「仁」と「義」は相反する。矛盾する。抵触する。
ってなことが執行草舟『現代の考察』(←私の執行草舟本として12冊目)に書いてあった。
ハッとした。そう考えたことなかった。
義ってそもそもなんだろう。パッと一語で言えなかったけど、要するに「秩序」だなと思った。ページを捲っていると執行草舟もそう言っていた。
私はあえて男らしさ・女らしさという言葉は使いませんが、父性と母性は使う。子どもの養育において、父性と母性は分けて考えている。
例えば。
子どもが喧嘩して、怪我して帰ってきたとする。
「負けて泣いて帰ってくるな!やり返して打ちのめして来い、勝つまではウチに入れん!」と追い返すのが父性。
一方、「怪我して大丈夫?」と絆創膏を貼ってあげるのが母性。
両方必要だと思う。要はバランス。私も、23歳のとき、交通事故を起こして顔面血みどろで帰宅した際、親父にゲンコツでコツンと殴られた。その父性に涙した。昔は女性でも父性的価値バリバリの人も多かった。
ちなみに以下がChatGPTの「義」の説明:
1. 正義や正しさ:「義」は道徳的な正しさや正義、正当性を意味します。正しい行い、良心に基づいた行動を指す際に用いられます。
2. 人との関係性における忠誠や誠実さ:「義理」という言葉が示すように、人間関係において相手に対する義務や責任を果たす姿勢も含まれます。友人や家族、職場の関係における誠実な態度を指します。
3. 約束や契約の履行:一度結んだ約束や契約を守ること、信頼関係を重んじることを表します。
2. 人との関係性における忠誠や誠実さ:「義理」という言葉が示すように、人間関係において相手に対する義務や責任を果たす姿勢も含まれます。友人や家族、職場の関係における誠実な態度を指します。
3. 約束や契約の履行:一度結んだ約束や契約を守ること、信頼関係を重んじることを表します。
4. 倫理や道徳:倫理的・道徳的な価値観を持ち、他者と調和の取れた社会的な行動を意味することもあります。
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要するに「義」ってのは、秩序であり、父性的価値。
一方、「仁」ってのは、情愛であり、母性的価値。
この対比の文脈では、そう言える。なお、「仁」には広義と狭義があり、広義では広く人の道、狭義が思いやり。上記は狭義の文脈。
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現代は、母性に傾いている。現代の「ヒューマニズム・ファシズム」は、母性に振り子が振れすぎている。
「弱者救済」は母性的価値。「秩序維持」は父性的価値。
似たような文脈で、「機関車を走らせるのが政治家で、落ち葉拾いをするのが法曹」と昔(35年くらい前)佐藤道夫さんが週刊朝日の連載で書いていた。政治家が父性で、法曹が母性。
なお、以下の『検事調書の余白』は名著。法曹に興味ある方は必読。
ヒューマニズムという母性に傾きすぎた現代に、執行草舟は悲観的。「もう人類は滅びるしかない」的なことを書いている。
その母性化した世俗社会から逃げ出すためのエクソダス(出エジプト記)として、『脱人間論』をものしている。
現代社会が、母性的なヒューマニズム=仁に傾きすぎている。
父性的な秩序維持=義が忘れ去られている。
こういう視点を持つだけで、世界を見る眼が変わってきます。