪日中の米国の外交問題評議会リチャード・ハース会長は、13日の日本記者クラブでの会見において、日本の給油活動が最終的に中止となった場合、「その影響は、アフガニスタンにおける対テロ戦争よりも、日米関係にとってより深刻だ」として、軍事的意味合いよりも日米間の政治的意味合いを強調したと伝えられている。
 確かに、ブッシュ政権は、2008会計年度(07年10月~08年9月)のイラク、アフガニスタンでの軍事費として423億ドル(約4兆8千億円)を議会に追加提案しており、200億円強程度の日本の給油・給水活動は、自衛艦(補給艦と護衛艦)の出動費を加えても軍事的には極く小さな額でしかない。また、インド洋における米国艦船等による活動内容や「海上阻止活動」の効果などについても、説明は抽象的、一般的である。更に「抑止効果がある」とされているが、米国情報当局等は、アフガンの治安状況は未だ安定しておらず、脅威は国際的に拡散しているとしており、評価がまちまちである。
 日米関係は、経済分野に加え、日本の安全保障にとっても重要であり、インド洋での補給活動は、日米関係上の政治的、象徴的な意味合いをも十分勘案の上検討されるべきであろう。
 しかし、この問題は、日本国民にとってすべてに優先する事項であろうか。現在、日本国民にとって最大の将来不安は年金問題であり、また、消費税の引き上げの可能性や、諸物価の上昇と行財政の硬直化などへの不安である。参議院においては、民主党より、年金保険料流用禁止法案などの福祉関連法案も提出されており、これらの審議には衆議院では応じず、新テロ特措法案を参議院で審議せよでは多くの国民は納得しないのではなかろうか。野党に新テロ特措法案などの協議を求めているが、他の件は協議に応じないというのでは理解は得れないであろう。
 また、新テロ特措法案に関連し、民主党より、国連の枠組みをより明確にした法案が対案として提出されている。両案の審議や突合せなども必要になって来よう。一部の識者や与党議員が、「対案となる法案が提出されなければ、政権担当能力を疑われる」などとしているが、これも余りフェアーな議論ではない。政策を実施、執行する立場にあるのは与党であり、各種法案についても、そのほとんどについては行政各部が作成している。新テロ特措法案も外交・防衛当局が作成したものだ。自民党も民主党もそれぞれ国民に選ばれた代表であり、相互に国民の代表として尊重し合う度量と姿勢が欲しい。
 3、「ねじれ」でチェック機能を発揮し始めた参議院
 国会が衆・参2院制となっているのは、広く国民の意見を反映出来るようにすると共に、衆議院により多くの権能を与えつつ、参議院にチェック機能を与え、また衆院の解散、総選挙中も国会の一定の機能を確保し、安定した国会審議を確保するためであろう。
 この観点からすると、従来の参議院は、小選挙区と比例代表の組み合わせなど、衆議院と選挙制度も近似している上、政権与党が両院において多数を占めていたため、参議院も衆議院と基本施策では同様の行動をとり、ともすると衆議院のクローン化し、陰に隠れていた面がある。また、一票の格差問題でも、最大5倍前後の格差が長期に継続し、地裁レベルでは違憲とはされるケースがあり、最高裁では、一応合憲とされているものの、改善意見や反対意見が複数付されているにも拘わらず、5倍をわずかに下回る程度の調整に終始するなど、公正な選挙制度の確保にも消極的であり、保守化が顕著であった。
 しかし、7月の参院選において民主党が第一党となったことから、政権与党にとっては煩雑となろうが、参議院のチェック機能が発揮され、幅広い国民の意見が国会の場で発揮されるようになったとも言える。しかし、そのため国会が動かなくなれば国民生活に大きな影響が出るので、当面、与野党が審議、協議を通じ、出来るだけ広く国民の利益が図られるよう調整されることが望まれるが、参議院は、今後相当期間、現状か継続することになるので、速やかに衆議院につき民意を問うことが望ましい。
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イチロー イズ バック!!― 情報操作をしたのは誰か -

2007-11-08 | Weblog
イチロー イズ バック!!
