昼間に旧・牡鹿町(石巻市)への訪問を終えて、石巻市内のホテルに入った。翌朝、東松島の旧2町(矢本町、鳴瀬町)を訪れると宮城コンプリートが達成される。嬉しいというより、いささか疲れたというのが本音だ。最後は画像の検索とか、地図の確認とか、パソコン上の作も多い。自分の勘違いで集計がうまく行かず、二度手間(二度足?)も増えた。以前はそういう状況も楽しめたけど、ここ最近は先を急ぐあまりストレスになっていた。いずれにしても宮城コンプリート最後の遠征、最後の夜。そんな諸々にも終止符を打とう。
日が暮れた石巻の町並み。夜の町並みを撮影しつつ、どこかの店で静かに祝杯をあげよう。たまには多少良いもの、例えばウニなんかを食べようと考えていた。だが習性とは業深いもので、結局は普通の安い居酒屋に入った。それで十分、いや今回はその方が良かったのだと思う。石巻のような街。つまりは大都市ではなく、かといって過疎地でもない地方都市。仕事関係だとか、よほど具体的な目的がない限り、通常はそこに泊まる機会は訪れない。そういう地に、特別な用事はないけど敢えて泊まる。そのこと自体が贅沢な行為といえる。そこでは非現実的な高級な料理店に入る必要はない。その地に根ざした店に入れば良いのである。
石巻の夜は、とにかく「闇」の色合いが濃かった。説明が難しい。寂れて暗いという意味ではない。照度の数値が単純に低いわけでもない。なんというか夜の暗さの純度が高いのである。僕が知る限り、それは良い町の特徴でもある。むしろ何もない町であれば、暗さの純度は決して高くはない。石巻はその辺りが絶妙だった。さて、コンプリートの呪縛から解放され、当面は自由に町を歩こうと思う。もう2年も経てば、青森コンプリートと騒ぐことになるだろうが・・・・。宮城コンプリート終盤は個人的にも人生の節目ともいえる色々な出来事があり、それは殆どの場合において悪いことだった。それでも生活は続く。自分の価値観が変遷していく時期だった。気持ち的にささくれだった時もあるけど、やっと少し冷静になった。光があれば影がある。昼があれば夜がある。善があれば悪がある。表があれば裏がある。町と人は同じ成り立ちをしている。今後当面は、よりシンプルに町を歩いていこうと思う。ありがとう宮城県の71市町村。
X-PRO3 / XF23mm F2R WR