東京のアーティゾン美術館で開催中の展覧会「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」を観に行った。1,200円。最近は美術館入場料も2,000円くらいするものが多いが、日本人画家と美術館コレクションからの展示なので安くできるのだろうか、有難い。
今日の展示は写真撮影OKであった、セザンヌや雪舟なども原則すべてOKである。これは評価できる。
ジャム・セッションとは、石橋財団のコレクションと山口晃氏との共演、という意味だそうだ。サンサシオンとは、フランス語で「感覚」と言う意味で、セザンヌがよく用いていた用語。絵描きが目を開いたときにビビッとくる、そんな感情である。
山口晃氏(1969年東京生れ)は、作家個人は美術館行政など、美術に関する制度に絡め取られてはいけないと考えている。そして、サンサシオンを内発し、愚直に続けることがそれに対する防波堤となるとしている。これはその通りだろうが、現実には難しい。漱石が言うように、芸術と商業主義とは本来、相矛盾するものだからだ。
この展覧会では、セザンヌ、雪舟など山口氏が好きな画家の作品を展示すると同時に、それらに対する氏の観察、氏の作品、模写、インスタレーションなどが展示されている。2019年に放映されたNHK大河ドラマ「いだてん 〜東京オリムピック噺〜」のオープニングタイトルバック画となった《東京圖1・0・4輪之段》や、2021年7月に完成した東京メトロ日本橋駅のパブリックアート《日本橋南詰盛況乃圖》等、話題を呼んだ作品の原画が初公開されてる。
また、山口の作品を見るにも、雪舟やセザンヌを見るにも、ましてや日本近代絵画を見るにも、私たちの視覚認知機能によるところがあるが、その視覚認知機能を改めて意識すべく、山口の追体験的なインスタレーション群が展示されていた。
いずれを見ても面白い作品ばかりだった。
(その2)に続く
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