六本木ヒルズ内にある森美術館で開催中の展覧会「ワールド・クラスルーム(現代アートの国語・算数・理科・社会)」展を観に行った。森美術館に来るのは10年ぶりくらいかもしれない。料金は夫婦2人分で3,600円。
美術館の説明では、展覧会の狙いを「1990年代以降、現代アートは学校の授業の国語・算数・理科・社会など、あらゆる科目に通底する総合的な領域ともいえるようになってきた。それぞれの学問の最先端では「わからない」を探求し、歴史を掘り起こし、過去から未来に向けて新しい発見や発明を積み重ね、私たちの世界の認識をより豊かなものにしている。現代アーティストが私たちの固定観念をクリエイティブに越えていこうとする姿勢もまた、こうした「わからない」の探求に繋がっていうる。そして、現代美術館はまさにそうした未知の世界に出会い、学ぶ「世界の教室」とも言える。この展覧会は、学校で習う教科を現代アートの入口とし、見たことのない、知らなかった世界に多様な観点から出会う試みである」としている。
展覧会のセクションは「国語」、「社会」、「哲学」、「算数」、「理科」、「音楽」、「体育」、「総合」に分かれて展示されていたが、面白い切り口だと思った。実際に展示作品を観ていくと「これ何?」というような観る人に考えさせる作品ばかりである。既存の概念では説明できない作品も少なくなかった、少し笑ってしまうおかしい作品もあった。観ていて全然退屈しなかった。
観た作品で印象に残っているものを少しだけ記してみると
- 田部友一郎氏の「見えざる手」という作品には笑った。暗い壁に3つの縦長のスクリーンがあり、そこにマルクスとケインズとアダム・スミスの化身が写り、プラザ合意のことについて議論しているのだ。誰のためにやったんだとか、ひどい合意だとか、ケインズの理論ではどう説明するのだとか、お互いの理論を出して皮肉交じりに批判しあっているのだ。
- 作曲家・指揮者のグスタフ・マーラーの使っていたメガネを使って彼の交響曲10番の楽譜を見た写真があった(下の写真左参照、米田知子作)
観た後の感想と若干のコメントを述べよう
- 現代アートはなかなか親しみにくいな、と感じていたいが、今回展示されている作品は比較的わかりやすいものであたっと思う。抽象的な作品は少なく、何かを暗示したり、皮肉ったり、問題提起したりしているものが多く、説明書きなどを読むと作者の作品に込めた意図、狙い、問題提起などがわかるようになっていてよかった。
- 断りのない限り写真撮影OKであったのは有難い。
- 作品の説明書きのパネルだが、あまりに小さい、文字が小さい、これではシニアや近視の人は読むのに一苦労だ。しかも照明も暗い、配置もかがんでみないと読めない位置である。もう少し観る人の立場になったものにしてもらいたい。
- 作品数が多すぎるように思う。まともに一つ一つ観ていくと一日かかるだろうし、それでは非現実的だ。もう少し作品を絞って、料金も安くすることも必要なのではないか。
美術館は54階にある。Tokyo City Viewと同じフロアだ。美術館に入場した人は追加料金500円でシティービューにも入れるが、シティービューの入口の前に無料でビルの外の景色が見られる場所がある。時間がない人はここで十分展望を楽しめる。今日は雨だったのが残念だった。
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