ぶきっちょハンドメイド 改 セキララ造影CT

ほぼ毎週、主に大人の童話を書いています。それは私にとってストリップよりストリップ。そして造影剤の排出にも似ています。

Lの物語ー宿屋の夫婦ー

2019-09-27 07:00:58 | 大人の童話
客達の食器を洗い終え、朝食の下拵えも一段落ついて、宿屋の夫婦は暖炉の前で、甘いお茶を飲んでいた。
「明日は早く発つの?」
夫は頷いた。
「ああ。俺の下手な昔話で、奥方様の気が紛れるならな。朝出れば明後日の昼には着く」
妻の鬢の毛が一筋、スカーフの隙間から滑り落ちた。
「お小さい頃から、お身体がお弱くてはね」
「そうだな。最初一人で公爵様がいらっしゃった時には驚いたもんだが。話をうかがっているうちに、お気持ちが伝わって.....。伝わり過ぎたかもしれん」
夫婦は顔を見合せて、小さく笑った。
夫は妻の銀髪を、耳にかけてそのまま、頬を手で包んだ。
「私にも、伝わっているから大丈夫」
妻は夫の首に両腕を回した。

…………………………………………………………………………

夫人はスカーフを愛用。
色々アレンジして、静かにお洒落を楽しんでいます。




 
夫人のスカーフ。
モデルは扇風機。

材料
木綿のスカーフ(ダイソー) 
はんこ用消しゴム(ダイソー)
トレーシングペーパー(ダイソー)
そめーる絵の具 
紙 下書き用
布 試し押し用
鉛筆又はシャープペンシル
彫刻刀

1ー紙に図案を描く。
2ー図案を鉛筆又はシャープペンシルで、トレーシングペーパーでなぞる。
3ー裏返して消しゴムに重ね、擦って図案を写す。
4ー図案部を残して、45度の角度で消しゴムを削る。
5ー絵の具を筆に取り、消しゴムに乗せ、試し押しをする。
6ー修正があれば、する。
7ー絵の具を筆に取り、消しゴムに乗せ、スカーフの下に紙等を敷いて、押していく。
8ースカーフをよく乾かす。
9ースカーフを洗う。







Lの物語ー鍼師ー

2019-09-20 07:00:36 | 大人の童話
繁華街から西に三本入った細い通りには、レンガ造りの小さな住居が、隙間無く並んでいた。
その中では少し大きい建物の前で、画家は立ち止まり、ポケットから紙片を取り出した。
「私の薬草よりも、古傷には効くと思うんだ。でも、針を刺すんだよ。頭の天辺から足の先まで、どこになるかは分からない」
少し気の毒そうに言って、公爵が渡してくれたものだった。
それと同じ模様の様な文字が、板に書かれて張り付けてある。
懐に紙を収めて扉を叩くと、ぶっきらぼうな返事があった。
「開いてる。入るといい」
「こんにちは。私は公爵から紹介して頂いた......」
立ち上がって振り向いた姿を見、画家の動きが止まった。
つり上がった目と、小さな体に見覚えがあったのだ。
公爵邸の階段で、一度擦れ違った男だった。
その先の部屋には、公爵夫人を侍女しかいない時だったのだ。
男も覚えていたらしく、目に力が籠った。
「扉を閉める。そこに座って」
画家は言われるがまま、素っ気ない木の椅子に腰掛けた。
「私が何人も治すのを見て、公爵はご自身でお試しになった。そして勧められた夫人は、静かに受け入れたのだ
鍼師は言葉を切って、画家の目を見た。
「貴い身分で、勇気のいることだ
画家は穏やかに返した。
「私は奉公に出された木工屋で、公爵に見出だされ、画家の弟子にして頂きました」
鍼師と同じ分量の熱を、眼差しに込める。
「初めまして」
鍼師の視線から圧力が消えた。

………………………………………………………………………
模様の様な文字は店名で、鍼師のモットーでもあり、部屋のあちらこちらにデザインされています。




プチマット

材料
26cm四方の布(表布、裏布) 各1枚
3.6cm幅の布(縁取り)(バイアステープだと楽です) 106cm
幅3cm内径18.5cmのリング状の布 1枚
円形の布 直径20cmの布(円部分、文字部分) 各1枚  直径1.5cm 1枚  直径1cm 4枚
同色のミシン糸

道具
ミシン
裁縫道具一式

1ー表布と円形の布の中心を合わせ、円形の布の端の内側5㎜の所をミシンで縫い合わせる。
2ーリング状の布の両端に、5㎜間隔で3㎜の切り込みを入れ、端5㎜を下側に折り(アイロン推奨)円形の布に合わせて置く。
3ーリング状の布の両端1㎜の所をミシンで縫い合わせる。
4ー文字分の布を文字形に切り抜いて、円に合わせて置き、文字の端1㎜の所をミシンで縫い合わせる。
5ー1.5cmの布と、1cmの布を夫々に配置し、夫々の中心部をギザギザにミシンで縫い合わせる。
6ー文字の布を少し大きめに、赤い糸で縁取る(ミシンの都合で薄いですが、もっとしっかりと縁取る方が、良さそうです)。
7ー表布と裏布を合わせて、縁から5㎜の所を縫い合わせる。
8ー縁取りの布の両端を幅8㎜で内側に折り、更に左右同じ幅に折る(アイロンで折り癖をつけることを推奨。私は手を抜いたので、仕上がりが良くないです)。
9ー縁取りの布で四方を囲み、内側の縁から1㎜の所を縫う。