          ― 情報操作をしたのは誰か -
 と言っても、シアトル マリナーズの「イチロ~」ではなく、民主党代表の小沢一郎のこと。でもちょっと見て行ってネ。
 11月4日、小沢イチロー代表は、党代表を辞任する意向を表明したが、7日、民主党両院議員懇談会で、党員等の強い期待を踏まえて代表に止まり、政治生命を掛けて来るべき衆議院総選挙に臨みたい旨表明しました。
 辞任の意向は、2度に亘る福田総理との党首会談において、総理側から、日本の国際貢献、安全保障問題での柔軟姿勢の下での自民・民主両党の政策協議と大連立構想が提案されたが、民主党役員会で拒否されたことを受けて表明されたものです。
 小沢代表は、4日の記者会見で、「党首会談を呼び掛けたとか、自民、民主両党の連立を持ち掛けたとか」いずれもまったくの事実無根だとして明確に否定すると共に、多くの保守系報道機関がそのような一方的な報道をしたことに強く抗議する姿勢を示している。
他方、福田総理は、5日、首相官邸での記者団の質問に答え、いろいろな話をしたが、「阿(あ)吽(うん)の呼吸」であるなどとして、明確に答えていません。ソフトで頼れそうなのですが、言っていることは内容がないんですよね。
また、インド洋での給油問題、安全保障問題に関連し、小沢代表は、国際平和協力のための自衛隊の海外派遣は、国連安保理、総会での決議に基づいて決定された活動への参加に限るとしています。これに対し、福田総理は、新テロ特措法案については、できれば通して欲しいが、「両党が連立し、新しい協力態勢を確立することを最優先と考えている」、「連立が成立するならば、敢えてこの法案の成立にこだわることはしない」との点を確約した旨明らかにしています。
ところが、福田総理は、この点に関する記者団の質問に対し、いろいろな話の中でそのようなことは出たが、具体的には政策協議次第であり、また、新テロ特措法案については一貫して成立を希望している旨述べ、明確な説明を避けている。国会での質疑応答でも、同じように具体的に答えていません。
小沢代表は、本人が認めているように「不器用」で、表現がストレートなため、ぶっきらぼうに映りますが、言っていることは明快で、国民には考えていることが分りやすく、また、言っていることと行動が余りぶれていないように見えます。
最大のミステリーは、誰が党首会談の結果を報道機関に流したのかという疑問です。小沢代表は、4日の記者会見で、「党首会談を呼び掛けたとか、自民、民主両党の連立を持ち掛けたとか」いずれもまったくの事実無根だとして明確に否定すると共に、多くの保守系報道機関がそのような一方的な報道をしたことに強く抗議する姿勢を示しています。また、同代表は、7日の記者会見では、同代表側には取材はなかったとしているとすると共に、福田総理側には、「仲介者」がおり、大連立話が持ち掛けられたとしている。では誰が情報を誰に流したのか。もっともこれだけの注目を浴びた党首会談であるので、ある程度情報が流れても仕方が無い。しかし、事実と異なる情報が特定の報道機関から流されたとしたら大問題でしょう。国民に特定の印象を与える重大な情報操作となります。報道されているように、「仲介者」が保守系主要紙の長老であったとすれば、そのような立場にある者が一方的な形で情報を流したことになり、真実を伝えるべき報道機関として問題があるような気がします。無論、難局に際し与野党間で党首会談などが持たれることは良いのでしょう。しかし、報道は一方に不利な形で流れれば国民に誤った印象を与えることになり、フェアーではないのでしょう。
他方、福田政権に限りませんが、政府の方は、年金問題にしても、Ⅽ型肝炎被害問題にしても、各省庁の談合や各種の不祥事にしても、国民に情報を開示せず、関係文書が廃棄されたり、何時の間にかうやむやになることが多いようです。それも政権運営能力の一つだし、私生活でもそういう「器用さ」は必要でしょう。
インド洋での自衛隊の米国艦船などへの給油活動についても、日本の補給船などの航海日誌が特定期間処分さていたり、給油がどのような活動に使われているかも実体上米国艦船次第の状況のようです。それで国際テロ対策に貢献している、だから給油を継続したいと言われても、意味がわかんないですよね。もっと重大なのは、日本を守るための自衛隊、防衛省が国民に真実を話してくれない上、資料を隠したり、操作等するようでは信頼出来ないし、不安でしょう。「あってはならないこと」でしょう。これは、これまでの政府与党が、行政を十分管理、監督出来ていないとも言えるのでしょう。
どうもこれまでのやり方では、状況の改善は望めないように思われます。大連合を両党だけで決めるのではなく、国民の審判を受けるのが先決ではないでしょうか。両党が、国民に対してきちんと政策を提示し、国民がその政策を基に政党を選ぶのが民主主義の原点なのでしょう。
総選挙の結果、政権運営や国会運営上必要であれば、その時点で大連合を含む連立を考えるのが筋でしょう。福田政権が成立した時点では、約4割が12月中、或いは明年1月までの解散、総選挙が望ましいとしています。明年3月、4月までを含めると合算すると約6割が解散、総選挙が望ましいとしています。
同時に、それまでは、明年度予算を含め、国民生活に直結する事項については自民、民主の政策協議に努めるべきでしょう。もっとも、前政権時代に、衆参両院での多数を利して、教育基本法や国民投票法など、与野党を超えて協議が望ましい重要法案などにつき、与党が単独採決を多用し、参議院が野党に多数を占められたからと言って、協議しましょうではご都合主義などと思われても仕方ないかもしれません。政権への執着や保身ではなく、国民の利益に沿った普段からの国会運営が望まれます。
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 と言っても、シアトル マリナーズの「イチロ~」ではなく、民主党代表の小沢一郎のこと。でもちょっと見て行ってネ。
 11月4日、小沢イチロー代表は、党代表を辞任する意向を表明したが、7日、民主党両院議員懇談会で、党員等の強い期待を踏まえて代表に止まり、政治生命を掛けて来るべき衆議院総選挙に臨みたい旨表明しました。
