野に撃沈2

多摩地区在住の中年日帰り放浪者。(k10D→k7→k30→)k‐5Ⅱsを忍ばせ、人気のない野山や公園、路地裏を彷徨い歩く

北海道を歩く③

2013-06-28 | 旅行

 雨竜沼湿原入口から車を走らすこと3時間余り、富良野岳の南麓に位置する原始ヶ原に着いたのは12時を回ったころだった。空は雨模様、もうすぐにでも降り出しそうだ。

 

登山道入り口の鳥居

 

 コースは本来周回できるのだが、滝めぐりコースは橋が流されて通れないようなのでピストンしなければならない。二人組の登山者が9時過ぎに入山届を出していた。戻ってくるまで会うことがなかったのはどういうことだろう。

 

 歩き始めるとすぐにちょっとした急登が始まった。ナナカマドの花が見える。

 

 整然とはしてないが、道は一応しっかりとしていて迷わず行けそうだ。

 

 ミヤマオダマキが今にも咲きそうだ

 

 真っ赤なツツジ、ムラサキヤシオだろうか

 

 

少し登っただけでたくさんの花たちが出迎えてくれた。

 左上からニョイスミレ、ゴゼンタチバナ、キバナノコマノツメ、ノウゴウイチゴ

 

ミヤマスミレ

 

 オオカメノキ

 

ハクサンチドリはここではまだ蕾

 

ズダヤクシュ

 

 

 

 ツクバネウツギをさらに黄色くしたようなウコンウツギ、北海道の山ではよく見かける花のようだ。

 

 フッキソウ

 

これは嬉しいヒメイチゲの花だ。内地とは2か月ぐらいの季節差がある。

 

 

1時間以上来たところで天使の泉の看板があった

 左側の岩の割れ目から湧き出した水はそのまま再び地下へと流れていく。地上に現れた時間が短いからか、地下のミネラル分をよく含んでいてとても美味しかった。

 

 ミヤマカタバミ

 

 これまた嬉しい、ツバメオモトの花だ。

 

 

 

 ミヤマエンレイソウ

 

 広原の滝。水量はかなり多い

 

 この先流れの強い川を石伝いに渡渉

 

 急坂を登りきった先には荒漠たる湿原が広がっていた

 

 傾いた登山道の標識

 

 どうやら原始ヶ原にたどり着いたようだ

 

 ミズバショウがあちらこちらで咲いている

 

 

 

 やっとショウジョウバカマも顔を出し始めた。

 

 ワタスゲの花

 

 これはヒメシャクナゲ

 

 

 左右に同じような湿原がずっと続いていて果てしがない

 

 どこが道なのかわからなくなってくる。時折見られる赤テープがなければ、たちまち道を見失ってしまいそうだ。

 

そのまま盆栽にできそうな背の低い、風雪に耐えた針葉樹があちこちに見られる。

 

 松浦武四郎(江戸末期から明治にかけての探検家、北海道の命名者といわれる)通過の地の碑。

 150年前とほとんど変わらぬ風景が確かにここにはある。

 

 ガスが濃くなり、少しずつ雨脚も強くなってきた。時刻も2時を過ぎた。どうやら潮時のようだ。

 

 この雨の調子では湿原一帯はやがて湖に変わってしまうように思えた。この先の五反沼までが目的地だったが、ここで引き返すことにしよう。 

 


北海道を歩く①

2013-06-26 | 旅行

 4泊5日の旅程で3年ぶりの北海道を歩いてきた。

 <6月20日>12時の羽田発の飛行機は遅れることもなく、予定通り新千歳に14時に着いた。予約していた車に乗って(最小クラスだと1日2500円ほどで借りられる)、休む間もなく近くにあるウトナイサンクチュアリに向かった。

 

 探鳥ブームも去って訪れる人が少なくなったせいか、施設は土日のみの開館で、木道も荒れ果てていた。

 

 咲き出したばかりのエゾキスゲ

 

 オオカメノキ

 

 

 

 

 

 10分ほど歩くと水際にある観察小屋が見えてきた

 

 広い沼に見える鳥は白鳥が2羽と、サギが一羽のみ

 

 

 時間に余裕がないので小一時間の滞在で今夜の宿泊地札幌へ向かう。宿に入り軽く汗を流してから大通方面まで散策。

ライラックとテレビ塔

 

 花フェスタ開催準備中の大通公園。雲の多い日だったが、午後7時でも結構明るかった。

 

 

 明かりのともし始めた狸小路

 

 

ススキノの繁華街

 

 

 この晩はススキノのラーメン屋に入って味噌ラーメンを頂いた。

 

 ラーメン横丁は意外と閑散。

 

 ホテルの近くのコンビニ(セイコーマート)で明日の朝食と買って帰り、明日からの登山に備えて早めに就寝。

 <6月21日>朝5時すぎには起きて、雨竜沼湿原に向けホテルを出発した。

7時半ごろ到着。広い駐車場には車一台止まっていない。途中の看板情報によると、湿原登山口はまだ山開きしていないとのこと。道理で人がまったく来ていないわけだ。

 

 

少し山道を歩くとキャンプ場の施設が見えてきた。

 

 

 所々残雪が見える。空は今にも雨が降り出しそうで、ガスが麓まで下りてきていた。

 

 せっかく来たのだからもう少し先まで行ってみることにする。

 

咲き出したばかりのニリンソウ

 

ネコヤナギ

 

 エゾエンゴサク

 

 これはミヤマスミレ

 

 アズマイチゲ

 

 

残雪の斜面の上にはカタクリの群生

 

 内地で3月に見たカタクリを、ここ北海道の地で6月に会えるとは……。

 

 

 長くなったので次へ。

 


やがては土に還る

2012-11-27 | 旅行

 

