何かものごとに取り組むとき、
うわ~、これやるの~?とか
こんなにあるんだ~とか
最初に思ってしまうと、
ず~んと腰が重くなりますよね。
自分に向き合うこともそうですが、
そう思った時点で、
既にプレッシャーに負けて、
実際よりもものごとを非常に困難なもの
に見てしまい、「自分には無理」
と思うようになります。
よく勝負の世界でも「気魄で負けるな」
とか言いますが、対象にのまれてしまったら
「負け」なんです。
それは実際の相手に負ける、というよりも、
「自分が見た幻想」に負けているのだ
と言えるでしょう。
自分に向き合うことは、
自分と敵対しているわけではありませんが、
ある部分、この「幻想」との闘いの
ような部分はあると思います。
それを信じてしまったら、
相手の術中にはまったも同然。
自ら敗北のレールを敷いていきます。
実際に困難を克服する力がないわけでも
ないのに、その力を使う前に、自分は無力だ
と信じ込むことによって、自ら敗北宣言を
出してしまうんですね。
そういう場合でも、ほとんどのケースで
冷静に現状を見て、今の自分にできることを
ひとつひとつやっていけば、ちゃんと
越えていけるものはあるのに、
ほとんど手を付けていない内から
意欲を失っている方が少なくないのは
とても残念なことです。
そこを超えていける人と越えられない人
との間でそんなに実力が違うのかと言えば、
そう大きな違いはないのです。
ただ、初動段階で対象にのまれたか、
のまれることなく冷静に自身の分限を
果たしたかという違いに過ぎないことが
大半でしょう。
何かを志して、その頂の高みに圧倒されるとき、
あなただったらどうするでしょうか。
己の力のあまりのちっぽけさに絶望して、
無力感に打ちのめされつつ自己憐憫の
渦に飲み込まれていくのでしょうか。
それとも、足元の一歩の豊かさを愛でつつ
その道を歩める喜びと導きに感謝して
自らの人生を祝福するでしょうか。
一時、前者であったとしても、
道を歩み続けたいと願うのなら、
どこかの時点で後者の喜びと感謝を
骨の髄まで味わう体験を通り抜けて
行かなければいけないだろうと思います。
これをやりたい。
そう思えること自体、稀有なる恩寵だと
あなたは気づいているでしょうか。
それは、誰しもに訪れるものでは
ありません。
一生、それを知らずに死んでいく人もあれば、
出合ったとしても、その素晴らしさに気づかず
スルーしていく人もいます。
あるいは、そもそも今生ではそれを
しないという選択だってあるのです。
にもかかわらず、あなたは今、
それを志している。
それを恩寵と言わずに何と言うでしょう。
向き合うことの苦しさから
逃げてはいけない。
存分にその苦しみに焼かれたらいい。
中途半端に腐ることなく、
正面から、打ち砕かれてみたらいい
と思うのです。
そこから、あなたは何かを得るでしょう。
あなたの中で、何かが錬金術的な変容を
遂げるからです。
けれどそれは、あなたが意図的に起こそうとして
起こるものではありません。
あなたにできることは、ただひたすら
目の前にあることから逃げずに、
今ここにいて応答し続けていくことだけです。
ここで混同してほしくないのは、
「逃げずに」と言っても、身の危険が
迫るほどの状況でも退避しないでそこに
留まれ、と言っているわけではありません。
それでは「応答」ではなく、
単なる機能不全、あるいは怠慢
になってしまいますからね。
ここはきちんと識別してください。
今この瞬間の足元の一歩に、
あなたの命を打ち込むつもりで
踏みしめるのです。
その波動は、宇宙に広がります。
そしてその波動が、世界を創ります。
そうして初めて次の扉が現れるのです。
ここをおろそかにして、
ずっと先の扉を見つけようとしている人の
なんと多いことでしょう。
今この瞬間、この足元を軽んずべからず。
人生を行くとき、ある部分では、
ガイドのサポートは必要です。
けれど、ガイドがあなたの人生のすべてを
やってくれるわけではありません。
あなた自身が見つけなければいけないもの、
あなた一人で行かねばならないところも
あるのです。
そこは、よく識別しなければいけませんね。
だからこそ、本気で道を歩もうと思うのなら、
孤独を友できなくてはならない、
と私は思うのです。
孤独を死ぬほど恐れているうちは、
霊性の歩みの本当に重要な部分を
超えることはできません。
孤独と不安、焦燥感に身も心も焼かれる中で、
これらと深く対峙し、統合していくのです。
たやすく誰かに頼り、何かで紛らわせることは
このプロセスには何の足しにもなりません。
私が師と仰ぐレナード・ジェイコブソンは、
「私たちは、ワンネスに至る前に
独りにならなければならない」と言います。
私はその真意を、そのようにとらえています。
試練を超えたとき、初めてあなたは
あの苦しみの日々が紛れもなく恩寵であった
と気づくでしょう。
あなたが深く、自身の内なる宝に
触れていきますように。
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