No Room For Squares !

レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

大人の休日倶楽部(番外編)〜この旅の一枚

2024-07-07 | 街:群馬

長くても短くても、旅に出たときは「この一枚」を選ぶ。いわゆるベストショットだけど、誤解を招き易いので補足する。ここでいうベストショットは、コンテスト的な写真の完成度を言うわけではない。その旅先における最も象徴的な光景と言い換えることが出来るだろう。写真技量的にミスがあったり、未熟であっても構わないのだ。前橋中央通り商店街での一枚。何十年も続く商店街というプラットフォームのなかでは、新しい店と古い店が有機的に融合しつつ営みが続けられている。新しい店がオープンする一方で、多くの古い商店が営業を続けている。色々な浮き沈み、世相の移り変わり、人生の変化のなかで、同じ営みを続けてきた老夫婦に敬意を表して・・・。写真的には構図と人物の動きにもうひと工夫必要なことは承知している。でもそんなことより大事なこともある。これにて大人の休日倶楽部、終了です。


X-PRO3 / XF23mm F2R WR
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大人の休日倶楽部(最終回)~暗くなる前に終わった夜

2024-07-05 | 街:群馬











前職時代に何度も泊まった高崎の夜は、正直言って下世話だった。当時の繁華街では、客の数よりも客引きの方が多いと言われていた。次々に客引きが声を掛けてきて大変だった(かといって強引な行為はなかった)。だから前橋もその延長線上にあるのだろうなと思っていた。ところが前橋と高崎の違いなのか、20年近い時の流れなのか、そんな感じはなかった。リラックスできる繁華街で、好みである。

前橋での夜には幾つかの誤算があった。誤算の一つはジャズ喫茶ダウンビートである。歩いて乾いた状態でいきなりビールを飲むと、どうしても呑み過ぎてしまう。だから夕食の前に老舗ジャズ喫茶のダウンビートでアイスコーヒーを飲んで涼もうと考えていた。だがダウンビートは午後3時に閉店していた。やむを得ずカラカラの状態から、午後5時前には一杯始めてしまった。前日は飲みすぎたので、この日は自粛しつつ楽しもうと思っていた。それ以前に酒はそれほど入らないと想定していた。・・・・。そんなことはありませんでした。ちゃんと夕方になれば酒は美味しくなるものだ。またまた結構飲んだ。皮肉なことに一年で最も明るい季節である。午後7時頃に店を出たとき、まだ昼間のような明るさだった。悲しいかな、もう酒は飲めない。身体がそう言っていた。ミスターバーボンというショットバーに行きたかったが断念した。行くだけなら行けたとは思う。でも行けば必ず飲む。それもかなり飲むだろう。その瞬間だけ体調は良くなるに決まっている。ここ数年、夏旅の無理で体調を崩したことを考えれば、ここは大人の判断をしよう。きっと別の機会に来いと街から言われているのだろう。

その後、ふらふらと辺りをぶらつきながらホテルに戻る。翌日は帰るだけの日程だ。旅が終わってしまうことを実感する。それにしても大人の休日倶楽部パス、5日間をフルに使える場面はないだろうが、2~3日の日程でも十分楽しめる。次の機会に備えて構想を練ろう。最終日の移動の写真は若干あるけど、掲載するものでもない。今シリーズはフィナーレまで来た。次回、番外編「この旅の一枚」を掲載して終了したい。お付き合い頂き感謝します。


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大人の休日倶楽部(Day2)②~This is the 商店街