 二日だけ休みが取れたので、栃木の辺りを一泊旅行してきた。朝早く高速に乗って日光の植物園へ。思ったより早く9時の開園より10分前に着いた。この時期来園者は殆どいないようだ。2時間いた間ほかの人を見ることはなかった。

 辺りはすっかり枯葉色に覆われている。もう初冬といってもいい雰囲気だ。

 

 それでも花や花の名残を見つけることができるのが嬉しい。

 海星のような形をした真紅のマルバマンサクの花

 

 リンドウは葉を紅葉させたまま花をつけていた。

 

 タマアジサイだろうか

 

 殆どの花は終わり名札だけがかつての花のあった証として残されている。実は滅びて名だけ残される。

 

  サラシナショウマの枯れたものか

 

 イカリソウの葉が鮮やかに紅葉している、葉脈が血脈のようで痛々しい。

 

 果肉が削げ落ち、種だけが残されたマムシ草の仲間

 

 花たちは今年もそれぞれの終わりを迎え、そしてやがては土に還っていく。何の感懐も持たず、滅び行く定めへの未練や煩悶も抱くことなくあっさりと土に還っていく。

 道は敷き詰められた枯葉でいっぱいだ。土に還る寸前の枯れ葉たちは、踏みしだいても最早音を立てることもない。

 

 ひとしきり吹いた風がまた枯葉を落とし、木々はむき出しの樹肌をさらけ出し、己が身から生き物の気配を振り落していく。

 

 それでもまだしぶとく色を残した大木が此処にはあった。

 

 

 僅かに残された色が池の水面を紅く染めている。まるで鏡面に写しわが身の最後の姿を目に焼き付けているようだ。

 

 園の奥へ歩を進める

 

 旧田母沢御用邸の塀を抜ける

 

 人の来なくなった園内は枯草で覆われていて、水芭蕉池も埋もれて見えない。

 

 せわしなく奇声を発しているのはカケスのようだ

 

 頻りに餌を啄んでは此方を窺っている。

 

 

 中空に残されたウメモドキの赤が命の残り火のようでジンと胸に来る

 

 不意に何かに怯えたかのようにリスが木の根元を駆け抜けていった。

 

 通御橋を渡った

 

 下を流れる田母沢川は、初冬の穏やかな日差しを浴びて煌めきながら、ゆったりと音も立てずに流れていた。今流れている川の水は、遥か遠い昔にこの川を流れたことが果たしてあったのだろうか。

 

 こうして季節はあっという間に巡り去り、私を喜ばせてくれた花たちも色を失い、ひとまずは土へと還っていった。そしてそれを愛でる私も幾度かそれを繰り返した後、やがては共に大地へと還っていくのだろう。今の私の体を作っている原子たちも、昔は何かの生き物の体の一部だったように、土に化した私の原子たちも何時かは他の生き物の体に入り、違う生命を得て見たことのない世界を歓喜とともに駆け巡るのだろうか。

 

 物言わぬ含満ヶ淵の石仏たちがじっと川面を見つめていた。

 


東村山北山公園のハナショウブ

2012-06-17 | 旅行

 梅雨に入り、ハナショウブがひときわ美しさを増す季節がやってきた。

雨が上がったばかりの北山公園。ハナショウブはまだ5分咲き程度。

 

 

 

群れて咲いている姿も良い

 

 

 キショウブトの交雑種、愛知の輝き

 

 

 これはチュウリップのような玉咲をするハナショウブ

 

 

 

 

 花に囲まれた通路で、少女たちはどんな秘密を語り合っているのだろうか

 

 

 

ノハナショウブの改良から始まったハナショウブの栽培は、江戸系、伊勢系、肥後系の三つに分かれて、それぞれの特徴を持ちながら発展してきた。現代では日本だけでも200か所以上の花菖蒲園があり、梅雨の時期に人々の目を楽しませている。

 

 

 

 

 ここの花菖蒲園の良いところは背景がすっきりするように株を離して植えてある所だ。まるで花瓶に生けたように花を撮ることが出来るのが嬉しい。

 

 

 いくつかの品種を混生して植えていたら偶然に生まれたという、「北山スペシャル」、品種名は現在公募中とか

 

 

 

 

 

 

 

 これもキショウブとのハイブリッド種 初穂

 

 

 

 

 古来の屏風絵を見ているような趣を覚える

 

 

 

 

 

 

 

 

 夏至の第二候(6月26日から7月1日)は菖蒲華(しょうぶはなさく)。ハナショウブは雨の多いこの時期にふさわしい。

 

 

 

 本当に雨の似合う花だ。

 

 

 

 

 

 

 

 


神津島から

2012-04-08 | 旅行

 神津島港の夕景

 

 

 

 良く晴れた翌朝

 

 朝食後暫く村内を散策、辻辻に道祖神が目立つ

 

 

流人墓地とある

 

 

思ったより風が強く、白波が立っていた

 

 風向きで船の着く港が変わった。島の東側の多幸湾まで歩くことにした。

多幸湾展望台より

 

 

三浦漁港

 

多幸浜、左に多幸名湧水

 

東海汽船の船乗り場

 

 

 うっすらと見える島は三宅島 

 

 東京へと帰る船が見えてきた

 

 

 

 かめりあ丸が接岸

 

 波は穏やかで空が抜けるように青かった

 

 式根島、新島、利島、大島と寄港して夕刻東京湾に入った。富士山が茜色の空へ大きく浮かび上がった。

 

 京浜コンビナートの工場群

 

 

羽田が近づいてきて時折離陸した飛行機が上を飛んでいく

 

 

 

 船の食堂でジョッキを片手に、ゆっくりと落ちていく夕日を眺め、暫し通りゆく異国の船に思いを乗せた。