 辞任の意向は、2度に亘る福田総理との党首会談において、総理側から、日本の国際貢献、安全保障問題での柔軟姿勢の下での自民・民主両党の政策協議と大連立構想が提案されたが、民主党役員会で拒否されたことを受けて表明されたものです。
 小沢代表は、4日の記者会見で、「党首会談を呼び掛けたとか、自民、民主両党の連立を持ち掛けたとか」いずれもまったくの事実無根だとして明確に否定すると共に、多くの保守系報道機関がそのような一方的な報道をしたことに強く抗議する姿勢を示している。
他方、福田総理は、5日、首相官邸での記者団の質問に答え、いろいろな話をしたが、「阿(あ)吽(うん)の呼吸」であるなどとして、明確に答えていません。ソフトで頼れそうなのですが、言っていることは内容がないんですよね。
また、インド洋での給油問題、安全保障問題に関連し、小沢代表は、国際平和協力のための自衛隊の海外派遣は、国連安保理、総会での決議に基づいて決定された活動への参加に限るとしています。これに対し、福田総理は、新テロ特措法案については、できれば通して欲しいが、「両党が連立し、新しい協力態勢を確立することを最優先と考えている」、「連立が成立するならば、敢えてこの法案の成立にこだわることはしない」との点を確約した旨明らかにしています。
ところが、福田総理は、この点に関する記者団の質問に対し、いろいろな話の中でそのようなことは出たが、具体的には政策協議次第であり、また、新テロ特措法案については一貫して成立を希望している旨述べ、明確な説明を避けている。国会での質疑応答でも、同じように具体的に答えていません。
小沢代表は、本人が認めているように「不器用」で、表現がストレートなため、ぶっきらぼうに映りますが、言っていることは明快で、国民には考えていることが分りやすく、また、言っていることと行動が余りぶれていないように見えます。
最大のミステリーは、誰が党首会談の結果を報道機関に流したのかという疑問です。小沢代表は、4日の記者会見で、「党首会談を呼び掛けたとか、自民、民主両党の連立を持ち掛けたとか」いずれもまったくの事実無根だとして明確に否定すると共に、多くの保守系報道機関がそのような一方的な報道をしたことに強く抗議する姿勢を示しています。また、同代表は、7日の記者会見では、同代表側には取材はなかったとしているとすると共に、福田総理側には、「仲介者」がおり、大連立話が持ち掛けられたとしている。では誰が情報を誰に流したのか。もっともこれだけの注目を浴びた党首会談であるので、ある程度情報が流れても仕方が無い。しかし、事実と異なる情報が特定の報道機関から流されたとしたら大問題でしょう。国民に特定の印象を与える重大な情報操作となります。報道されているように、「仲介者」が保守系主要紙の長老であったとすれば、そのような立場にある者が一方的な形で情報を流したことになり、真実を伝えるべき報道機関として問題があるような気がします。無論、難局に際し与野党間で党首会談などが持たれることは良いのでしょう。しかし、報道は一方に不利な形で流れれば国民に誤った印象を与えることになり、フェアーではないのでしょう。
他方、福田政権に限りませんが、政府の方は、年金問題にしても、Ⅽ型肝炎被害問題にしても、各省庁の談合や各種の不祥事にしても、国民に情報を開示せず、関係文書が廃棄されたり、何時の間にかうやむやになることが多いようです。それも政権運営能力の一つだし、私生活でもそういう「器用さ」は必要でしょう。
インド洋での自衛隊の米国艦船などへの給油活動についても、日本の補給船などの航海日誌が特定期間処分さていたり、給油がどのような活動に使われているかも実体上米国艦船次第の状況のようです。それで国際テロ対策に貢献している、だから給油を継続したいと言われても、意味がわかんないですよね。もっと重大なのは、日本を守るための自衛隊、防衛省が国民に真実を話してくれない上、資料を隠したり、操作等するようでは信頼出来ないし、不安でしょう。「あってはならないこと」でしょう。これは、これまでの政府与党が、行政を十分管理、監督出来ていないとも言えるのでしょう。
どうもこれまでのやり方では、状況の改善は望めないように思われます。大連合を両党だけで決めるのではなく、国民の審判を受けるのが先決ではないでしょうか。両党が、国民に対してきちんと政策を提示し、国民がその政策を基に政党を選ぶのが民主主義の原点なのでしょう。
総選挙の結果、政権運営や国会運営上必要であれば、その時点で大連合を含む連立を考えるのが筋でしょう。福田政権が成立した時点では、約4割が12月中、或いは明年1月までの解散、総選挙が望ましいとしています。明年3月、4月までを含めると合算すると約6割が解散、総選挙が望ましいとしています。
同時に、それまでは、明年度予算を含め、国民生活に直結する事項については自民、民主の政策協議に努めるべきでしょう。もっとも、前政権時代に、衆参両院での多数を利して、教育基本法や国民投票法など、与野党を超えて協議が望ましい重要法案などにつき、与党が単独採決を多用し、参議院が野党に多数を占められたからと言って、協議しましょうではご都合主義などと思われても仕方ないかもしれません。政権への執着や保身ではなく、国民の利益に沿った普段からの国会運営が望まれます。
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 と言っても、シアトル マリナーズの「イチロ~」ではなく、民主党代表の小沢一郎のこと。でもちょっと見て行ってネ。
 11月4日、小沢イチロー代表は、党代表を辞任する意向を表明したが、7日、民主党両院議員懇談会で、党員等の強い期待を踏まえて代表に止まり、政治生命を掛けて来るべき衆議院総選挙に臨みたい旨表明しました。
 辞任の意向は、2度に亘る福田総理との党首会談において、総理側から、日本の国際貢献、安全保障問題での柔軟姿勢の下での自民・民主両党の政策協議と大連立構想が提案されたが、民主党役員会で拒否されたことを受けて表明されたものです。
