堕胎に失敗して胎児を宿したまま死んだ産婦は、産婦鳥(うぶめ)となって夜行する妖怪となる
「百姓貧窮にして食物衣類足らざる故に、婦人孕むといえども、その児を養育すべき貯蓄なくして、ひそかに堕胎すること多し」
「卑賎の家には貧苦よりて胎を堕し、あるいは本家の垣を越え穴隙を鎖りて淫行をなすものの類、必ず堕胎の薬を用い、婦人不義をなし、世に命を失う者多し」
「富貴の家、淫行を隠し、遇を飾る累計の者。又この事をなすあり。不仁不義。戒むる言葉なきあり」
というまで、世情は堕ちた
卑賎は生きる苦悩のために
富貴は生きる淫楽のために
最も脆弱な胎児・生児・妊産婦の命を、あえて犯したのである