No Room For Squares !

レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

角館のB面

2025-03-03 | 街:秋田











レコードはA面が良いのは当たり前だけど、実はB面こそが本質であると言われる。ここは秋田県有数の観光地、角館である。最大の見所は黒塀の武家屋敷通りで、春は桜、秋は紅葉が美しい。また武家屋敷通りからほど近い桧木内川も桜の名所として有名だ。一方で角館は武家屋敷通りや桜だけで構成されている訳ではなく、普通の生活の営みがある。つまりはレコードでいうB面だ、わざわざ角館に行き、武家屋敷通りには行かず、普通の町並みを撮影した。A面は聴かず、B面だけを聴くのと同じだ。もしかしたら贅沢な行為ではないかと、一人ニヤリとした。


X-T5 / XF23mm F2R WR

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雪降る町の見納め(終)〜疑似旅人の妄想

2025-02-28 | 街:秋田






矢島町は由利高原鉄道の終着駅である。町は殆どが地場資本で形成されている。いわゆるチェーン店は、食品スーパー1軒(マックスバリュ)、コンビニ1軒(ローソン)、ドラッグストア2軒(ツルハ、薬王堂)であり、すべてここ15年以内に進出したものだ。僕が秋田県に来た当初は、これら店舗は一軒も存在していなかった。つまりごく最近までチェーン店は一軒も存在しなかったのである。また町内にはビジネスホテルの類は一軒も存在せず、昔ながらの旅館が幾つかある。造り酒屋は2軒ある。地元パチンコ屋さんが1軒。昭和のフォーマットをそのまま残した稀有な町である。

泊まるにしては、僕的には物理的に近すぎる町だ。知り合い等もいるので、やり難くもある。でも旅人としてこんな町に来ることを考えるとワクワクする。町を歩くとき、僕は自分が遠くから来た旅人を演じる。疑似的な旅を楽しむ。夜は食事をする場所にも困りそうだが、深々と雪が降る夜に安居酒屋で熱燗でも啜れば、情感が極まりそうな気がする。例え妄想の旅としても、そんな光景は来シーズンまでお預けとなる。

X-T5 / XF23mm F2R WR
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雪降る町の見納め①〜矢島町に来た

2025-02-27 | 街:秋田








雪の多い少ないは絶対量ではなく、相対的なものである。普段雪が降らない都心で積雪10cmとなれば大騒動になる。一方で毎年5mは積雪のある青森県の酸ヶ湯。酸ヶ湯の積雪深が6mになったところで大勢に影響はない。そもそも雪国では、雪が降ったら困ると思っていない節がある。テレビカメラを向けられれば、「毎年こんなものだから当たり前ですよ」とは言わない。言ったとしても放映ではカットされる。大抵の住民は空気を読んで「もう毎日の除雪でクタクタでどうにかして欲しい。この時期にこんなに降るのは初めてだ」と言う。同じセリフは何度も繰り返されているだろう。

さて、そんな積雪シーズンも最終盤。秋田県内でも積雪量がそこそこ多い町に来た。旧・矢島町(由利本荘市)、かつての矢島藩・生駒氏のお膝元だ。この矢島藩は実に興味深い藩である。以前に当ブログでも記載したことがあるので、興味ある方は過去記事リンクを張っておくので、参照願いたい。この矢島町を歩いて撮った写真を掲載する。

この2月からメインカメラを、X-PRO3からX-T5に変更した。当初は違和感ありありで、撮影の所作から画像までどうにもしっくり来なかった。「人間とは慣れる動物」とはよく言ったもので、当初の違和感はかなり払拭された。それでも前機種は丸5年以上使った相棒だった。考えずとも操作できるレベルになるには、まだ時間が必要だ。矢島の町の写真はもう一回分あります。



X-T5 / XF23mm F2R WR

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かっぱ小路に猫はもういない

2025-02-26 | 街:秋田










秋田川反のかっぱ小路。最果て感と場末感が最大の魅力である。実のところ、ここ数年で内部の店は入れ替わり、以前からの店はもう殆ど残っていない。まさか令和になって、かっぱ小路に動きがあるとは想像すらしなかった。店の看板は変わっても、雪が積もる小路は一見同じように見える。だが大きく違う点がある。そこにはもう猫の姿はないことだ。ここをねぐらとする猫はいないのである。猫がいない「かっぱ小路」なんて・・・。そのうち河童もいなくなるに違いない。

X-T5 / XF23mm F2R WR

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それぞれの帰り道

2025-02-25 | 街:秋田

家に帰る道を帰り道と呼ぶのであれば、日本には無数の帰り道がある。不夜城を通る道であろうと、人工的な光が一切ない獣道であろうと、標準的な田舎道であろうと・・・。それを想像できる人間でありたいと思う。

