るるの日記

なんでも書きます

昭和天皇の1日・天皇皇后の食事風景

2021-03-30 18:44:46 | 日記
皇室の食材は自家製と市場購入の2つの入手ルートがあった。ところが戦争末期になると、肥料や飼料の不足と若手職員の出兵による人手不足から畑や牧場の維持が難しくなり自家製の生産は低下。多くの食品を市場から買い入れなければならなかったが、天皇がヤミで物を買うことを禁じていたために、公定価格でしか購入できない。最初は持ち出しでお付き合いしてくれる商人もいたが長くはつづかず、気づけば出入り業者は寄り付かなくなってしまった。ゆえに大膳寮の厨房には宮廷にはふさわしくない食材が並ぶ

主食は配給の米に麦を混ぜたものを日に1食。他の2回はうどん、そは、すいとん、さつまいも、馬鈴薯代用パンなど。代用パンには大豆・とうもろこし・乾燥野菜などが混じっていたため、やや黒ずんでいる

魚は以前の鯛・鰤・鰹などにかわって、配給のすけとうだら・鰯・鯖・秋刀魚の類が常連となり、それでもあればよい方だった。野菜は乾燥野菜の備蓄を取り崩して使用した

しかし、あるところにはあった。軍部には驚くほどの食料品があった。肉・魚・缶詰・砂糖・味噌・醤油・日本酒・ビール・ウィスキーの類が山ほどあった

天皇皇后の使用する食器は、薄い白磁に、藍色で十六重弁の菊の紋章が染めつけられている。その上にちんまり置かれた代用パンを口に運びながら、皇后は昨日咲き始めた花の話題をテーブルにのせた。早速天皇はその学名と特徴を話しだすが、途中からどんどん説明が専門的になってゆく。熱心に聞き入る皇后の背後の開け放たれた窓からは、ふいに澄んだ鳥のさえずりがする

昭和天皇の1日・調理から食堂まで

2021-03-30 18:14:33 | 日記
天皇皇后の食事は、宮内庁と宮殿の間にある大膳寮の厨房で調理される
車で御文庫地下の調理室まで運ばれ、冷めてしまったものはここで温められ、美しく皿に盛りつけられる
完成した料理は当直侍医の毒味を経て、食堂の隣の供進所へ届けられ、女性職員が改めて黒塗内朱盆にのせ、丸形の絹の蝿帳をかける
お盆を受け取った女官は、自分の息がかからないように目の高さで捧げ持ち静かに食堂へ運ぶ


昭和天皇の1日・新聞→代拝→食事

2021-03-30 17:55:04 | 日記
食堂の席についた天皇の傍らに、消毒済みの新聞が数紙置かれている。情報統制していたので、天皇にとって目新しいニュースはあまりなかっが、自分の知っている事柄がどのように掲載されているのか隅から隅まで、広告にいたるまで目を通す。読み終わった新聞は左から右へ無造作に置いてゆく

同じ頃、侍従が天皇陛下の名代として、宮中三殿を代拝。これは「毎朝御代拝」という祭事

この祭事が終了するのを待って、天皇皇后両陛下は朝食をとる。庭が見渡せる南向きの席が天皇の定位置。向かい合うように皇后も席につく。(「天子は南面する」という中国に故事にならったもの)いよいよ夫婦水入らずの朝食が始まる

昭和天皇の1日・食堂

2021-03-30 17:36:03 | 日記
食堂の中央には大きなテーブルが置かれていて、その上には真っ白いクロスがかけられている。椅子はビロード張りで、その他には一切の飾りがない。部屋の装飾も簡素で壁には花瓶に入った花花が描かれた油絵が一枚かけられているのみ。棚の上には皇居内の庭の花や、枝が活けられ、移り行く季節を知らせている

昭和天皇の1日・起床→身支度→ベランダ

2021-03-30 17:23:04 | 日記
■午前七時
起床を知らせるベルを鳴らす。実はその少し前には起床しているが、決まった時刻までベルは鳴らさない。なぜなら天皇の気分次第にベルを鳴らすと職員の仕事のリズムが乱れてしまうので、天皇は気分次第ではなく時間を守る

■洗面所
天皇は一人でうがい、洗顔など身支度をする。身支度を整えている間に内舎人が衣装を入れた箱を定位置に置く。天皇はその箱から衣類をとりだし一人で着替えてゆく

■ベランダ
身支度を終えた天皇は、まずベランダへ向かう。ベランダの日当たりのよい場所には野草が植えられた鉢や箱がならび、各々に小さな札が立てられ、直筆で植物の名前が書かれている。天皇はかめの水を如雨露にくんで水をやりはじめる

■天候
ベランダでの作業を終えた天候は、空を見上げて天候を確かめる。農作物の収穫が心配で、常に空模様が気になるのだ。そして食堂へと足を向ける