50歳になった。半年前ですが。50になると、天爵を考える。
孟子で教わった、天爵。たぶん、高校時代の漢文で教わった。
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孟子曰く、天爵なるもの有り、人爵なるもの有り。仁義忠信、善を楽しみて倦まざるは、これ天爵なり。公卿大夫はこれ人爵なり。
いにしえの人はその天爵を修むれば、而して人爵これに従えり。
今の人はその天爵を修むれば、以て人爵を要(もと)む。
既に人爵を得てその天爵を棄つれば、すなわち惑いの甚だしきものなり。ついにまた必ず亡からんのみ。
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この、とてもいい、伊藤仁斎の注釈:
天爵無くして人爵至るは、義にあらざるなり。これを受くべからず。
天爵有りて人爵これに従うは、義なり。まさにこれを受けるべきなり。
天爵有りて人爵至らざるは、命なり。これに安んずるのみなり。
これ、義・命の弁なり。
これ、義・命の弁なり。
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西郷隆盛の「人を相手にせず、天を相手にせよ」というのも、
人爵を求めず、天爵を求めよ
ってこと。西郷もこの孟子の一節を愛吟していたはずだ。