 小沢代表は、4日の記者会見で、「党首会談を呼び掛けたとか、自民、民主両党の連立を持ち掛けたとか」いずれもまったくの事実無根だとして明確に否定すると共に、多くの保守系報道機関がそのような一方的な報道をしたことに強く抗議する姿勢を示している。
他方、福田総理は、5日、首相官邸での記者団の質問に答え、いろいろな話をしたが、「阿(あ)吽(うん)の呼吸」であるなどとして、明確に答えていません。ソフトで頼れそうなのですが、言っていることは内容がないんですよね。
また、インド洋での給油問題、安全保障問題に関連し、小沢代表は、国際平和協力のための自衛隊の海外派遣は、国連安保理、総会での決議に基づいて決定された活動への参加に限るとしています。これに対し、福田総理は、新テロ特措法案については、できれば通して欲しいが、「両党が連立し、新しい協力態勢を確立することを最優先と考えている」、「連立が成立するならば、敢えてこの法案の成立にこだわることはしない」との点を確約した旨明らかにしています。
ところが、福田総理は、この点に関する記者団の質問に対し、いろいろな話の中でそのようなことは出たが、具体的には政策協議次第であり、また、新テロ特措法案については一貫して成立を希望している旨述べ、明確な説明を避けている。国会での質疑応答でも、同じように具体的に答えていません。
小沢代表は、本人が認めているように「不器用」で、表現がストレートなため、ぶっきらぼうに映りますが、言っていることは明快で、国民には考えていることが分りやすく、また、言っていることと行動が余りぶれていないように見えます。
最大のミステリーは、誰が党首会談の結果を報道機関に流したのかという疑問です。小沢代表は、4日の記者会見で、「党首会談を呼び掛けたとか、自民、民主両党の連立を持ち掛けたとか」いずれもまったくの事実無根だとして明確に否定すると共に、多くの保守系報道機関がそのような一方的な報道をしたことに強く抗議する姿勢を示しています。また、同代表は、7日の記者会見では、同代表側には取材はなかったとしているとすると共に、福田総理側には、「仲介者」がおり、大連立話が持ち掛けられたとしている。では誰が情報を誰に流したのか。もっともこれだけの注目を浴びた党首会談であるので、ある程度情報が流れても仕方が無い。しかし、事実と異なる情報が特定の報道機関から流されたとしたら大問題でしょう。国民に特定の印象を与える重大な情報操作となります。報道されているように、「仲介者」が保守系主要紙の長老であったとすれば、そのような立場にある者が一方的な形で情報を流したことになり、真実を伝えるべき報道機関として問題があるような気がします。無論、難局に際し与野党間で党首会談などが持たれることは良いのでしょう。しかし、報道は一方に不利な形で流れれば国民に誤った印象を与えることになり、フェアーではないのでしょう。
他方、福田政権に限りませんが、政府の方は、年金問題にしても、Ⅽ型肝炎被害問題にしても、各省庁の談合や各種の不祥事にしても、国民に情報を開示せず、関係文書が廃棄されたり、何時の間にかうやむやになることが多いようです。それも政権運営能力の一つだし、私生活でもそういう「器用さ」は必要でしょう。
インド洋での自衛隊の米国艦船などへの給油活動についても、日本の補給船などの航海日誌が特定期間処分さていたり、給油がどのような活動に使われているかも実体上米国艦船次第の状況のようです。それで国際テロ対策に貢献している、だから給油を継続したいと言われても、意味がわかんないですよね。もっと重大なのは、日本を守るための自衛隊、防衛省が国民に真実を話してくれない上、資料を隠したり、操作等するようでは信頼出来ないし、不安でしょう。「あってはならないこと」でしょう。これは、これまでの政府与党が、行政を十分管理、監督出来ていないとも言えるのでしょう。
どうもこれまでのやり方では、状況の改善は望めないように思われます。大連合を両党だけで決めるのではなく、国民の審判を受けるのが先決ではないでしょうか。両党が、国民に対してきちんと政策を提示し、国民がその政策を基に政党を選ぶのが民主主義の原点なのでしょう。
総選挙の結果、政権運営や国会運営上必要であれば、その時点で大連合を含む連立を考えるのが筋でしょう。福田政権が成立した時点では、約4割が12月中、或いは明年1月までの解散、総選挙が望ましいとしています。明年3月、4月までを含めると合算すると約6割が解散、総選挙が望ましいとしています。
同時に、それまでは、明年度予算を含め、国民生活に直結する事項については自民、民主の政策協議に努めるべきでしょう。もっとも、前政権時代に、衆参両院での多数を利して、教育基本法や国民投票法など、与野党を超えて協議が望ましい重要法案などにつき、与党が単独採決を多用し、参議院が野党に多数を占められたからと言って、協議しましょうではご都合主義などと思われても仕方ないかもしれません。政権への執着や保身ではなく、国民の利益に沿った普段からの国会運営が望まれます。
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年金・健保失政― 行政監督能力の欠如 - (改訂版)

2007-11-01 | Weblog
年金・健保失政
― 行政監督能力の欠如 -
1、10月31日、5千万件に及ぶ年金記録漏れ問題の原因等を追及するために7月に総務省も下に設置された「年金記録問題検証委員会」(座長松尾邦弘前検事総長)は、最終報告書をまとめ総務大臣に提出した。同報告書では、厚労省(旧厚生省)、社保庁に「使命感、責任感が決定的に欠如していた」とし、歴代の社会保険庁長官をはじめとする幹部職員の責任が最も重いとすると共に、監督する立場にあった歴代の厚生相、厚労相も「責任は免れない」としている。
 責任問題については、一般的な指摘で当然のことであろうが、今回のサンプル調査では、約5千万件(社保庁推定2兆3千億円相当)の内、入力ミスや結婚による氏名変更など、該当者の特定が難かしい記録が38.5%に上ることが明らかになった。その内、524万件は既に「氏名なし」であることが分っている。その上、死亡、年金受給の対象外など(約28%)を除くと、救済が比較的容易とされる者は34%弱でしかなく、08年3月までに是正するとしているが、救済されるのはせいぜいその程度に止まる可能性が強い。事実、救済作業も、約1万6千件の申し立てに対し9月末で190人しか記録救済できておらず、救済率は低い。それでも保険料を納付した国民の権利であるので1人でも多く救済されるべきであろうが、残りは払い損となる。
