ぶきっちょハンドメイド 改 セキララ造影CT

ほぼ毎週、主に大人の童話を書いています。それは私にとってストリップよりストリップ。そして造影剤の排出にも似ています。

楽園 Rの物語 ローシェンナの場合ー憩いー

2020-05-08 22:00:00 | 大人の童話
私は判断を間違えたのかもしれない。
ルージュサンは珍しく後悔した。
研究熱心だというセランと、何かと忙しい自分の休日が、そうそう合うとは思えなかったし、その日に私の歌か思い付くことなど、滅多にあるはずがないと、高を括っていたのだ。
そして何と言っても、彼を身内のトラブルに巻き込んでしまった後だったのだ。
だから。
「僕と貴女の休日が合って、その日貴女の讃歌を思い付いたら、貴女の窓辺で歌わせて下さい」
と、別れ際に、寂しさと懇願の入り交じった目で見つめられ、承諾してしまった。
微苦笑して、手を振り別れた次の休みから。
一回も欠かさずに彼は来る。
五度目の時は流石に疑問で、
「合ったのではなく、無理に合わせているのではないのですか?」
と、尋ねると、
「勿論です!」
と、輝く笑顔で返された。
さしてかからず、彼は家中で『気のおけない変人』の地位を獲得し、今日も窓辺で歌っている。
整った顏、流れる艶髪、滑らかな歌声。
あの日取り戻した美しいリュートの、螺鈿細工と金と流線。
夏の初めの緩やかな、風に乗るのは、ルージュサンの好みに合わせた、パフュームだ。
そしてこの、快楽を遮るものは、何もない。
しっとりとしたビロードの、ソファーの上で、ルージュサンは目を閉じた。
「ちょっと、眠い」
「お寝みなさい」
セランは、喜びと慈愛を全身に滲ませて、静かに声を落としていった。
…………………………………………………………………………
ルージュサンは悩んでいました。
染色工房を見学させてもらった際に、カーテンを染めさせてもらい、自室のカーテンにしたのですが、やや左上よりに、蝶か鳥を描き加えたくなってしまったのです。

ルージュサンの部屋のカーテンをイメージして


材料
カーテン地 約108cm×250cm
布用絵の具

道具
裁縫道具一式
ミシン一式

水入れ
パレット
新聞紙

作り方
1 カーテン地を2等分し、夫々上下を2回裏側に折り畳んでミシンで押さえ、カーテンにする。
2 新聞紙の上にカーテンを乗せ、絵の具をパレットで混ぜ合わせ、水を加えて好きに描く。
3 乾かしてから洗濯する。


楽園 Rの物語 ローシェンナの場合ー希望を抱いてー

2020-05-01 22:00:00 | 大人の童話
本文をセランは帰宅するなり、軽やかに義母の部屋へと向かい、その扉を開けた。
「只今帰りました。義母上」
歌うように告げる。
義母は書類から顔を上げ、笑顔を見せた。
「お帰りなさい。どんな良いことがあったんですか?」
「分かりますか!。僕が今、幸福に満ち満ちていることが!!」
ーわからいでかっ!ー
ステップを踏んで、歌いながら部屋に来るのが通常だったら、きっと、病気だ。
「わかりますとも」
言葉を削って、頷いてみせる。
「僕、結婚します!」
「ええっっ!!」
義母は飛び上がり、危うく椅子ごと尻餅をつくところだった。
「やっと、やっとその気になったんですね!。相手は誰!?」
机に両手をつき、身を乗り出す。
「僕も後から知って驚きました。母上もご存知、ルージュサンです!」
ー後から知って?ー
疑問が湧いたが、この際、些細なことはどうでもいい。
「ルージュサン!?」
彼女であれは申し分無い。うちの嫁では役不足なくらいだ。これで私も楽隠居だ。
「彼女は女神の様に美しく、完璧に素晴らしい!!。いいや、完璧という言葉が不完全であることを、僕は知りました!!」
何だかよくは分からないが、港で偶然会ったのだろう。ルージュサンの趣味には驚いたが、これはチャンスだ。気が変わらぬうちに事を進めよう。
「では挨拶に伺いましょう。いつにしますか?」
見たこともない踊りをぴたりと止めて、セランが言った。
「あ、それはまだです。求婚は断られたので」
1.3秒、義母は間抜け顔で固まった。
「じゃあ、どうやって結婚するの?」
セランはとびきりの笑顔で義母を見た。
「彼女の気が変わるのを待つのです。いつまでも待ちます。大丈夫です。彼女は僕の運命の相手ですからっ!!」
こんな馬鹿なやりとりの最中でも、この男の笑顔はなんて、魅力的なんだろう。
義母は、よいしょっ、と、気を取り直して、この笑顔に望みを繋ぐ、ことにした。

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義母の部屋履きをイメージして



作り方
一部改善してあります。


材料
ドミット芯 約60cm×60cm(ダイソー)
表地(しっかりとしたコットン) 約20cm×30cm
内布(麻) 約50cm×30cm
底布(40cm×30cm)
ジョイントマット 1枚(ダイソー)

道具
裁縫道具一式
ミシン
ハサミ

1 ドミット芯をAの型で4枚、裏返して4枚裁つ。
2 ドミット芯をBの型で2枚、裏返して2枚裁つ。
3 表布をBの型でチャコで印を付け、縫い代1cmで1枚裁つ。裏返して同様に1枚裁つ。
4 内布をAの型でチャコで印を付け、縫い代1cmで1枚裁つ。裏返して同様に1枚裁つ。
5 内布をBの型でチャコで印を付け、縫い代1cmで1枚裁つ。裏返して同様に1枚裁つ。
6 底布をAの型でチャコで印を付け、縫い代を1cm付けて1枚裁つ。裏返して同様に1枚裁つ。
7 1と4を合わせ、印より1cm内側で縫い合わせる。
8 2と5を合わせ、印より1cm内側で縫い合わせる。
9 3と8を中表に合わせ、履き込み口を縫い合わせて表に返す。
10 9の履き込み口から1cm上側をミシンで押さえる。
11 7と10を合わせ、印から5㎜外側をミシンで縫い合わせる。
12 6と11を中表に合わせ、踵部分以外を印に添って縫い合わせ、表に返す。
13 ジョイントマットをAの型の5㎜内側で1枚切る。裏返して同様に1枚切る。
14 12に13を入れ、踵部分をかがり縫う。