ぶきっちょハンドメイド 改 セキララ造影CT

ほぼ毎週、主に大人の童話を書いています。それは私にとってストリップよりストリップ。そして造影剤の排出にも似ています。

Rの物語ー主張ー

2020-01-31 22:00:00 | 大人の童話
「ヤンさん。最近、お嬢様のお皿が少し軽くないですか?」
ワゴンに料理を預かりながら、マルが聞いた。
「前程動かないので、お腹が空かないそうだ。残すと悪いし、子爵を心配させたくないからと、ここに言いに来られた」
マルが眉をひそめた。
「この一年、背ばかり大きくなられて、細っこいままなのに。慣れないお仕事でお疲れなのかねえ」
「それはあると思うが・・・・冷める前に運んでくれ」
「ああそうですね。でも、男親ってものは、鈍いというか何と言うか・・・・・」
「滋養があるものを考えておくよ」
ぶつぶつ言いながら去って行くマルの背中に、ヤンが声を掛けた。

倉庫の第二区画で、カイルとサンは、子爵と、それに従うルージュサンと擦れ違った。
互いに微笑みながらも、儀礼的な挨拶を交わす。
サンが小声でカイルに問う、
「お前も気付いたか?まだ、まともに見られないのかと思ったよ」
「なんですか?それ」
サンが頬を膨らませる。
「お嬢様のドレス姿には、確かに皆が驚いた。だけど口を開けて見とれていたのは、お前だけだったぞ」
サンはむきになって言い返した。
「口なんか開けていませんよ!」
急な大声に、ルージュサンが振り向く。
その時、立て掛けてあった浮き彫りが施された長い柱が、向こう側にずれるのか目に入った。
その先には、カイルとサンがいる。
「走れっ!!」
カイルとサンが弾かれたように走り出す。
ルージュサンも、叫ぶと同時に柱を止めようと走り出そうとし・・・・・つまづいた。
バーンッッッ!!!
柱が倒れて、割れた❗
カイルとサンは無事だった。
ルージュサンは、血の気の引いた顔でしゃがみこみ、顔を手で覆ったまま、小さな声で言った。
「このドレスは、もう嫌です」

…………………………………………………………………………
子爵の商社では、今まで就業中に亡くなった
人か3人います。
従業員二人の肖像画は、立派な額に入れて事務所に飾ってあります。
けれども子爵の息子は、防止しなければならない側だったので、小さなフレームに収まって、子爵の引き出しの中にあるだけです。

子爵のフレームをイメージして








材料
小さな木のフレーム(ダイソー)
ステンドグラス風シール(ダイソー) 


道具
ハサミ
カッター

シールを切って貼るだけです(o´▽`o)ノ。







Rの物語ー変化ー

2020-01-24 22:00:00 | 大人の童話
子爵は上機嫌だった。
やっと、ルージュサンを隣に置けるのだ。
一年かけて現場で学ばせ、嫡子の届出に承認も受けた。
今日から私の跡取りとして、仕事や振る舞いを見習わせるのだ。
改めて、領地も連れ回らなければならない。
その為のドレスも沢山用意した。
腰からふわりと広がって、靴先が出るか出ないか。今時のデザインだが、装飾は控え、シンプルだ。
今まで、仕事場では小僧のようななりで、休日も、乗馬だ剣だと動き回り、男装が多かった。
けれども、たまに女の子らしい格好をしていると、人形のように愛くるしかったのだ。
ー妻がまだ生きていたら、女の子を持った楽しみを、共に味わえただろうにー
やがて現れたルージュサンの姿に、子爵は深く息を吸い込み、満足と共に吐いた。

子爵が連れた少女に、倉庫の中はどよめいた。
まずは、その可愛らしさに。
そして、それがルージュサンであることに。
見習いの『ルー』が、『お嬢様』に、ブラインドの角度を変えたように、変化していった。

新しい仕事も面白かった。
トータルの数字から、改善点を探しだし、綿密に検討する。
各方面にアンテナを張り、商機に繋がりそうな情報をキャッチして、篩にかける。
領地には隅々まで目を行き届かせつつ、名主にも任せる。
ドレス捌きも板に付いてきた。
ただ、皆との距離が、変わってしまった。
役割が変わると関係性も変わる。
覚悟はしていたつもりだったが、ここまでとは思わなかった。
「ちょっとダインを呼んで来てくれ」
「はい」
ルージュサンが、倉庫の扉を開けると、出会い頭に、サンとぶつかりそうになった。
「すみません、お嬢様」
サンは視線を落として、足早に通り過ぎた。
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ドレス姿ではない時、ルージュサンは自分で髪を纏めます。
お気に入りは、レース糸で編んだ、金糸の入ったリボン。
伸縮性があって扱いやすく、長いのでターバンのように使ったり、編み込んだりも出来ます。

