No Room For Squares !

レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

今日は石巻日和(終)~闇が濃さを増す

2024-05-22 | 街:宮城






昼間に旧・牡鹿町(石巻市)への訪問を終えて、石巻市内のホテルに入った。翌朝、東松島の旧2町(矢本町、鳴瀬町)を訪れると宮城コンプリートが達成される。嬉しいというより、いささか疲れたというのが本音だ。最後は画像の検索とか、地図の確認とか、パソコン上の作も多い。自分の勘違いで集計がうまく行かず、二度手間(二度足?)も増えた。以前はそういう状況も楽しめたけど、ここ最近は先を急ぐあまりストレスになっていた。いずれにしても宮城コンプリート最後の遠征、最後の夜。そんな諸々にも終止符を打とう。

日が暮れた石巻の町並み。夜の町並みを撮影しつつ、どこかの店で静かに祝杯をあげよう。たまには多少良いもの、例えばウニなんかを食べようと考えていた。だが習性とは業深いもので、結局は普通の安い居酒屋に入った。それで十分、いや今回はその方が良かったのだと思う。石巻のような街。つまりは大都市ではなく、かといって過疎地でもない地方都市。仕事関係だとか、よほど具体的な目的がない限り、通常はそこに泊まる機会は訪れない。そういう地に、特別な用事はないけど敢えて泊まる。そのこと自体が贅沢な行為といえる。そこでは非現実的な高級な料理店に入る必要はない。その地に根ざした店に入れば良いのである。

石巻の夜は、とにかく「闇」の色合いが濃かった。説明が難しい。寂れて暗いという意味ではない。照度の数値が単純に低いわけでもない。なんというか夜の暗さの純度が高いのである。僕が知る限り、それは良い町の特徴でもある。むしろ何もない町であれば、暗さの純度は決して高くはない。石巻はその辺りが絶妙だった。さて、コンプリートの呪縛から解放され、当面は自由に町を歩こうと思う。もう2年も経てば、青森コンプリートと騒ぐことになるだろうが・・・・。宮城コンプリート終盤は個人的にも人生の節目ともいえる色々な出来事があり、それは殆どの場合において悪いことだった。それでも生活は続く。自分の価値観が変遷していく時期だった。気持ち的にささくれだった時もあるけど、やっと少し冷静になった。光があれば影がある。昼があれば夜がある。善があれば悪がある。表があれば裏がある。町と人は同じ成り立ちをしている。今後当面は、よりシンプルに町を歩いていこうと思う。ありがとう宮城県の71市町村。


X-PRO3 / XF23mm F2R WR
コメント (9)

今日は石巻日和①~午後4時からの町歩き

2024-05-19 | 街:宮城











GW明け、次の週末。僕は宮城コンプリートを完成するため、宮城県方面に遠征した。最後に残ったのは、東松島市の旧2町(矢本町、鳴瀬町)、そして石巻市の旧・牡鹿町である。誤算だったのは、旧・牡鹿町である。僕は既に撮影済みのつもりで、画像管理ソフトと睨めっこしたが、どうしても見つからない。どうやら同じように半島の町である「旧・唐桑町」と混同していたようだ。というか、牡鹿町と目と鼻の先にある女川町に最近来たのに、何故その時に行かなかったのか。そもそも女川町は過去に数度来て、間違いなく撮影しているのに画像が見つからなかった。恐らく、フィルムだけで撮影したのだと思う。だからもう一度訪れたのだ。東北コンプリートの活動をしていると、こういうことの連続で、時に心が折れそうになる。

東松島市の旧2町だけの訪問であれば、仙台を起点にしようと思っていた。実は仙台には別の用事があるけど、なかなか行く機会がない。でも旧・牡鹿町が含まれたことで石巻市を起点にすることにした。初日はまず旧・牡鹿町方面に行き、午後4時頃に石巻市に入った。暫しの休憩のあと、午後から夕方へと刻が流れる町を歩いていく。振り返れば、この時間帯に石巻の町を歩いたことはない。今後も殆どないかもしれない。だから、これはこれで意味があることなのだと気づいた。町の色は魅惑的で、野良猫は僕の前を堂々と渡っていく。非常に偏った街角ばかりを歩いているけど、これも石巻の町の姿であることに変わりはない。

