



1975年に廃止されたという庄内交通湯野浜線。鶴岡駅と湯野浜温泉を結んでいた約12kmの短い鉄道だった。僕が初詣に行く「善宝寺」にも、かつてその湯野浜線の駅があり、鉄道廃止後には善宝寺駅は、鉄道記念館となり、鉄道の歴史の語り部となった。だが、その鉄道記念館も2000年前後には入場者数の減少を原因に閉鎖となってしまった。
廃止された鉄道の記念館が廃墟となった。この構図が僕には哀しくてならない。入場料は取らないか、格安にして、もっと気軽に立ち寄れる鉄道公園とかにすれば良かったのに。何故それができなかったのか。残念でならない。
X-PRO2 / XF23mm 1.4R
松尾鉱山・緑ヶ丘アパート(鉱山住宅)群のうち、ただ一棟だけ道路沿いに建っている棟がある。一棟だけポツンと離れた箇所にあるので、違う目的の建物なのかもしれない。どういう状態なのか分からないが、建物の内部から樹の枝が伸びて、しかも紅葉している。コンクリートのような強固な建造物も、長い時間を掛ければ自然に呑み込まれていくのだなと感慨深くなる。
LEICA M9 / SUMMICRON 35mm ASPH
藤七温泉という秘湯に日帰り入浴に行った。ワイルドな露天風呂が有名な温泉である。ちょっと考えられないワイルドさであり、しかも混浴風呂である。風呂の写真は当然撮ることはできない。興味のある方は、「藤七温泉」で検索してみて下さい。さて、温泉に入ったあとは、そこから数キロ先にある「松尾鉱山・緑ヶ丘アパート跡」を見に行った。といっても道路上から写真を撮っただけなので、その手のマニアさんの喜ぶ写真はない。ただ巨大なアパート群を10分ほど眺めて、在りし日の生活を頭の中で想像してみる。それだけである。そして気づいたこととして、この巨大なアパート群の住民は、もしかすると前述の藤七温泉や、ふけ温泉、後生掛温泉などに行っていたのではないかということだ。秘湯はかつて、普通の温泉宿だったのかもしれない。
LEICA M9 / SUMMICRON 35mm ASPH
張れた日のドライブは最高の八幡平アスピーテライン。岩手と秋田を跨ぐリゾート道路である。両県の県境付近、岩手側にあるのが、松尾鉱山跡地。今でも毒性物質の中和処理が続けられている。そして、そこに残された遺構が、写真の松尾アパートである。
1枚目の写真も、2枚目の写真も道路端に車を停めて、そこから撮影した。2枚目はシチュエーションが分かるように敢えて道路端を取り入れた。この中に侵入しない限り、合法的に産業遺構を眺めることができる。盛岡を出発し、ここを通って、後生掛温泉を経由して秋田に戻ったのであった。
LEICA M9 / SUMMICRON 35mm ASPH
秋田県某所の国道から分岐した道で見つけたガソリンスタンド。よく考えれば、国道から分岐した道こそ、かつて(本来)の国道なのだと思う。でも、今では後からできた国道が我もの顔をして、かつて(本来)の国道は「旧道」と言われる。この旧道には通行者は殆どなく、ガソリンスタンドも営業を辞めてから久しいようだ。丁度お昼時で、近くでガソリンを運ぶタンクローリーが休んでいた。かつて、ここにも配達に来ていて、今でも休憩場所として受け継がれているのだろうか。だとすれば、少しだけ嬉しい気持ちになる。
LEICA M9 / SUMMICRON 50mm (1st RIGID)