ルージュサンのリボンをイメージして




掲示係 縦猫ちゃん 横猫ちゃん

材料
レース糸 20号 約160m(ダイソーで、約2玉) 

道具
レース用編み針  0~6号

『素敵にハンドメイド』を参考に作りました。
2番目、3番目、1番目の順に、長編みを繰り返すだけですが、勘がなかなか戻らず、目が揃っていません( ;∀;)。

長さは160cmです。






Rの物語ー懸念ー

2020-01-17 07:00:00 | 大人の童話
「父上、乳を搾りに行っていいですか?」
子爵は飲み込んだ筈の食前酒で、危うくむせるところだった。
咳払い一つで気を取り直し、問い返す。
「乳を、搾りたいのかね?」
「はい。カイルの実家に牛がいて、搾らせてくれるそうなんです」
ー馴染み過ぎだー
子爵は思った。
自分の時は、最初から経営者の補助として職場に入ったので、現場を把握するのに時間がかかった。
だから敢えて、ルージュサンを見習いにしたのだ。
ルージュサン一月足らずで「ルー」と呼ばれるようになり、三ヶ月たった今では、すっかり現場に溶け込んでいる。
けれど、適当な距離というのは、あるものなのだ。
「二人で行くのか?」
「いえ、倉庫係が五、六人、他の部署から四、五人の予定です」
特定の相手ばかりなら問題だが、全体とならまあいいだろう。
職場の輪を作るにも、悪くはないのかも知れない。
「そうか。では酒とハムでも、みつくろっておこう」
「よろしくお願いします」
ルージュサンは嬉しそうに、茸のキッシュを頬張った。
「皆で乳を搾るのかね?」
「はい。経験のない者は教わってから、乳搾り競争をして、次の日飴を持って来る者を決めます」
「ならば、飴の用意もしておこうか?」
真顔の子爵に、ルージュサンが不思議顔で答えた。
「願掛けですか?。私に勝ち目は無いです。諦めて下さい」
今度は子爵が意外そうに尋ねた。
「勝った方が奢るのかね?」
「そうです。それから藁を運んだり、お手伝いをさせてもらいます」
「カイルの親御さんは、具合でも悪いのかね」
「お父上が先日、腰を痛めたそうです」
「では、早い方がいいね」
「はい。次の休みに行ってきます」
ルージュサンの無邪気な笑顔に、子爵は一抹の不安を覚えた。

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昔、この地方は他国に侵略され、服従の証として、300頭の牛の首を、差し出すように言われました。
同時の名主が一計を案じ、張りぼての牛の首を差し出したことを記念して、毎年牛祭りが開かれるようになりました。

牛祭り参加記念の張り子の牛









材料
粘土 一握り
サランラップ 20cm四方
セロハンテープ 少量
デンプンのり 一絞り

新聞紙 1枚
半紙 2枚
折り紙 1枚
他の折り紙 お好みで

道具
張り子を乗せる板
糊を塗る筆
糊を溶く器

1ー外し方を計算しつつ、粘土で型を作る。
2ー新聞紙と半紙を、繊維の方向に沿って約1cm幅に割き、2cm位の長さに千切る。
3ー型が乾いたらラップで包みセロハンテープで止める。
4ー糊に等量の水を少しずつ入れ、溶かす。
5ー3に2の新聞紙を、4を筆で塗りながら貼る。
6ー5に2の半紙を、4を筆で塗りながら貼る。
7ー乾いた6の紙部分をカッターで切り、型から外す。
8ー7の切れ目に2の半紙を4で貼り、全体を折り紙で包んで4で貼る。
9ー好みで目、耳等に、違う折り紙を貼る。

