病児保育サービス「NPO法人フローレンス」の代表理事である駒崎弘樹さんの、ある教育雑誌に連載されているエッセイの中に、とても気にかかる表現がありました。3月に神奈川県で起きたベビーシッターによる幼児殺害事件について、その背景に目を向けるという趣旨の内容でした。企業がベビーシッターを登録・研修して派遣する形態と、個人ベビーシッターが直接請け負う形態があること、そしてその料金の違いを説明し、料金の安い個人ベビーシッターを利用せざるを得ない人が増えているという説明でした。そこまではうんうんと頷けるのですが、そのあと、「今回の事件で親御さんが利用したサイトでは、”品質管理等”は行われていなかった」とあるのです。資格や経験などをきちんとサイト運営者が確認していないということなのでしょうが、それにしても、保育者の質について使う言葉なのかと、記載されている駒崎さんのプロフィール写真をまじまじと見つめてしまいました。保護者が保育(保育者)のことで、園に苦情を言う際、「おたくは”品質管理”がなってないよ」などと言えば、園長などの管理者は、保育者の言動はともかく、「保育職員は商品じゃありませんよ」と腹が立たないだろうか。駒崎さんはどうしちゃったんでしょうか。社会企業家のはしりとして若くしてフローレンスを立ち上げたときは、こんなことを言う人ではなかったはずです。最近では子ども子育て会議の委員になっていたり、ずいぶん政治にも貢献しているみたいですが、政権与党の支持母体である団体の雑誌で、その政策をすばらしいと褒めるなど、なんか良識を疑うかんじのことが増えてます。
ベビーシッター事件についての今後の課題についても、政府の子ども子育て支援法の理解促進を担っているかのような内容です。
「質の高いベビーシッターを安価で利用できるようにするのが重要。」「無資格でもベビーシッターができることや、」知らない人に子供を預けることへの批判に終始するのではなく、子供を安心・安全に預けることができるように、仕組みそのものをアップグレードしていく必要がある、と締めくくっています。
質の高さに必ずしも資格は必要ないということでしょうか。資格というわかりやすい基準以上にわかりやすいものってなんでしょうか。経営者が恣意的に選べると「質の高い」保育者が集まるのでしょうか。資格はなくても、人間力だか人間的魅力だかがあればよし、ということでしょうか。どうやってその能力の有無を確認するのかは知りませんが。