Lの物語ー夫人ー

2019-09-13 07:00:20 | 大人の童話
その部屋の内壁には、遠方から取り寄せた、熱と湿気を吸出する石が張り巡らしてあり
、雨続きの秋の日でも、幾分過ごし易かった。
中央にある大きな天蓋の中には、婚姻の際誂えた、ゆったりとした寝台と揃いのテーブルが、二組並んでいた。
そのテーブルの片方には、読書用に角度を変化させる他、幾つかの細工が施されていた。
寝台で上体を起こし、インク壺とペン立てを置き、紙をバネ細工で押さえて、公爵夫人は満面の笑顔を画家に向けた。
「嬉しい!これで読むだけじゃなく、自由に書けるわ。有難う!」
「お易いご用です。ところで何をお書きになるのですか?」
「お話をね、書き留めておきたいの。神話や伝承の本を沢山読んでいると、色んな場面が浮かんで来て。寝ながらお話に組み立てているの」
画家は少し目を見張ってから、大きく頷いた。
「それは是非、読ませて頂きたいです。どんなお話しなのですか?」
「子供向けの短いお話ばかりなのだけれど、夫は喜んで聞いてくれるの」
「では、書くのも公爵様の為に?」
「ええ、でもまだこれも内緒にしておいてね」
夫人が悪戯っぽく笑った。
「はい。確かに」
画家も口の端を上げて返した。
眉の長い老け顔も、そうすると二十歳そこそこの年相応に見える。
「では、私はそろそろ、絵描きに戻らせて頂きます
「一年がかりの仕事だなんて。夫が無理を言ってご免なさいね」
「いいえ、残りは冬の東西南北。奥様の誕生日には、間に合うと思います」
「有難う」
夫人はふわりと微笑んだ。
「ところで足はどうなさったの?。普通に歩いていらっしゃるようで、足音が少しおかしいわ」
画家が苦笑した。
「陽気のせいで、古傷が少し痛むだけです。お気になさらず」
「そうなのですか」
夫人から珍しく笑顔が消え、ふっくらとした唇には、白い指先が当てられた。

..................................................
大人はあまり使わなくなったイヤリング等を、タペストリーにして飾っています。

画像は私のジャンクジュエリーが中心です。



材料
グリップ
ピアス、イヤリング等
刺繍布
細いワイヤー

道具
ニッパー
 
ピアスを刺繍布に通し、止める。
キャッチがあるもの、リングのもの以外は、ワイヤーで後ろから固定する。
上にクリップを止める。







Lの物語ー公爵ー

2019-09-06 07:00:45 | 大人の童話
「やあ、いらっしゃい。今日も宜しく。ところで妻を知らないか」
せかせかと聞く公爵に、画家は手を止め、南窓を示した。
「お帰りなさいませ公爵様。先ほどからお庭に」
公爵は頬を緩めて、窓に寄った。
「庭?体調がいいのか。ああ、あれだ」
門の近くに、か細い後ろ姿が見えた。
「又、こっそりとお戻りになったのですね。今度はどんな贈り物ですか?」
「東の街道に。本棚でいっぱいの宿屋があると聞いてね。やっぱりうちに無い神話の本も入っていた。二冊譲ってもらったんだ」
「それで三日もお留守だったのですね」
「その甲斐は充分にあったよ。旅人が残した昔話も沢山聞けたし」
「奥方様も大喜びなさいますね」

画家と公爵は笑顔を交わした。
「うん。会って来る」
公爵は早足で階段に向かった。

………………………………………………………………………………………………………………………………
外を指した画家の指に指輪はありませんが、左手首にはいつも、ブレスレットを嵌めています。

画家の秋のブレスレットをイメージし、骨太な女性用に作りました。




材料 
レースリング(四角 小) 14個 (ダイソー)
レース糸(ゴールド 30号)
丸小ビーズ(ブロンズ) 114個
一分竹ビーズ(赤)15個 (黄緑)17個 (紫)17個 (ゴールド)28個
スワロフスキー4㎜(ルビー)1個 (LCトパーズ)14個 (サファイア)14個 (BKダイヤ)14個 (アメジスト)14個
テグス糸 1、5m

道具
かぎ針
ビーズ通し

材料の量はブレスレットの長さで変わります。

1ー編み始めの糸は12cm残し、他はレースリングの説明書通りに14個編む。

2ー編み始めの糸を次のレースリングに2回掛け、それを束ねる様に巻き付けてレースリングに編み込んで端処理する。
同様に全てのレースリングを繋ぐ。

3ーレースリングの端の角から、左右同じ長さに出るように、ビーズ通しでテグスを通す。

4ー一度目は筆記体のX、二度目はXになるようにビーズを通し、向かいの辺に固定する。

5ーその角の少し外側からテグスを出し、一分竹のビーズを夫々通す。

6ー赤いビーズの左右からテグスを通し、リングを繋ぐ糸の後ろを通してから、もう一度ビーズに通す。

7ー夫々のテグスに一分竹ビーズと丸小ビーズを通し、隣のリングに差す。

8ーそれを繰り返し、全てのリングを繋ぐ。

9ー50cmのレース糸を3本、端のリングに左右同じ長さに掛け、三つ編みにし、縛る。

10ーもう片方の端のリングも同様にする。

11ー三つ編み部分に20cmのテグスを通し、固定しながら丸小、一分竹ビーズを通す。

12ーもう一方の三つ編みも同様にする。

13ー二本の三つ編みを重ね、レース糸でかぎ針編みの細編みの様に編み、束ねる。

14ー細編み部分に、丸小ビーズと赤いスワロフスキーをテグスで固定する。