干支飾りにする場合は、目鼻に色紙を貼らず、服を着せても良いと思います。











Rの物語ー適応ー

2020-01-10 07:00:00 | 大人の童話
灰色をした石造りの倉庫は、六つの区画に別れ、風通しや日当たり、棚の大きさに合わせて、荷が積み分けられている。
倉庫長のダインは、荷の入った木箱に、納品先の記号を書いていた。
「あっ」
木の継ぎ目に引っ掛けて、チョークが折れた。
2秒とかからず、替えのチョークが差し出される。
「ありがとう」
隣の柱の物入れから、ルージュサンが取って来たのだ。 
荷の管理に回る時、ダインはルージュサンを隣に付けている。
それ以外は、一つ年上のサンと同じように、男達の補助をしたり、軽い荷を運んだりしていた。
教えた以上のことを読み取って、決して忘れない。
日焼けこそすっかり抜けて、白い肌をしているが、元船乗りだ。
見た目よりずっと足腰が強く、荷の扱い方も心得ていた。
「おい、サン!。昨日入った陶器、ルージュサンと一緒に奥の陳列棚に並べて。昼過ぎにお得意様が見に来るから」
「はいっ!」
同じ区画で、荷下ろしを手伝っていたサンが、威勢よく答える。
「こっちだ、こっち!」
少し偉そうに、腕を高く上げて先に行く。
「俺、左の箱を持つから、右のを持って。こっちだ」
サンは殊更に急いだが、ルージュサンはぴたりと付いて来た。
「その箱の中身、一番下の棚に並べて。俺は上の棚に並べるから。綺麗に拭いて、割らないようにだ」
サンはそう言って、乾いた布を放った。
今度こそ経験の違い訴えたかった。
記憶力で敵わないのは明白だ。
他で勝たなければ、「頭が足りないから『ルージュサン』じゃなくて『サン』」と、呼ばれかねない。
一つづつ取り出し、素早く丁寧に拭いていく。
と、、、手が滑った。
すぐ左に、ルージュサンがしゃがんでいる。
重い壺だ。
サンの悲鳴より早く。
"ゴン"
鈍い音がした。
続いて、
"ガチャンッ"
という、壺が砕ける音が、、、、しなかった。
代わりに、
「キャッチ」
と、明るい声がした。
ルージュサンが、床ぎりぎりで受け止めていたのだ。
「上手でしたよね。私」
笑顔で見上げているが、右の額がみるみる膨らんでいく。
近くにいた人夫達が、手を止めて集まって来た。
カイルが布を濡らしに桶に走る。
ー壺が無事なのは良かった。ただ、これは…ー
大人達が青ざめる中、ルージュサンが立ち上がった。
「すみません。しくじってしまいました」
申し訳なさそうな顔をしている。
「もう少し、早く動ければ良かったのですが、手元に気を取られ過ぎてしまって」
「何言ってんだ、お前っ」
サンが怒った。
「俺が悪いに決まってるじゃないか!『キャッチ』じゃないだろう!。傷は…無いな。でもこんなに腫れてる!!」
丁度目の前に来た額を、染々と見る。
カイルが、左手で濡らした布を瘤に当て、右手でサンの頭を後ろから叩いた。
「そうだ。お前が悪い」
我に返って、赤い顔で謝るサンに、ルージュサンが笑った。


「その瘤はどうした?」
帰宅の挨拶をするなり、渋い顔で子爵が聞いた。
「失敗しました。申し訳ありません。以後気をつけます」
額の右側が、鶏卵大に腫れ上がり、赤くなっている。
「痛むだろう」
「少し。でも大したことありません」
ルージュサンは笑顔を見せた。
「昔、船室にいた時に、いきなり船が大きく揺れて、同じ位の瘤を作ったことがあったのです。気が緩んでいるからだと、よってたかって怒られたんですけど、そこに入って来た船長の額に、もっと大きな瘤があったんです」
「それは皆、困っただろうね。私は昔、階段から落ちたことがあって……」
子爵は小さく笑いながら、子供の頃の話をする。
子爵に報告が入っていることを、ルージュサンは分かっていた。
そして、それに子爵が気付いていることも。
その上で、お互いの昔話を、楽しく語り合った。

…………………………………………………………………………
子爵の亡き妻が倉庫に来た時、その味気なさが気になりました。
そして目をつけたのが、内側にコルクを張った、木製のチョーク入れでした。
仕立て屋から貰った端切れでカバーを作り、飾りを時々替えることに。
それは次第に、夫人と使用人達の、無言のコミュニケーションツールになっていきます。

…………………………………………………………………………
チョーク入れをイメージしたウォールポケット







本体は百均で調達する予定でしたが、ふと橫を見ると、ジャストサイズのティシューボックスが。
ポケットの出前部分は本体の半分の高さ、
奥部分は半分+4cmの高さで、側面は斜めに。上部の角は丸みをつけて、カット。
キリで穴を開けました。