2024-07-03 | 街:群馬













大人の休日倶楽部パスを使った旅。次なる目的地は群馬県前橋市である。すぐ近くにある高崎市には、前職の出張族だった頃に何回も行った。目と鼻の先にある前橋には何故か全く縁がなかった。だから、いつか前橋へという想いは持っていた。前橋には、アーケード商店街の聖地とも言われる「前橋中央通り商店街」がある。今回の最大の目的地である。またショットバーの銘店「ミスターバーボン」にも行きたい。その二つがテーマとなる(予定だった)。長野と群馬がこんなに近いことは今回初めて知った。上田から高崎まで北陸新幹線で40分弱、高崎から前橋へは在来線で15分ほどだった。午前中には上田の別所温泉で英気を養い、満を持して前橋入りした。英気を養ったはずなのに、昼食のビールが効いたのか、実際はヨレヨレになってホテルにチェックインした。それでも折角の機会だし、まだまだ陽は高い。暫しの休憩のあと早速、前橋中央通り商店街に繰り出した。

さて、その前橋中央通り商店街通り。一言でいえば、想像以上に現役バリバリの商店街だった。失礼ながら、もう少し廃れたというか、発酵した香ばしさの漂う商店街だと思っていた。いやいや何の。何十年も前から営業している古い商店が頑張っているではないか。廃業した商店がある一方、新しく始めたと思われる商店も目に入る。その比率云々ではなく、辺りから漂う雰囲気そのものから、ここが紛うことなき現役の商店街であることが分かる。僭越ながら、僕も東北地方の数多の商店街を歩いて来た。訪れた旧市町村数は300を超え、(大小問わなければ)訪れた商店街の数はゆうに500を超えるだろう。こと東北地方に限っていえば、一般人で僕より多くの商店街を歩いた人間はいないと思う。その僕が言うのだから間違いない。ここには東北地方の小さな町にあるような絶望的な無常観は存在しない。諦観ではなく、達観の境地がそこにある。多少の細胞入れ替えはあっても、この商店街は今後も継続するだろう。ただし後継者問題は悩ましいかもしれない。現状では店は維持できても、若い人が専業で食べていくには厳しい面もあるだろう。僕らに出来ることは、失くなってから嘆くことではなく、可能な限り利用することだと思う。まあ実際歩いているときは、そんな小難しいことは考えず、ただ楽しく散策した。(続く)

X-PRO3 / XF23mm F2R WR


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真夏の北関東遠征シリーズ②〜SUBARUの聖地へ

2022-08-14 | 街:群馬










群馬県太田市に行くのは家人の希望で、目的はそこにあるスバルの群馬本工場を見ることだという。いや多分違う。本工場前にある伊勢屋さんというお菓子屋さんで、スバル最中を買うことだと思う。伊勢屋さんが製造販売するスバル最中は、元々は富士重工業の健康保険組合の記念品としてオーダーされたことが始まりだ。それ以来、半ば公式菓子みたいな形で現在まで販売され続けている。店舗は群馬本工場の正門の真前にある。今では世界的大企業となったスバル。町の小さなお菓子屋さんの提携は、心温まるエピソードだと思う。

我が家には2台の車があるが、どちらもスバルの4WD(AWD)である。世の中では、スバルに乗るユーザーは、そのロイヤリティの高さから「スバリスト」と呼ばれる。でもはっきりしておきたいのは、僕はスバリストではない。あくまで北国(雪国)特有の事情も絡み、スバルのクルマに乗っているのである。もちろん自分のクルマは気に入っているが、自動車メーカーに対して盲目的な愛情は持っていない。これはカメラに対しても同様だ。ライカや富士フィルムのカメラを使っていて、メーカーの成り立ちに敬意を持っている。自分のカメラも大好きだ。だが盲目的な愛情までは持っていない。僕はそういうタイプの人間だ。ただし家人は事情が異なるようで、自分のことを「スバリスト」と呼んでいる。正直、最中が特別好きなわけでもないし、こんなことの為にわざわざ群馬まで行くのも躊躇われた。そこで折り合いをつけたのが、近くの太田駅の町並みが素晴らしいことだった(昨日掲載済み)。まあとにかく、お菓子もろもろを買ってきた。包装紙が渋いし、スバルのクルマの歴史を紹介する小冊子まで入っていた。家人も喜んでいたので、良しとしよう。