 2、膨大な年金納付の記録漏れ問題自体だけでも年金制度の信頼性を揺るがす問題であるのに、年金保険料着服・横領事件が数多くあったことが表面化し、横領した職員の刑事告発を巡って、国(厚労省・社保庁)と市町村など地方自治体とが対立している。
 これまでに明らかになっている着服・横領は、社保庁職員によるものが52件(約1億7千万円)、市区町村職員等によるものが101件(約2億4千万円)。これらの事件に対する社保庁と自治体の対応は、国民が納付した保険料の着服・横領であったにも拘わらず、免職や退職などの懲戒処分で、刑事告発されているのは1件程度しかない。それも横領事件の時効は7年となっているので、告発できるのは9件しかない。舛添厚労相は、これに対し、盗人は刑事告発し、法に基づき処罰するとの当たり前といえば当たり前の姿勢を明らかにし、関係自治体に告発を要請した。
 しかし、告発するのは東京都日野市のみで、大崎、池田、田村の3市は告発せず、その他は未定。その上、鳥取県倉吉市長など、着服が行われていない自治体から厚労相の言動に抗議がなされている。厚労相が就任当初、この問題で「社会保険庁は信用ならない。市町村はもっと信用ならない」と言ったのが背景にある。
そりゃあそうだ。社保庁だって52件、約1億7千万円の横領があるし、市区町村の横領事件の多くは何らかの形で同庁に報告してあっただろうし、そもそも厚労省・社保庁には監督責任があり、他人事のように地方自治体を批判する立場にはないのだろう。
増田総務相が、各自治体の対応につき、「適切かどうか最終的には住民が決める話」と述べたと伝えられているが、法治国家においては、横領その他の刑法上の犯罪は法に基づき判断されるべきであり、公務員については告発すべきことが定められているので(刑事訴訟法)、自治体や住民が判断することではないはずではないのか。住民が判断するのは、その上で自治体や政府の施策に対し下されるのであろう。
 このように長期に亘り多数の年金横領・着服を許したことは、歴代内閣、政権与党の行政に対する監督能力が問われるところでもある。また、会計検査院の検査体制や不正者の処分についての人事院の役割も問われるところであり、行政の適正化のための監視制度のあり方も課題となりそうだ。
 3、こんなにずさんな管理をしている上、厚生年金会館の建設など「福祉施設費」に約3兆5千億円、グリーンピアの建設や住宅融資などへの出資が約2兆円など、少なくても合計6兆8千億円近くが年金給付以外に流用、浪費されていることが民主党の質問で明らかになったと伝えられている。多くの施設については投売り状態であり、また、この金額にこれら施設の人件費、管理費への補填額を含めれば流用額は更に膨らむ恐れがある。
その上、ボーナスからの年金料徴収や給付年齢の引き上げ、給付額の引き下げが行なわれ、それでも足りないとして消費税などの引き上げが議論されている。それに有料高速道路の料金やタクシー料金、その他ガソリン、食料品などの値上げもある。
 この年金問題は、老齢者だけでなく、若い世代にとっても将来不安の最大の要因となっており、消費抑制の背景ともなっている。正に年金失政とも言える。
 4、健康保険についても、少子高齢化の中で制度を維持するため、自己負担を増やすことは仕方がないが、65歳以上の年金対象者については、単に年齢に基づき一律に引き上げるのではなく、年金を含む総所得が例えば800万円以上については現役時同様の負担、それ以下は70%負担、年収300万円以下は50%負担など、年収、支払能力の実態に沿った負担にすべきなのであろう。現在与党が検討しているのは、老齢者負担増の一定期間の猶予であるが、目先の対応でしかない上、所得機会が少なくなる75歳以上の負担を一律に引き上げるのは酷な話だ。
 更に、健康保険料の他に、いつの間にか介護保険料が付け加えられたが、実質的な健康保険料の値上げであり、年間7万円以上の追加支払いは年金生活者には負担が大きい。加えて、介護保険料が国民年金から自動的に差し引かれる仕組みとなっているようであり、実質的な年金給付額の引き下げとなり、年金生活者にとっては深刻であろう。老齢者が介護福祉のために困窮することになる。
 これでは、将来への年金不安に加え、所得の低い者の負担感が高くなることになり、「福祉」ではなく「酷祉」と言われても、また、健保・年金失政と言われても仕方がないのではないだろうか。
 厚生労働省への監督責任の欠如は、前防衛事務次官の過剰接待問題や政府関係事業の談合体質などを見ると、程度の差はあろうが、残念ながら「氷山の一角」でしかないのかも知れない。「官僚をうまく使う、仲良くやろう」ということ自体は誰しもそう思うが、それが政・官の仲間内の甘えやもたれあいの自己防衛などであれば、国民全体の利益に害する恐れがあり、行政監督責任が問われても仕方がないのであろう。
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年金・健保失政 ― 行政監督能力の欠如 -(改訂版)

2007-11-01 | Weblog
年金・健保失政
― 行政監督能力の欠如 -
1、10月31日、5千万件に及ぶ年金記録漏れ問題の原因等を追及するために7月に総務省も下に設置された「年金記録問題検証委員会」(座長松尾邦弘前検事総長)は、最終報告書をまとめ総務大臣に提出した。同報告書では、厚労省(旧厚生省)、社保庁に「使命感、責任感が決定的に欠如していた」とし、歴代の社会保険庁長官をはじめとする幹部職員の責任が最も重いとすると共に、監督する立場にあった歴代の厚生相、厚労相も「責任は免れない」としている。