X-PRO3 / XF23mm F2R WR



コメント (8)

手書きの味わいよ

2023-09-21 | 街:宮城
この手書きの味わいが堪らない商店。何年か前に来た時にはシャッターが空いていた。でも今は営業している気配がなかった。確か最後に来た時は、ここで飲み物を買ったんだった。店の前には小学校があり、往時には多くの児童が買い物をしたのかもしれない。ロープは神社の祭りのためのものだ。お祭りの時もジュース類が飛ぶように売れただろう。

GRⅢ



コメント (2)

懐かしの東鳴子温泉

2023-09-19 | 街:宮城










一時期はホームグラウンドのように通っていた東鳴子温泉。今では通過する際に立ち寄る程度。随分とご無沙汰している感がある。今回も所用で近くを通ったので、立ち寄った。滞在時間わずか10分。その間に歩いて撮った写真である。散々見知った狭い町にも関わらず、久しぶりに味わう高揚感。時間が限られることは悪いことばかりではない。写真の「いさぜん旅館」はお気に入りの旅館である。初めて泊まったときに居心地が良すぎてもう一泊延泊した。次の日は早朝に出発して秋田県まで戻り、会社に出社した。宿主は何故か阪神タイガースのファンで、お風呂の椅子は阪神カラーに塗ってある。きっと現在はご機嫌がよろしいことだろう。またいつの日か、泊まりたいと思う。


LEICA M10 MONOCHROME  / SUMMILUX M50mm ASPH
コメント (4)

小さな花の世界

2023-09-18 | 街:宮城
小さな店先に相応しい、小さな花。それを小さなカメラで撮った。こういう美しさに惹かれる人間もいる。


GRⅢ





コメント (5)

魅惑の珈琲売り場

2023-09-17 | 街:宮城









宮城県某所にて。パン屋さんなのだろう。道路に面して珈琲などのテイクアウト受け取り口が併設されている。昭和の日本的スタバである。もう営業はしていないようだった。どんな珈琲を出していたのだろうか。誰が作っていたのだろうか。こういう店が現役のまま残っていれば、万難排して利用したい。スタバで珈琲を飲めない日は暫くやってこないだろうけど、こういう店の絶滅は近い。

GRⅢ

コメント (4)

久々に町を歩いた!〜(終)何度も通った最後の町

2023-09-01 | 街:宮城






登米市最後の町として残っていた旧・豊里町である。北上川、旧北上川、迫川という3つの川に囲まれた町ということだ。もうこの辺りは町の坩堝のようなところで、どこがどの町なのか地図と比べないと分からない。川を南に渡れば石巻市だし、東に行けば南三陸町。北西に行けば栗原市だって近い。つまり周辺の町を訪ねるためには、同じ町を何回も何回も通過する。初めての町なのに、そんな気がしない(笑)。新鮮味もない。でもいざ町を歩けば、嗚呼ここは初めての町だと、身体と視神経が覚えているので我ながら驚く。まだ石巻市の旧4町が残っているので、この周辺を何度も来ることになるだろう。早く宮城コンプリートをして、お気に入りの町の再訪を楽しみたいものだ。


LEICA M10 MONOCHROME / Summicron M35mm ASPH
コメント

久々に町を歩いた!~②絵に描いたような田園風景

2023-08-31 | 街:宮城
青空に入道雲。龍が棚引くような白い雲見える。砂利道の農道、徐々に黄金色に染まる稲穂。嗚呼、日本の田舎。ここは宮城県登米市の旧・米山町。町並みを撮りに行ったのだが、たまには田園風景に惹かれることもある。

