先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
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職場に総同盟と組合同盟二つの組合-東京製靴株式会社労働争議―1928年の労働争議

2025年02月03日 07時00分00秒 | 1928年の労働運動

職場に総同盟と組合同盟二つの組合-東京製靴株式会社労働争議―1928年の労働争議
参照・協調会史料

会社 東京製靴株式会社 
場所 東京南千住
スト参加 職場の全労働者65名(男57 女8)
労働組合 総同盟東京革工組合30名
     組合同盟関東革技工組合35名
争議発生 1928年10月12日

(解雇反対)
職場に総同盟と組合同盟二つの組合があった東京製靴株式会社が、1928年10月2日事業不振を理由に労働者3名を解雇してきた。これは4月の3名解雇に続く二次解雇であった。職場の全労働者は、この間の解雇は不当だと復職を要求した。総同盟、組合同盟の労働者全員65名が従業員大会を開き、争議団を結成し、10月12日午後三時よりストライキを決行した。二つの組合それぞれから争議団代表を選んだ。
要求
一、退職手当の制定
二、予後備召集せられたる日給を支給すること
三、今後工料の値下げをしないこと
四、年2回の定期昇給実施のこと
五、出張作業の場合、交通費を支給すること
六、臨時雇用制度を廃止する事
七、解雇者の復職と今回の問題で馘首者を出さない事
八、衛生完備を完成すること

会社は強硬な態度で労働者の要求すべてを拒絶してきた。労働者側は争議団本部を設置し、持久戦を覚悟した。

(応援)
組合同盟は、10月25日夜6時半より演説会を開き、関東皮革労働組合、日労党の松谷与二郎や関東合同組合長の望月源治らが駆け付け、激烈な演説をして応援した。総同盟も同じ日と時間に演説会を開催し、総同盟東京革工組合長らが駆け付けた。

関東皮革労働組合の応援ビラ(上写真参照)
俺達四千の革工労働者の先頭に立って、
勇敢にストライキの火蓋を切った
東京製靴六〇の兄弟を見殺しにするな!

三名の首切に飽きたらず、十月十一日に更に三名を首切ってきた横暴な会社のやり方に、
ふだんから積った東京製靴六〇の兄弟の不平不満は一度に爆発した。

去る十月十二日、全従業員は
解雇絶対反対だ!
賃金値下げ反対だ!
工場設備を改善しろ!
・・・・・
と叫んで断然ストライキの火蓋を切った!

諸君の工場では待遇はどうか?給料はいいか?
東製六〇の兄弟は今や俺達全皮工労働者の利益を代表して勇敢に立ち上がったのだ。

東靴の兄弟を見殺しにするな!
諸君も
賃金を値上げしろ!

請負制度を撤廃しろ!
割増金を本給にくり入れろ!
仕事がなくても日給は全部支給しろ!
と叫んで応援に奮い立て!
応援基金の雨をふらせ!
           関東皮革労働組合

(会社交渉拒否)
団体交渉を拒み続ける会社に対し、組合同盟系争議団代表3名が社長宅と専務取締役宅を訪問したが会社は交渉を拒否した。また、総同盟側争議団代表6名が西川専務に面会を求めたがこれも拒絶された。社会民衆党の代表が決議文を会社に届けようと来社したが、受け取りすらも断られた。

(団交要求、工場押しかけ闘争) 
10月30日午後8時30分頃、争議団員数十名が団体交渉を拒否しつづける会社に対し、あくまで団体交渉を要求しようと工場に押しかけた。争議団は工場の塀を乗り越えて工場事務所に行き会社側との交渉を求めた。会社と警察はその時争議団が硝子戸5.6枚を投石破壊したと言い触らした。また、争議団の数名が路上で会社側の社員を「会社の犬」と罵倒したが、それを警察は争議団員が会社側を殴打し全治3日の怪我を負わせたと逮捕してきた。

(組合同盟と会社解決)
町会議員の調停が始まった。11月9日、会社は町会議員の調停を受け入れ組合同盟側と争議を解決した。総同盟側とは決裂した。
組合同盟側との解決内容
一、退職手当の制定
二、予後備召集の場合、日給の三分の一を支給する。簡閲点呼の場合は日給を支給する。
三、作業の都合で定傭額に達しない場合は定傭額を支給する。単価を値下する時は収入が定傭額より減らないように考慮する
四、年二回の定期昇給要求は争議団が撤回した
五、出張の交通費は支給する
六、臨時に雇っても従業員は解雇はしない。また臨時雇用の期間は3ヶ月とする
七、馘首した2名の解雇の復職は認めないが手当を支給する。残りの3名の懲戒解雇は取り消し辞職を認め、金一封を支給する。
八、衛生設備は完成する

(総同盟会社糾弾演説会)
総同盟側は、11月17日南千住地方橋場大日本ビール会社倉庫において会社糾弾演説会を開いた。総同盟組合員50名、一般労働者30名、町内から70名の156名が集まった。11名の弁士が演説し。2名に臨監警察から中止命令がでた。

(総同盟側とも解決)
会社は、先に組合同盟側と解決したが、最終的には総同盟側とも合意した。会社は最後まで解雇は撤回せず、金290余円を払って解決した。11月21日争議団は解散した。

以上


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