ぶきっちょハンドメイド 改 セキララ造影CT

ほぼ毎週、主に大人の童話を書いています。それは私にとってストリップよりストリップ。そして造影剤の排出にも似ています。

楽園 Rの物語 ローシェンナの場合ー決着ー

2020-04-24 22:00:00 | 大人の童話
「ただいま帰りました。義母上」
義母は赤いソファーのぼってりとした肘掛けから、弾かれたように左腕を上げた。
「えっ、ええっ?お帰りなさい。気づかなかったわ。ああ、驚いた」
言い訳文を差し引いても、瞬きが多過ぎる。
「失礼しました。目立たないように、客人を連れて参りましたので」
ルージュサンに促されて、男がのそのそと入って来る。 
義母の顔が、はっきりと引きつった。
「大変物分かりが良い方で、色々話して下さいました」
義母が男を睨む。
男はそっぽを向いた。
「認知されない異母弟を、義母上は何かと気にかけてあげた。彼にとっては見下され、顎で使われていた」 
ルージュサンは、懐から巻き紙を取り出した。
「彼に頼まれたゴロツキは偽名だと気付いて、覚書に手形を押させ、身元を確かめた。そんな相手を命懸けで隠す義理も無かった」
巻き紙を広げて義母の前にかざす。
「義母上も、一筆下さい。貴女が彼等に何をさせたか、そして今後、義父上や私の回りでおかしなことがあったら、貴女と貴女の息子、カナルから、全ての権利を剥奪することを了承する。依存はありませんね?」
義母の苛立ちを込めた視線を、ルージュサンは無表情で弾き返した。
義母はやがて深く溜め息をつき、立ち上がった。
静かにデスクまで歩いて、貝を象眼した椅子にどかりと腰を下ろす。
「なるべく私を殺さないようにと、指示して下さったそうですね。父上には、家では仕事の話をしないよう、それとなく釘を刺しておくだけにします」
ルージュサンが言葉を切った。
初めて浮かんだ表情は、苦し気だった。
「どうして私の信用を、貶めようとなさったのですか?義父上のご病状がすぐれないから不安になられた?私は養女の身、そしてカナルは私にとっても可愛い義弟です。代表の座も爵位も、カナルが成人したら譲ると約束したではないですか。貴女に信じて頂くことができなかった。娘として、それがとても残念です」
義母が持つ羽根ペンが大きくしなった。

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義母の部屋着をイメージして





作り方(Lサイズ)
直線で簡単です。

材料
ニット生地 約160cm×17Ocm
ゴム 約25cm 2本
ボタン 約2cm 1個


道具
裁縫道具一式
ミシン一式

1 ニット生地から、前身ごろ38cm×125cmを2枚、後身ごろ64cm×125cmを1枚、袖50cm×45cmを2枚を裁つ。各縫い代2cm込みです。
2 袖下線、脇線(裾から100cm迄)、肩線(外側から20cm迄)をジグザグミシンでほつれ止めする。
3 前身ごろと後身ごろを中表に合わせ、肩線と脇線を縫い合わせる。
4 前身ごろの肩線より内側を約45度に裏側に折ってVネックの形にし、下の線近くを肩線と平行に身ごろに縫い付ける。
5 後身ごろの首部分を、1cm幅で2回裏側に折り、4 で作ったVネックと続けて縫い、首回りを押さえる。
6 袖を中表に合わせ、袖下線で縫い合わせる。
7 袖口を裏側に1cm、次に5cm折り返し、ミシンで押さえ、表に返す。
8 身ごろと袖を中表にして縫い合わせ、縫い代は2枚一緒にジグザグミシンをかける。
9 8の縫い代部分に、ゴムを均等にまち針で細かく止め、ゴムを伸ばしながら縫い付ける。
10 左右前身ごろの合わせ部分を、裏側に4cm幅で2回折り、重ね合わせて端から5㎜の所を左右夫々、縫い合わせる。
11 裾を裏側に1cm、次に3cm折り、ミシンで押さえる。
12 合わせの上の方に、ボタンを付ける。






播州織り布マスク兼マスクカバー 紳士用?