X-T5 / XF90




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おかめとひょっとこ

2025-02-24 | 街:秋田


秋田市内の廃業した飲食店。通りに面した小さなウィンドーに店のディスプレイがそのまま残されている。そこに鎮座する「おかめ」と「ひょっとこ」。長年の栄枯衰退を眺めてきた彼ら。その眼には何が写っているのだろうか。あまり感情移入をすると、第二のミスターダンディと化す危険がある。近づき過ぎないようにしよう。

X-T5 / XF23mm F2R WR


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魅惑の五城目町(終)〜気配は残る

2025-02-12 | 街:秋田







犬のように、どこまでもほっつき歩こう。意気込みは良かった。実際のところは、それほど長い時間歩くことは出来なかった。雪道で踏ん張りながら歩くための筋肉。それが衰えているようだ。そういえば昨年も殆ど雪道を歩かなかった。ゴールが見えつつある冬シーズン、残り時間を大切に雪道を歩こう。

ところで五城目町では、至るところで廃業した店舗や廃屋を見かける。もう誰もいないはずなのに、何か気配を感じる。・・・・。いやオカルト的なネタではなくて・・・。気配というより、それが町並みと違和感なく溶け込んでいるという方が正確かもしれない。何度も登場している幻のジャズ喫茶「ミカ」。もう営業しているわけがないと頭では分かっているけど、店の前に佇むと不思議な感覚に陥る。店の奥では以前と同じように普通に営業をしているのではないか。中華食堂も同様だ。ミカに至っては、本当に営業しているかもしれないとドアの取手に手を掛けたくらいだ。扉には鍵が掛かっていて、現実に戻された。魅惑の町での散策はこれ位にしておこう。

追伸:本当のことをいえば、気配が残っていることが重要なのではない。残った気配を感じることが大切なのだ。それを感じるためには何が必要かという話になると、偉そうに語ることになるので自粛する。

X-T5 / XF23mm F2R WR
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魅惑の五城目町①〜犬のように歩きたい

2025-02-11 | 街:秋田






秋田県五城目町。町に積もる雪は例年の半分以下だろうか。月に4~5回は朝市が開催され、その際は通りには多くの人が出る(多くといっても、まあそんなに多くはないけど)。この日は朝市の日ではないので、誰一人の姿も通りにはない。とても静かだった。

さて、突然だけど「靴」の話である。冬の秋田県で履く靴といえばスノーブーツか長靴の二択である(笑)。流石に僕は外に長靴では出かけないので、大抵はスノーブーツを履く。更にいえば運転も出来るように、短いブーツと普通のブーツの二種類が常に車に入っている。街中ではスニーカーでも問題ない場合もあるが、習慣化しているのでスノーブーツのまま歩くことが多い。スノーブーツは雪道を歩き易い反面、長い距離を歩くのには向いていない。だから冬場の町歩きはどうしても短距離で終わることが多い。

嗚呼、歩きたい。いつまでもどこまでも野良犬のようにただ歩きたい。そういう衝動が時折こみ上げる。あまり遠くに出かけず、移動の分までも歩く時間に充てたい。そう思うと、頭に五城目町が浮かんだのである。何度も何度も歩いた町だけど・・・。さて、さて。

X-T5 / XF23mm F2R WR

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いつだってミスターダンディが教えてくれた

2025-02-10 | 街:秋田





いくら僕が義理ごとに疎いとはいえ、新たなカメラを入手した以上はミスターダンディ氏への挨拶は欠かせない。遅きに失したが、この週末に行ってきた。それまで晴れていたのに急に雪が降ったのは、ダンディ氏の悪戯かもしれない。これまではマニュアルフォーカスとモノクロ写真というダンディ氏の時代と変わらぬ撮影環境だった。今回は一気に近代化した。瞳優先オートフォーカスとスムーススキンエフェクト(要は美肌効果)。まあ瞳優先オートフォーカスくらいはX-PRO3でも可能ではあったが・・・。小手先のテクノロジーを鼻で笑うことなく、ダンディ氏は付き合ってくれた。そんなわけで今回のミスターダンディは美肌である。フィルムシミュレーションもクラシックネガ(美肌の天敵)ではなく、アスティア(美肌に最適)である。でも次回からは普通に戻そうと思う。そういうものは必要ないことは、お互いに分かっているのだから。

一体この記事なに??、という方のために補足しておく。ミスターダンディ氏とは廃業した洋服店のショーウィンドーに残るマネキン男性である。僕は彼を撮影することを通じて色々と学んでいる。

X-T5 /  Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical






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人生はY字路を行くが如し

2025-02-09 | 街:秋田






人の一生はY字路の連続であり、大きなY字路もあれば小さなY字路もある。無数のY字路に対し、どっちに行くか判断をしていくことが、生きていくことに他ならない。最強寒波でも殆ど雪が振っていなかったが、久しぶりの降雪。これでも2月初めにしては圧倒的に雪が少ない。この場所に積もるのも今年は見納めかもしれない。

追伸:本当は地吹雪みたいになった時に撮りたい。

X-T5 / XF14mm F2.8R
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