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気ままに生活してるシニアの残日録

映画「小説家を見つけたら」を観る

2023年12月24日 | 映画

テレビで放映されていた映画「小説家を見つけたら」を観た。2000年、米、ガス・ヴァン・サント監督、原題Finding Forrester(フォレスターを探す)。

NYのブロンクス。黒人の高校生ジャマール・ウォレス(ロブ・ブラウン)はバスケットボールが大好きな16才の少年だが大変な文学少年でもあった。そんな彼が、バスケットボールの練習コートに隣接するアパートから練習の様子を望遠鏡で見ている老人の部屋に侵入を試みるという友人たちの肝試しに応じて老人の部屋を訪問する。やがて老人はウォレスの文学才能を見抜き二人は話をするようになる。この老人は40年前にピュリツァー賞に輝いた処女作(AVALON LANDING)一冊だけを残して文壇から消えた幻の小説家、ウィリアム・フォレスター(ショーン・コネリー)だった。二人の間にはやがて師弟関係のような友情が生まれる。

成績のいいジャマールは、有名私立高校へ学費免除で転校したが、教師のクロフォードは急速に上達していく文章力を疑っていた。学校の作文コンテスト用にフォレスターの部屋で書いた文章を提出するが、その文章はタイトルと冒頭部分が、フォレスターの古いエッセイの写しだったのだ。それに気づいたクロフォードは盗作と決め付け、ジャマールは退学の危機に追い込まれる。

作文コンテストの日、突然学校に現れるフォレスター。ジャマールを友と呼んで用意した文章を読み上げ、聴衆に感動を与え、危機を救う。実は、その文章はジャーマールが書いたものだった。そしてフォレスターはスコットランドに旅立つと宣言した。やがてジャマールの卒業が近づいたある日、弁護士(マッド・デイモン)がフォレスターの訃報と遺品を持って現れた。フォレスターは新作の小説「日没」を書き遺し、その序文はジャマールによって後日書かれる、と書いてあった。

あまり期待せずに観た映画だったが、面白い映画だった。特に主人公のジャマールが黒人で運動神経も良いが勉強家であるという設定が良いと思った。映画の最初の方でジャマールの部屋が映り、そこに何冊もの本が積まれている。その中に三島由起夫の本が4冊もあった。ただ、私はこのどれも読んでないが。

The temple of Dawn(暁の寺)
The Sound of Waves(潮騒)
The Sailor who fell from Grace with the Sea(午後の曳航)
After the Banquet(宴のあと)

また、フォレスターは最後に故郷のスコットランドに旅立つが、フォレスター演じたショーン・コネリー(2020年、90才没)自身もスコットランド人で、スコットランド独立運動を熱烈に支援していたとのこと。

この映画では、この老小説家と若者との交流を通じて孤独だった小説家が心を開き、若者も小説家に学び、救われるといういい話だが、ショーン・コネリーの演技はさすがであると感じた。

落ち着いた映画で楽しめました。