雇用規制緩和はどのようにズレているのか

2014年07月05日 | 日記

 

浜口桂一郎さんがhamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

日弁連会長の、雇用規制緩和に反対する声明に対し、

「あまりのレベルの低さに涙が出てきました」

と嘆いています。

労働法制をわかっていない政府やマスコミが言うならまだしも、

法律家の代表であるはずの日弁連がこのレベルですか…と

そうとうがっかりされていました。

安倍さんは年収1000万以上の労働者を対象に、労働時間とは関係なく、成果に応じて賃金を支払う制度を導入しようとしています。(前にもチャレンジして頓挫してます)

日弁連はこれに対し

・これは労働時間と賃金とを切り離し、実際に働いた時間と関係なく成果に応じた賃金のみを支払えばよいとする制度である

・このような制度が立法化されれば、適用対象者においては長時間労働を抑制する法律上の歯止めがなくなる

と、反対派を代表するような声明を発表しました。

これがなぜ浜口さんを嘆かせるのでしょうか?

浜口さんがいたるところで、くどいほど言い続けているのが次のことです。

・”労働時間と賃金を切り離し、実際に働いた時間と関係なく成果に応じた賃金のみ支払えばよいとする制度”は、”法定労働時間内”においては、そもそもなんら禁止されていない。

・法定労働時間を超えて働かせることは違反であり、懲役刑すら規定されている。それでもあえて働かせなければならないような例外的な状況であれば、手続きを踏んだうえで、割増賃金を支払わなければならない。「割増した」賃金でなければならないのは、本来はダメな労働をあえてやらせることに対する罰金だからである。決して、「時間に比例した賃金を支払え」と命じているのではない。

・労働法の基本をわきまえていればすぐにわかることが、まったく理解されていないのは、そもそも法律上は法定労働時間を超えた労働に対し、懲役刑まで用意して禁止しているということが、現実の労働社会では空想科学小説以上の幻想か妄想と思われていることである。そこにこの問題のコアがある。

私は時間外労働というといつも思い出す裁判があります。

6年ほど前、某ファーストフードチェーン店の店長が、未払い残業代の支払いを求めて訴訟を起こしました。「名ばかり管理職」という言葉が流行語になりました。

時間外賃金を出したくないばかりに、「役職」につかせて、無制限に働かせるという手法がいたるところで横行していたので、この裁判で「監督・管理の地位にあるもの」がはっきりと定義されたのは成果だと思います。(つまり、そもそも時間など関係ない労働者がいるわけです)

一方で「お金を払えばそれでいい」という認識が広まってしまったのは残念なことです。訴訟を起こした店長は、賃金もさることながら、労働時間が相当長く、このままでは命が危ないと思っていたのです。勤務と勤務の間にも規制はなく、会社規程のみです。深夜業務の後、数時間の仮眠でまた現場に戻らなければならいことが多かったことと思います。お金の問題だけではないのです。

それともうひとつ、名ばかり管理職が有名になったおかげで、あたかも、管理職じゃない人は残業代が支払われているかのような既成事実ができてしまいました。管理職じゃない人はもちろんのこと、パートやアルバイト、派遣社員までがただ働きしているのが日本の現状です。

 

 

 

 

 

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女性蔑視は許せない?男が正義ぶって女を擁護してるときはろくなことがありません。

2014年07月01日 | 日記

塩村都議へのセクハラヤジ問題がかしましい。「恥ずべきこと」「モラルを疑う」「品位に著しく欠ける」など、各メディアでいろいろ言われているが、ここでは、6月27日の産経新聞・主張(社説)の『女性蔑視発言。これで幕引きは甘すぎる』に的を絞って、正義をふりかざして憤慨してみせる人間に唾したい。

都議会が再発防止を誓う決議案は採択したが、ヤジの発言者の特定を求める決議案は否決したことに対し、これで幕引きを図るらしい、発言を疑われている自民党はそれでいいのか、このままうやむやで終わればいいとの判断があるとすれば、甘くないかとの厳しい考えを”主張”している。

「早く結婚したらいい」「まず自分で産めよ」などの声を不妊に悩む人はどう聞いたか。残された映像ではこの直後、議場は笑いに包まれた。信じがたい光景である、として糾弾している。

へーっ。産経新聞社がこんなに女性に優しいなんて知らなかったな。不妊に悩む人のことを考えていたなんて意外だな。セクハラヤジで場内大爆笑、あるいは和やかムードって、そんなに信じがたいことなのか?よくあることと思っていたが。セクハラヤジに限らず、やんわりした口調で冗談めかして人を罵倒して見下し、人格を攻撃するのがここ10年ほどの流行りじゃないですか。世間はみんな寛大に受け入れているじゃないですか。今回は追及が厳しいですね~。安倍総理が女性の活躍を推進しているのに、足を引っ張ってるからですかね~。ヤジを飛ばした本人たちは、うやむやに終わってくれと、神様にすがりたい気持ちかもしれないが、いけにえが期待されているようです。ひどいヤジには違いないが、発言者全員が特定されて、罰を受けて、はい終了。いけにえになった人たちごくろうさん、お気の毒ってなかんじですか?女性への配慮はなんか流行ってるっぽいので、明らかな女性蔑視には鉄拳を打ち下ろすのが目端のきくやり方なんでしょうか。女性のみなさん、追い風だからって油断はなりません。男が正義ぶって女を擁護してるときはろくなことがありませんから。

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