カバー部
材料
布 約40cm×40cm
糸 
但し、私はニットの端布を使った為、裏全面に、接着芯をアイロンで貼りました。

道具
裁縫セット
ミシン

本体から直接型を取り、口部分は3cm以上、それ以外は1cmの縫い代で裁断する。
口部分を内側にJ字型に折り返し、縫う。
キャップ部分とポケット部分を中表にして縫い合わせる。
本体に合わせて穴を開け、縁をかがる。

飾り部分 土台
土台部 表布,裏布,キルト芯 約15cm×15cm
花大用 表布,裏布,キルト芯 約10cmの円型
花小用 表布,裏布,キルト芯 約6cmの円型
面ファスナー 約20cm

1ー夫々を中表にし、キルト芯を重ねて、返し口を残して縫い合わせ、表に返す。
2ー返し口をかがる。
3ー土台に花を縫い付ける。
4ー面ファスナーを2つに切り、カバーと装飾部の土台の上下に付ける。

飾り
材料
端布
布用接着剤

1ー布を好みで切る。
2ー布用接着材剤で貼る。

接着剤によっては、直接触れない方が良いものもあるので、ご注意下さい。
端布で作るのがテーマでもあったので、縫い代、型紙の取り方等は、端布に合わせました。


























Rの物語ー職場ー

2020-01-03 07:00:00 | 大人の童話
一月後、子爵が営む貿易商社の倉庫には、使用人達が呼び集められていた。
はにかみをそうになるのを打ち消すように、子爵が声を張った。
「私の養女ルージュサンだ。仕事を一通り学ばせたいので、手間が増えて申し訳ないが、面倒をみて欲しい」
子爵の橫に立っているのは、使い走りの少年と同じ身なりをした、細身の子供だった。
髪は後ろで三つ編みにし、顔は日に焼けて小麦色だ。
「えっ、お嬢様?!」
思わず口にしたのは、新入りのサンだった。
顔を強ばらせる者、笑いを圧し殺す者。
子爵は一瞬の間の後、豪快に笑った。
「この格好がよく似合うだろう。ずっと船乗りだったのだ。けれどもドレスはもっと似合うぞ。ああそれと、見習いの間は呼び捨てでいい。『ルージュサン』だ」
「『ルージュサン』です。宜しくお願いします」
煌めくような声が、倉庫に響いた。
…………………………………………………………………………
サンは5才の頃から、親戚宅で育てられました。
そして、長兄から貰った帽子だけを持って、
その家を出ました。

母が長兄に作った帽子をイメージして。


モデル 大猫ちゃん。


型紙





Cは広告で作ってしまいました(^-^;。

材料
表布 約70×100cm 
フェルト 約70×100cm
サイズテープ 1本

型紙 A(頭頂部) B(側面からツバにかけて) C(ツバの内側)

道具
裁縫道具一式
ミシン一式

1ーAを1枚、Bを6枚、Cを2枚、表布とフェルトで裁つ。縫い代はフェルトのCの曲線部分を除いて1cm。
2ーBを中表にして橫に縫い繋げ、ドーナッツ状にする。縫い代を開き、縫い目から5㎜の所にミシンをかけ、縫い代を落ち着かせる。
3ーCを橫に縫い繋げ、ドーナッツ状にする。
縫い代は2と同様に処理する。
4ーAと2を中表にして、縫い合わせる。フェルトの方のみ、縫い代をA側に倒し、縫い目から3㎜の所を縫い、縫い代を落ち着かせる。
5ー4の表布の方の縫い代をA側に倒し、縫い代を押さえるように、仮縫いする。
6ーフェルトの方の3と4を中表にし、端を合わせて、端から3㎜の所を縫う。
7ー4と5を中表にし、2と4で出来た縫い目を合わせ、Aの周囲の縫い目の5㎜内側を縫う。
8ー7に、表布の3を中表に合わせ、表に返して縁から1cmの所を縫う。
9ーCの内側の縁は、フェルトを表布でくるみ、サイズテープを5㎜重ねて、縫い合わせ、ジグザグミシンをかける。サイズテープは始まりと終わりを15㎜重ねて縫う。
10ーサイズテープとB同士の縫い代部分を、手縫いで繋ぐ。

実は、サイズテープが無かったので、誤魔化して作りました(^-^;(^-^;。