 責任問題については、一般的な指摘で当然のことであろうが、今回のサンプル調査では、約5千万件(社保庁推定2兆3千億円相当)の内、入力ミスや結婚による氏名変更など、該当者の特定が難かしい記録が38.5%に上ることが明らかになった。その内、524万件は既に「氏名なし」であることが分っている。その上、死亡、年金受給の対象外など(約28%)を除くと、救済が比較的容易とされる者は34%弱でしかなく、08年3月までに是正するとしているが、救済されるのはせいぜいその程度に止まる可能性が強い。事実、救済作業も、約1万6千件の申し立てに対し9月末で190人しか記録救済できておらず、救済率は低い。それでも保険料を納付した国民の権利であるので1人でも多く救済されるべきであろうが、残りは払い損となる。
 2、膨大な年金納付の記録漏れ問題自体だけでも年金制度の信頼性を揺るがす問題であるのに、年金保険料着服・横領事件が数多くあったことが表面化し、横領した職員の刑事告発を巡って、国(厚労省・社保庁)と市町村など地方自治体とが対立している。
 これまでに明らかになっている着服・横領は、社保庁職員によるものが52件(約1億7千万円)、市区町村職員等によるものが101件(約2億4千万円)。これらの事件に対する社保庁と自治体の対応は、国民が納付した保険料の着服・横領であったにも拘わらず、免職や退職などの懲戒処分で、刑事告発されているのは1件程度しかない。それも横領事件の時効は7年となっているので、告発できるのは9件しかない。舛添厚労相は、これに対し、盗人は刑事告発し、法に基づき処罰するとの当たり前といえば当たり前の姿勢を明らかにし、関係自治体に告発を要請した。
 しかし、告発するのは東京都日野市のみで、大崎、池田、田村の3市は告発せず、その他は未定。その上、鳥取県倉吉市長など、着服が行われていない自治体から厚労相の言動に抗議がなされている。厚労相が就任当初、この問題で「社会保険庁は信用ならない。市町村はもっと信用ならない」と言ったのが背景にある。
そりゃあそうだ。社保庁だって52件、約1億7千万円の横領があるし、市区町村の横領事件の多くは何らかの形で同庁に報告してあっただろうし、そもそも厚労省・社保庁には監督責任があり、他人事のように地方自治体を批判する立場にはないのだろう。
増田総務相が、各自治体の対応につき、「適切かどうか最終的には住民が決める話」と述べたと伝えられているが、法治国家においては、横領その他の刑法上の犯罪は法に基づき判断されるべきであり、公務員については告発すべきことが定められているので(刑事訴訟法)、自治体や住民が判断することではないはずではないのか。住民が判断するのは、その上で自治体や政府の施策に対し下されるのであろう。
 このように長期に亘り多数の年金横領・着服を許したことは、歴代内閣、政権与党の行政に対する監督能力が問われるところでもある。また、会計検査院の検査体制や不正者の処分についての人事院の役割も問われるところであり、行政の適正化のための監視制度のあり方も課題となりそうだ。
 3、こんなにずさんな管理をしている上、厚生年金会館の建設など「福祉施設費」に約3兆5千億円、グリーンピアの建設や住宅融資などへの出資が約2兆円など、少なくても合計6兆8千億円近くが年金給付以外に流用、浪費されていることが民主党の質問で明らかになったと伝えられている。多くの施設については投売り状態であり、また、この金額にこれら施設の人件費、管理費への補填額を含めれば流用額は更に膨らむ恐れがある。
その上、ボーナスからの年金料徴収や給付年齢の引き上げ、給付額の引き下げが行なわれ、それでも足りないとして消費税などの引き上げが議論されている。それに有料高速道路の料金やタクシー料金、その他ガソリン、食料品などの値上げもある。
 この年金問題は、老齢者だけでなく、若い世代にとっても将来不安の最大の要因となっており、消費抑制の背景ともなっている。正に年金失政とも言える。
 4、健康保険についても、少子高齢化の中で制度を維持するため、自己負担を増やすことは仕方がないが、65歳以上の年金対象者については、単に年齢に基づき一律に引き上げるのではなく、年金を含む総所得が例えば800万円以上については現役時同様の負担、それ以下は70%負担、年収300万円以下は50%負担など、年収、支払能力の実態に沿った負担にすべきなのであろう。現在与党が検討しているのは、老齢者負担増の一定期間の猶予であるが、目先の対応でしかない上、所得機会が少なくなる75歳以上の負担を一律に引き上げるのは酷な話だ。
 更に、健康保険料の他に、いつの間にか介護保険料が付け加えられたが、実質的な健康保険料の値上げであり、年間7万円以上の追加支払いは年金生活者には負担が大きい。加えて、介護保険料が国民年金から自動的に差し引かれる仕組みとなっているようであり、実質的な年金給付額の引き下げとなり、年金生活者にとっては深刻であろう。老齢者が介護福祉のために困窮することになる。
 これでは、将来への年金不安に加え、所得の低い者の負担感が高くなることになり、「福祉」ではなく「酷祉」と言われても、また、健保・年金失政と言われても仕方がないのではないだろうか。
 厚生労働省への監督責任の欠如は、前防衛事務次官の過剰接待問題や政府関係事業の談合体質などを見ると、程度の差はあろうが、残念ながら「氷山の一角」でしかないのかも知れない。「官僚をうまく使う、仲良くやろう」ということ自体は誰しもそう思うが、それが政・官の仲間内の甘えやもたれあいの自己防衛などであれば、国民全体の利益に害する恐れがあり、行政監督責任が問われても仕方がないのであろう。
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年金・健保失政― 行政監督能力の欠如 - (改訂版)

2007-11-01 | Weblog
年金・健保失政
― 行政監督能力の欠如 -
1、10月31日、5千万件に及ぶ年金記録漏れ問題の原因等を追及するために7月に総務省も下に設置された「年金記録問題検証委員会」(座長松尾邦弘前検事総長)は、最終報告書をまとめ総務大臣に提出した。同報告書では、厚労省(旧厚生省)、社保庁に「使命感、責任感が決定的に欠如していた」とし、歴代の社会保険庁長官をはじめとする幹部職員の責任が最も重いとすると共に、監督する立場にあった歴代の厚生相、厚労相も「責任は免れない」としている。