2020-04-18 22:45:22 | その他
本文




布マスクは思いやりでもあると思います。
ウィルスから貴方を、しっかりと守ることは出来ませんが、知らないうちに、誰かにうつすリスクを、減らすことが出来ます。
勿論、ウィルスの感染経路である貴方の鼻や喉の粘膜を、乾燥から守ることも出来ます。
手作りマスクや、マスクカバーも色々ありますが、可愛い系やかっこよすぎる系はちょっと、という方もいらっしゃるかと思います。
そこで例えばこのマスク、表布は播州織りのWガーゼ、裏布は一般的なWガーゼで出来ています。
背広にも合わせ易いですし、日本文化がお好きな方にも、楽しんで頂けるかもしれません。
表布は目が粗く、裏布はポケット構造になっています。
一体型や、プリーツ入りの紙マスクも入りますので、マスクカバーとして使っても、息苦しさを感じにくいです。
又、布やペーパータオルを入れて、フィット感や通気性を調整出来ます。
この表布部分を、お好みのハンカチや、手拭い等にして作れば、オリジナルのお洒落を、楽しめるのではないでしょうか。
マスクゴムは、布を細く切って代用出来ます。

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参考までに

マスク兼マスクカバーの作り方






普通サイズの一体型&プリーツ入りの紙マスク対応の為、大きいです。小顔の方は、調整が必要です。


材料
表布 約36cm×19cm
裏布 約60cm×15cm
マスク用ゴム 約20cm 2本  


裁縫道具一式
ミシン・・・無ければ手縫いで

1 型紙を布に合わせ、チャコ等で印をつける。
2 efe`f`の外側のみ1cmの縫い代を取って、布を裁つ。
3 abcdを夫々中表に折って、縫い合わせる。
4 裏布の折り返し部分を1cm幅で裏側に二回折り、直線縫いで押さえる。
5 表布と裏布を中表に合わせ、eとe`、fとf`を夫々縫い合わせる。
この時aとb、cとdの縫い代が互い違いになるように倒します。ミシン初心者の方は、縫う時上に来る布の縫い代を、向こう側に倒すと、よれを防ぎ易いです。
6 マスク上下の縫い代を、ジグザグミシン、又はかがり縫いでほつれ止めする。
7 表布のヒモ通し部分の上下の縫い代を、裏側に折り、直線縫いで押さえる。
8 マスクを表に返す。
9 裏布上の下側が、裏布下の上側に被さる様に重ね、ヒモ通し部分と中央部分との境目から少し外側で、表布と縫い合わせる。
10 マスクの上辺中央から左右5cm、下辺中央から左右3cmを、端から2㎜の所で直線縫いし、押さえる。
11 表布のヒモ通し部分を裏側に二回折り返して、内側の端から2㎜の所を、直線で縫い、ヒモ通しを作る。
12 ゴム、又はヒモを通す。

