タイトルは、あの橋本真也の名言から引用した。僕がこういう言葉を使う場合、大抵それは店が廃業したとか、建物が解体されたケースになるが、今回違う。みな食堂で食事をしたという話である。みな食堂というのは、岩手県花巻市の食堂であり、食堂前の路地を勝手に「みな食堂の路地」と呼び、もう10年以上前から写真を撮っている。鉛温泉で泊まった帰路で立ち寄ることが多いので、時間が合わず一度も利用したことがない。そういうチャンスに巡り合っても、混み合って入店できなかったり、違う店に行ってしまったりしていた。みな食堂の近くにはライバル店(?)の高権という店があり、そちらに行ってしまったのである。その高権も閉店して久しい。
そんなわけで、今回とうとう「みな食堂」に入店した。客は僕ともう一人だけだった。ラーメンと半チャーハン(更に少なくしてもらった)を注文した。想像通りの優しい味だった。しみじみと染み渡る味であり、正直インパクトは弱い。でも何度も通いたくなる味である。長い長い付き合いの常連ができる味だ。店も非常に親しみやすい雰囲気に満ちている。大女将らしき人が、僕の隣の席に座り(多分そこが定位置)、テレビに映る「なんでも鑑定団」を熱心に観始めた。感嘆の声を出したり、くすくす笑ったり。本人評価額が200万円の掛け軸が2万円と評価された時は、手を叩いて大笑いしていた。こちらと話したそうな素振りだったけど、もう少し通ったら僕も話し掛けます。普段は常連と話しながら一緒に見るのだろうな。何度も何度もモデルになってくれた「みな食堂」。これからはお布施として食事をさせて頂きます。いつまでも営業を続けて下さい。
GRⅢ