 責任問題については、一般的な指摘で当然のことであろうが、今回のサンプル調査では、約5千万件(社保庁推定2兆3千億円相当)の内、入力ミスや結婚による氏名変更など、該当者の特定が難かしい記録が38.5%に上ることが明らかになった。その内、524万件は既に「氏名なし」であることが分っている。その上、死亡、年金受給の対象外など(約28%)を除くと、救済が比較的容易とされる者は34%弱でしかなく、08年3月までに是正するとしているが、救済されるのはせいぜいその程度に止まる可能性が強い。事実、救済作業も、約1万6千件の申し立てに対し9月末で190人しか記録救済できておらず、救済率は低い。それでも保険料を納付した国民の権利であるので1人でも多く救済されるべきであろうが、残りは払い損となる。
 2、膨大な年金納付の記録漏れ問題自体だけでも年金制度の信頼性を揺るがす問題であるのに、年金保険料着服・横領事件が数多くあったことが表面化し、横領した職員の刑事告発を巡って、国(厚労省・社保庁)と市町村など地方自治体とが対立している。
 これまでに明らかになっている着服・横領は、社保庁職員によるものが52件(約1億7千万円)、市区町村職員等によるものが101件(約2億4千万円)。これらの事件に対する社保庁と自治体の対応は、国民が納付した保険料の着服・横領であったにも拘わらず、免職や退職などの懲戒処分で、刑事告発されているのは1件程度しかない。それも横領事件の時効は7年となっているので、告発できるのは9件しかない。舛添厚労相は、これに対し、盗人は刑事告発し、法に基づき処罰するとの当たり前といえば当たり前の姿勢を明らかにし、関係自治体に告発を要請した。
 しかし、告発するのは東京都日野市のみで、大崎、池田、田村の3市は告発せず、その他は未定。その上、鳥取県倉吉市長など、着服が行われていない自治体から厚労相の言動に抗議がなされている。厚労相が就任当初、この問題で「社会保険庁は信用ならない。市町村はもっと信用ならない」と言ったのが背景にある。
そりゃあそうだ。社保庁だって52件、約1億7千万円の横領があるし、市区町村の横領事件の多くは何らかの形で同庁に報告してあっただろうし、そもそも厚労省・社保庁には監督責任があり、他人事のように地方自治体を批判する立場にはないのだろう。
増田総務相が、各自治体の対応につき、「適切かどうか最終的には住民が決める話」と述べたと伝えられているが、法治国家においては、横領その他の刑法上の犯罪は法に基づき判断されるべきであり、公務員については告発すべきことが定められているので(刑事訴訟法)、自治体や住民が判断することではないはずではないのか。住民が判断するのは、その上で自治体や政府の施策に対し下されるのであろう。
 このように長期に亘り多数の年金横領・着服を許したことは、歴代内閣、政権与党の行政に対する監督能力が問われるところでもある。また、会計検査院の検査体制や不正者の処分についての人事院の役割も問われるところであり、行政の適正化のための監視制度のあり方も課題となりそうだ。
 3、こんなにずさんな管理をしている上、厚生年金会館の建設など「福祉施設費」に約3兆5千億円、グリーンピアの建設や住宅融資などへの出資が約2兆円など、少なくても合計6兆8千億円近くが年金給付以外に流用、浪費されていることが民主党の質問で明らかになったと伝えられている。多くの施設については投売り状態であり、また、この金額にこれら施設の人件費、管理費への補填額を含めれば流用額は更に膨らむ恐れがある。
その上、ボーナスからの年金料徴収や給付年齢の引き上げ、給付額の引き下げが行なわれ、それでも足りないとして消費税などの引き上げが議論されている。それに有料高速道路の料金やタクシー料金、その他ガソリン、食料品などの値上げもある。
 この年金問題は、老齢者だけでなく、若い世代にとっても将来不安の最大の要因となっており、消費抑制の背景ともなっている。正に年金失政とも言える。
 4、健康保険についても、少子高齢化の中で制度を維持するため、自己負担を増やすことは仕方がないが、65歳以上の年金対象者については、単に年齢に基づき一律に引き上げるのではなく、年金を含む総所得が例えば800万円以上については現役時同様の負担、それ以下は70%負担、年収300万円以下は50%負担など、年収、支払能力の実態に沿った負担にすべきなのであろう。現在与党が検討しているのは、老齢者負担増の一定期間の猶予であるが、目先の対応でしかない上、所得機会が少なくなる75歳以上の負担を一律に引き上げるのは酷な話だ。
 更に、健康保険料の他に、いつの間にか介護保険料が付け加えられたが、実質的な健康保険料の値上げであり、年間7万円以上の追加支払いは年金生活者には負担が大きい。加えて、介護保険料が国民年金から自動的に差し引かれる仕組みとなっているようであり、実質的な年金給付額の引き下げとなり、年金生活者にとっては深刻であろう。老齢者が介護福祉のために困窮することになる。
 これでは、将来への年金不安に加え、所得の低い者の負担感が高くなることになり、「福祉」ではなく「酷祉」と言われても、また、健保・年金失政と言われても仕方がないのではないだろうか。
 厚生労働省への監督責任の欠如は、前防衛事務次官の過剰接待問題や政府関係事業の談合体質などを見ると、程度の差はあろうが、残念ながら「氷山の一角」でしかないのかも知れない。「官僚をうまく使う、仲良くやろう」ということ自体は誰しもそう思うが、それが政・官の仲間内の甘えやもたれあいの自己防衛などであれば、国民全体の利益に害する恐れがあり、行政監督責任が問われても仕方がないのであろう。
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年金・健保失政― 行政監督能力の欠如 - (改訂版)

2007-11-01 | Weblog
年金・健保失政
― 行政監督能力の欠如 -