楽園 Rの物語 ローシェンナの場合ー倉庫街ー

2020-04-17 22:00:00 | 大人の童話
大型船はずらりと並べられ、暖かい陽を浴びて休んでいた。
海は凪いで、湾の外にも波は見えない。
てらてらと、ゆらゆらと、光を弾くばかりだ。
翌日の昼前、倉庫が並ぶ港の一角では、数人の船乗りが、思い思いの体勢で、待ち時間を過ごしていた。
町からの道を、赤毛の女が、三人の男を従えて、せかせかと歩い来る。
時間丁度だ。
船乗り達が、立ち上がって並ぶ。 
「ペレン・サイズ船長ですか?」
赤毛の女が、真ん中に立っている船乗りに問いかけた。
「はい。そうです。早速、積み荷を運んだ倉庫にご案内致します。ところで、割り符は?」
「ああ、こちらです」
女が懐から紙片を取り出した。ペレンが自分の紙片と組み合わせる。
「確かに。こちらです」
ペレンに続いて女達が、続いて他の船乗り達が歩き出す。
女以外は、皆、潮によく焼けている。
「こちらです」
ペレンが錠前を開け、重い扉を開けた。
「どうぞ」
女達が中に入った。後ろで扉が閉められる。
同時に船員達が襲いかかった。
四人を縛り上げるのに、一分とかからなかった。
首を上げて、取り囲む船員達を見回しながら、女が叫ぶ。
「何をするっ!私はっ!」
「名乗るなっ!」
ぴしゃりとペレンが言った。
「その名を名乗られるのは不愉快だ。それでも髪を真似たつもりか?傷んだ茶髪かと思ったぜ。放っておけば爆発し放題の癖っ毛を、毎日といたのは、この俺だ!」
ペレンより少し若いサンが、覗き込む。
「俺はルーに憧れて船乗りになったんだ。それをこんなツラで、図々しい!」
一番年かさの男が続けた。
「そうだ!俺なんか、おしめを替え 」
「おしめっ!」
奥の暗がりから、叫びが聞こえた。
口を開けたままのセランの横で、面倒臭そうに赤毛の女、本物のルージュサン、が言った。
「初めての取引相手とはいっても、私が育った船から独立した人達です。事情を説明して協力してもらいました」
ルージュサンが虜囚達に近づきながら言った。
「中途半端な情報をあなた達に与えて、今回のことを頼んだのは誰ですが?」
前日セランの首に、刃を当てた男の前で屈み込む。
「素直に話せば、訴え出たりしません」
男が黙って睨み返す。
「手荒な真似をしても、お互い良いことはありません。無駄は省かせて下さい」
ルージュサンは彼の仲間達を順に見た。
「何方か話して下さいませんか?」
誰も何も言わない。
おむつを替えたトグルが口を挟んだ。
「一人話せばいいんだろ?後は積み込んで、沖で捨てればいいんじゃないか?」
サンが言った。
「俺も参加していいですか?勝った奴が夕飯を奢るってことで」
一番若いグラが、懐からナイフを取り出した。
セランが目を丸くして飛び出した。
「待って下さい!彼らは、私とルージュサンを出会わせてくれた恩人です。その上、素敵な一夜もくれた。なのに、殺すなんて!」
皆が一斉に彼を見て、ほぼ全員が脱力した。
サンだけが眉間に皺を寄せて、瞼を閉じた。
最初に気を取り直したのはルージュサンだった。
「私に任せると言いましたよね?」
押し潰すようにセランに言って、船乗り達に向き直る。
「夕飯は私が奢ります。手段は選びませんから聞き出して下さい。話せる口を一つ、持ち帰れればかまいません」
囚われた四人を見下ろして、船乗り達が物騒な笑みを浮かべた。
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一歳頃から船乗り達に育てられたルージュサンは、五歳の時、陸での休暇中、一日がかりで全員の花冠を編んで贈りました。
全員大喜びで、それがばらばらになるまで被っていました。
その後、ルージュサンは女の子だからと、情操教育の為、船の備品と乗組員達の衣服には、花柄を使うようになりました。
以来なぜか、航海中時化に会うことが無くなり、『幸運な花の船』と呼ばれることに。

トグルお気に入りのガラス製花柄ボタンを、イメージして。





材料
畜光プラバン
レジン液ハード

道具
油性マジック
ハサミ
オーブントースター
レジン用シリコン型 ボタン型
ピンセット

1 プラバンにマジックで花を描く。両面がお勧めです。
2 1をハサミで切り出す。
3 2をトースターで焼き、冷ます。
4 シリコン型に少量レジン液を流し込み、3をピンセットで並べる。
5 更にレジン液を流し込む。
6 5を紫外線に当て、固まったら、外す。