X-H2 /  XF16-80mmF4 R OIS WR
コメント

久々に町を歩いた!〜たかが町の2割されど町の2割

2023-08-29 | 街:宮城









久しぶりに宮城県方面に出かけた。県道の通行止めとか、熊出没騒動で無駄な時間を使ってしまった。やっと到着した町は、旧・津山町(登米市)である。この町は面積の8割が山林であり、イヌワシの生息地としても知られているそうだ。でも僕が撮影したのは町中であり、山林からは離れていた。面積比でいえば町の中心部を撮ったところで、全体の2割以下にしかならない。実のところ、この写真とは全く異なる顔を持つのかもしれない。たかが2割とはいえ、その2割の光景は僕の好みだった。

(追伸)
今回の訪問で登米市の旧9町を全て網羅した。宮城コンプリート(県内の旧市町村を全て訪問して写真を撮る)への最大の関門は、栗原、登米、大崎の3市であり、何と26もの旧市町村が存在する。今回の訪問で、それは全てクリアした。現時点での進捗状況は、宮城県71市町村のうち、58市町村である。


LEICA M10 MONOCHROME / Summicron M35mm ASPH

コメント (4)

熊との遭遇、これって正常化バイアスですか?

2023-08-27 | 街:宮城
題名の通り、熊を見た。残念ながら写真を撮ることは出来なかった。そんなことは無理だ。だから今回の写真は単なる「通行止め」看板で、熊は写っていない。熊の前に、まず写真の「通行止め」看板について話そう。8月最後の週末、宮城県の登米方面に写真を撮りに行った。久しぶりの町歩きである。秋田県内は35度オーバーの猛暑だが、宮城県は3〜4度低いことが判明したからだ。この宮城行きの機会に、以前から気になっていた道路を使うことにした。国道108号線から鬼首で分岐する一般県道248号線(沼倉鳴子線)という道路がある。以前からこの道を越えてみたいと思っていた。遠回りにはなるが、この道路経由で登米市方面にアクセス出来る筈だ。そんな訳で、ワクワクしながらクルマを走らせた。分岐から10kmほど走ったところで、この標識に遭遇した。「通り抜けできない?。ここまで来て??」。正直ふざけるなと思った。だったら分岐道の入り口か、せめて途中に表示してくれと・・・。僕はスゴスゴと来た道を戻り、国道108号線まで戻り、登米市を目指した。だが結果的には助かったのかもしれない。後で調べると、県道248号線の終点辺りは狭いダート区間となっていて、とても乗用車が普通に通る道ではなかった。あんな所で脱輪でもしたら、命の危機になる。

さて長くなった。写真はないけど、熊との遭遇の話。スゴスゴと道を引き返している途中、切り出した岩山を見つけた。ちょっと写真でも撮るかとクルマを降りた。クルマの後部ドアを開けて、カメラをガサガサと取り出している時に、何か視線を感じた。そちらを見ると、道路の端、距離にして30mくらいの所に黒い塊のようなものが見えた。最初は農家のオジサンかなと思った。うん何か違うな黒すぎる。案山子?。いや違う、動いている。黒いビニールシートか何かが風に揺れている?。いや違う、これは生物だ。人間ではない。もしかして大きな犬?。違うだろ、この場所にいる大きな生き物は・・・。く、熊??。熊じゃないか!!。という思考プロセスを経て、それが熊だと認識するまでには10秒くらい掛かっただろうか。僕がビクッと動いた瞬間、熊はのそのそっと茂みに消えていった。宮城の山奥で、この季節。普通この状況であれば熊だと考えるのが普通だ。でも僕は、熊以外の可能性ばかりを無意識に模索していた。シチュエーションが異なれば、この一瞬の躊躇が危機を招くかもしれない。これが所謂「正常化バイアス」ということなのだろうか。一方で絶好のチャンスだったのに、カメラを構えることすら出来なかったのが残念だ。ちなみに、その先の畑に居た住民の方に熊の出没情報は伝えておいた。そのオジサンは平然としていた。


GRⅢ
コメント (4)