1、10月31日、5千万件に及ぶ年金記録漏れ問題の原因等を追及するために7月に総務省も下に設置された「年金記録問題検証委員会」(座長松尾邦弘前検事総長)は、最終報告書をまとめ総務大臣に提出した。同報告書では、厚労省(旧厚生省)、社保庁に「使命感、責任感が決定的に欠如していた」とし、歴代の社会保険庁長官をはじめとする幹部職員の責任が最も重いとすると共に、監督する立場にあった歴代の厚生相、厚労相も「責任は免れない」としている。
 責任問題については、一般的な指摘で当然のことであろうが、今回のサンプル調査では、約5千万件(社保庁推定2兆3千億円相当)の内、入力ミスや結婚による氏名変更など、該当者の特定が難かしい記録が38.5%に上ることが明らかになった。その内、524万件は既に「氏名なし」であることが分っている。その上、死亡、年金受給の対象外など(約28%)を除くと、救済が比較的容易とされる者は34%弱でしかなく、08年3月までに是正するとしているが、救済されるのはせいぜいその程度に止まる可能性が強い。事実、救済作業も、約1万6千件の申し立てに対し9月末で190人しか記録救済できておらず、救済率は低い。それでも保険料を納付した国民の権利であるので1人でも多く救済されるべきであろうが、残りは払い損となる。
 2、膨大な年金納付の記録漏れ問題自体だけでも年金制度の信頼性を揺るがす問題であるのに、年金保険料着服・横領事件が数多くあったことが表面化し、横領した職員の刑事告発を巡って、国(厚労省・社保庁)と市町村など地方自治体とが対立している。
 これまでに明らかになっている着服・横領は、社保庁職員によるものが52件(約1億7千万円)、市区町村職員等によるものが101件(約2億4千万円)。これらの事件に対する社保庁と自治体の対応は、国民が納付した保険料の着服・横領であったにも拘わらず、免職や退職などの懲戒処分で、刑事告発されているのは1件程度しかない。それも横領事件の時効は7年となっているので、告発できるのは9件しかない。舛添厚労相は、これに対し、盗人は刑事告発し、法に基づき処罰するとの当たり前といえば当たり前の姿勢を明らかにし、関係自治体に告発を要請した。
 しかし、告発するのは東京都日野市のみで、大崎、池田、田村の3市は告発せず、その他は未定。その上、鳥取県倉吉市長など、着服が行われていない自治体から厚労相の言動に抗議がなされている。厚労相が就任当初、この問題で「社会保険庁は信用ならない。市町村はもっと信用ならない」と言ったのが背景にある。
そりゃあそうだ。社保庁だって52件、約1億7千万円の横領があるし、市区町村の横領事件の多くは何らかの形で同庁に報告してあっただろうし、そもそも厚労省・社保庁には監督責任があり、他人事のように地方自治体を批判する立場にはないのだろう。
増田総務相が、各自治体の対応につき、「適切かどうか最終的には住民が決める話」と述べたと伝えられているが、法治国家においては、横領その他の刑法上の犯罪は法に基づき判断されるべきであり、公務員については告発すべきことが定められているので(刑事訴訟法)、自治体や住民が判断することではないはずではないのか。住民が判断するのは、その上で自治体や政府の施策に対し下されるのであろう。
 このように長期に亘り多数の年金横領・着服を許したことは、歴代内閣、政権与党の行政に対する監督能力が問われるところでもある。また、会計検査院の検査体制や不正者の処分についての人事院の役割も問われるところであり、行政の適正化のための監視制度のあり方も課題となりそうだ。
 3、こんなにずさんな管理をしている上、厚生年金会館の建設など「福祉施設費」に約3兆5千億円、グリーンピアの建設や住宅融資などへの出資が約2兆円など、少なくても合計6兆8千億円近くが年金給付以外に流用、浪費されていることが民主党の質問で明らかになったと伝えられている。多くの施設については投売り状態であり、また、この金額にこれら施設の人件費、管理費への補填額を含めれば流用額は更に膨らむ恐れがある。
その上、ボーナスからの年金料徴収や給付年齢の引き上げ、給付額の引き下げが行なわれ、それでも足りないとして消費税などの引き上げが議論されている。それに有料高速道路の料金やタクシー料金、その他ガソリン、食料品などの値上げもある。
 この年金問題は、老齢者だけでなく、若い世代にとっても将来不安の最大の要因となっており、消費抑制の背景ともなっている。正に年金失政とも言える。
 4、健康保険についても、少子高齢化の中で制度を維持するため、自己負担を増やすことは仕方がないが、65歳以上の年金対象者については、単に年齢に基づき一律に引き上げるのではなく、年金を含む総所得が例えば800万円以上については現役時同様の負担、それ以下は70%負担、年収300万円以下は50%負担など、年収、支払能力の実態に沿った負担にすべきなのであろう。現在与党が検討しているのは、老齢者負担増の一定期間の猶予であるが、目先の対応でしかない上、所得機会が少なくなる75歳以上の負担を一律に引き上げるのは酷な話だ。
 更に、健康保険料の他に、いつの間にか介護保険料が付け加えられたが、実質的な健康保険料の値上げであり、年間7万円以上の追加支払いは年金生活者には負担が大きい。加えて、介護保険料が国民年金から自動的に差し引かれる仕組みとなっているようであり、実質的な年金給付額の引き下げとなり、年金生活者にとっては深刻であろう。老齢者が介護福祉のために困窮することになる。
 これでは、将来への年金不安に加え、所得の低い者の負担感が高くなることになり、「福祉」ではなく「酷祉」と言われても、また、健保・年金失政と言われても仕方がないのではないだろうか。
 厚生労働省への監督責任の欠如は、前防衛事務次官の過剰接待問題や政府関係事業の談合体質などを見ると、程度の差はあろうが、残念ながら「氷山の一角」でしかないのかも知れない。「官僚をうまく使う、仲良くやろう」ということ自体は誰しもそう思うが、それが政・官の仲間内の甘えやもたれあいの自己防衛などであれば、国民全体の利益に害する恐れがあり、行政監督責任が問われても仕方がないのであろう。
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