翌年、ルージュサンは男の子を産んだ。
あの不思議な空間で、授かったとしか思えない子だ。
産婆が開かせられなかった拳は、セランが触れるとふわりと開いた。
そして五つづつ小さな種が、セランの掌にこぼれ落ちた。
「なんだろう。この種」
セランは首をかしげたが、すぐに嬉しそうに叫んだ。
「あの時僕、他の実も食べてみたいと思ってた!!」
「じゃあ『神』からのプレゼントですね」
ルージュサンが笑いながら言う。
「うん。僕、これ庭に植えるよ。実ったら皆でたべようね」
「楽しみです。それにしてもこの子には、大変な運命がまっていそうですね」
「うん」
セランが赤ん坊を覗き込む。
その額には、見事な宝石の輝きが見えた。
完
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