楽園 Rの物語 ローシェンナの場合ー月の海ー

2020-04-10 22:00:00 | 大人の童話
「では、メイド頭さんに?」
大きな月が、女の白い頬を照らしていた。
黒い筈の夜の海も、少し明るく見える。
見惚れながらも、会話は出来るものだと、セランは知った。
「はい。彼女に逆らえる者は、屋敷にいません。いつもお菓子と一緒に、小さなバッグに詰めてくれます。今日も、その袋と財布だけを持って、宿から出たところでした。そういえば、そのお菓子があります。いかがですか?」
そう言いながら、女は中指程の紙包みを差し出した。
「有難うございます。いただきます」
それは甘く、香辛料の香りと僅かな辛味が、食欲をそそった。
「美味しいです!」
「それは良かった。もう一ついかがですか?」
女が微笑みながら、差し出す。
「いえ、うっかり頂いてしまいましたが、まずは貴女が」
「大丈夫。まだ五、六本あります。それとも飴にしますか?」
「では、飴を」
飴を口に放り込むと、香ばしさが鼻に抜けた。
「何も盗られなかったのですか?」
「割符と、金貨を。ですが問題ありません」
どうして問題ないのか気にはなったが、他にも聞きたいことは山程あった。
「どうして場所が分かったのですか?」
「方角は体感で、時間は脈で、速さは馬車の音から。そしてこの方面で、洞窟を倉庫にしている集落は、一つですから」
「気を失ってたのではないのですか?」
「ふりです」
「手足は自由だったのですか?」
「手の間接を外しました」
何だか返事を聞く度に、新たな疑問が湧いて来るようだ。
「さっきから迷わず歩いていますが、それも身体で覚えているのですか?」
「はい。それを記憶の中の地図と、星と照らし合わせています」
「星を読めるのですね。私もです。天文を研究しています」
「天文で思い出しました。子供の頃から不思議に思っていることがあるのですが」
セランの目が明らかに輝いた。
「何でも聞いて下さい!全力でお答えします。私の三つある取り柄の一つです」
「有難うございます。どうも腑に落ちないのです。大船と小舟を繋げば、振り回されるのは小舟の方です。太陽は昼夜も四季も司る。その力は大変なものの筈。回っているのは本当に、太陽の方なのでしょうか?」
セランは棒立ちになって絶句した。
そして棒立ちになって、女の両肩を掴みがしがしと揺すった。
「私もっ!私もですっっ!!それでこの道に進んだんです。そして観察と計算を細かくしていくと、やっぱりこちらが回っているらしい。けれど皆、端から信じてくれない。けれども貴女は違った!同士ですっ!そして最初の理解者ですっ!!」
叫び続けて苦しくなり、勢いよく息を吸うと、飴が気管に入りかかった。
咳き込みながら我に返る。
「すみません。嬉しくって、つい。それにしても今日は良い日です」
セランが満面の笑みで女を見た。
女も笑顔で返す。
「先を急ぎませんか?」
「あ、それもすみません」
再び二人で歩き出す。
「あと二つの長所は何ですか?」
「リュートの弾き語りと・・・ええっ?!リュートが無い!!」
「高そうだと言って、盗っていきました。すみません、後で取り返します」
「とんでもない。それに別に構いません。ただ、貴女に聞いて頂けないのが残念です。では歌だけでも」
セランは思い切り息を吸い込んだ。
「まだ家がぽつぽつあります」
セランは大きく開けた口を、素直に閉じた。
「私も残念ですが又の機会に。もう一つの長所は?」
セランは珍しく苦笑した。
「顔です。無駄に美男だと言われています」
「無駄?なぜでしょう。美しいものは、神の庭を垣間見せてくれます。美しいというだけで、有り余る価値があると、私は思います」
再び足を止めたセランの、視線が女から外れない。
「貴女は、貴女は、貴女は、もうっ!やっぱり歌いたいです。私は!」
女も足を止めて振り向いた。
赤毛が波打って、月光を弾く。
「貴女は、炎だ」
セランは続けた。
「ただ、ひたすらに美しい。ああ、大切なことを言い忘れていました」
そしてひざまずき、女の手を取った。
「私と結婚して下さい」
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セランは義母を真似て、この月夜の海を、小さなタペストリーにしました。





材料
表布 26cm×26cm
裏布 32cm×32cm
貼る布 適量
貼る糸 適量
布用接着剤


道具
ピンセット
爪楊枝
ハサミ
ミシン

1 裏布の角を、1cm×1cm切り落とす。
2 表布と裏布を合わせ、裏布の四辺を表布に被せるように二回折り、ミシンで押さえる。
3 布と糸を、好きに切って、貼る。

私は織りの粗い化繊を使用したので、布用接着剤が使えず、ボンドを使用しました。
目のつまった、天然素材の使用を、お勧めします。