一日の利用者数が200万人を超える新宿駅から、殆ど利用者のいない無人駅まで、日本全国には様々な駅がある。どんな駅であれ、そこに駅がある限り必ず駅前が存在する。今回はJR五能線の沢目駅。秋田県八峰町にある駅で、当然ながら無人駅である。ちょっと?、無人駅にしては立派過ぎない?と思う方もいるだろう。東北地方には多いのだが、合築形式といってJR駅機能と公共機関とで共同利用する建物となっている。この駅の場合は「土地改良区」の事務所が入居している。他の駅でも観光組合だったり、地域のコミュニティセンターだったり、何かの記念館(博物館)だったり、色々な機関が入居しているケースがある。当然ながら合築の駅舎建設には相当な税金が投入されていると思う。それを都会の感覚では無駄というし、田舎の感覚ではそうしないと交通インフラを維持できないと考える。
さて、沢目駅前は静かな町だった。現役の商店があり、廃業した商店があり、住宅があり、駅前通りがある。田舎の小さな普通の町だ。ただ一つ異彩を放つのは、線路を跨ぐ「ふれあい橋」だろう。屋根付き通路になった歩行者用の跨線橋だ。なんとエレベーターまで着いていて、線路の反対側へと行き来することができる。普通であれば駅自体に通路が設けられていることが多い。沢目駅は駅から少し離れた所に設置されていた。渡った先に小学校があるので、安全面の配慮から造られたのかもしれない。試しに登ってみると、単線の線路が伸びている光景が見えた。静かで優しい気持ちと、少しだけ寂しい気持ちになる。
LEICA M10 MONOCHROME / Summicron M35mm ASPH