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真夏の北関東遠征シリーズ①〜太田駅北口の香ばしさ

2022-08-13 | 街:群馬









毎年恒例の夏休み一泊二日のショートトリップに行ってきた。これは純然たる一人旅ではなく、家人との家族旅行的な位置づけである。家に猫を残していくこともあり、日程は一泊二日しかない。以前は西伊豆への一泊二日弾丸ツアーもあったが、秋田県から一泊二日で行くとなると、北関東あたりが現実的なラインとなる。家を空けた二日間は秋田県では豪雨が予想され不安もあった。僕が住む場所では、留守中は大した雨は降らなかった。無事帰還したのは昨日夕方から雷を伴う強い雨が降っている。

さて、家人との同行で色々制約(?)があるなか、最初に訪れたのは群馬県太田市だった。太田市の滞在時間は約40分と短い。本来の目的は明日掲載するとして、ついでに歩いた太田駅(北口)の町並写真を掲載する。気温30℃を下回る秋田県から来て、いきなりの35℃オーバー。暑くて堪らなかった。

GRⅢ (ポジフィルム調)

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炎天下の「みなかみ温泉」でエアトリップする

2020-08-15 | 街:群馬

















時系列的にはバラバラになるけど、「法師温泉」に行く前に立ち寄った群馬「みなかみ温泉」の温泉街である。僕は群馬の温泉が好きで、以前にも伊香保だとか、草津だとか、四万温泉に宿泊している。その行き帰りに何度も「みなかみ温泉」周辺を通過した。みなかみ駅にだって行っている。近くの土合駅で写真も撮っている。なのに何故か、みなかみの温泉街に立ち寄ったことはない。他にも行きたい場所があるので、優先順位の絡みもあるが、不思議なことだと思う。今回、行きの最後の立ち寄り場所として、みなかみの町を歩いてきた。

時刻は午後1時半頃、太陽は真上に上がりギラギラと照りつけている。気温は約36度。マスクをして歩くと、息苦しいだけでなく、マスク自体が汗で湿ってくるのが分かる。昼食には遅過ぎるし、チェックインするには早過ぎる時間帯で、町を歩く人も少ない。町並みは温泉街特有の狭い通りが何本もあり、宝箱をひっくり返したような楽しさがある。だが、なにしろ暑い。とても立ち寄り湯に入るような気分にはならない。ここに泊まって(もう少し涼しいときに)、風呂上りに夕方の町をぶらぶら歩く自分を想像する。想像の世界で、まずはひと風呂浴びて、湯冷ましと夕食へのウォーミングアップを兼ねてビールを呑みに行こう。そうすると現実の世界でも脚は自然とそれらしいところに向かうから不思議だ。ここで飯を食べるか、それともあそこか。酒はここで買って宿に戻ろう。ここで少し遊んでいくか、この路地を夜に歩いてみよう、等々。暑さも忘れ、楽しい時間を過ごした。

LEICA M10 / SUMMICRON M35mm ASPH
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法師温泉で過ごす至極の時間

2020-08-14 | 街:群馬











法師温泉の内部は、「本館」、「別館」、「薫山荘」、そして高級部門の「法隆殿」の4つから構成されている。本館と別館は国の有形文化財に指定されている。僕らは「薫山荘」に泊まった。隣の部屋は夏目雅子さんがよく泊まった部屋だそうで、僕らの部屋は女優の山本陽子さんが泊まったそうである。そういう逸話がまだまだ幾つもあるが、そんなことを気にしても始まらないので割愛する。この日は麓の「みなかみ町」では35度オーバーの猛暑日だった。標高880mの当地でも流石に暑い。室内には扇風機のみでエアコンの類はない。だが宿の真下には清流が流れている。結構な水流で音を立てて流れていると言ってよいだろう。その影響で、夕方からは涼しくなり、夜は天然クーラー状態で快適に眠ることができた。川の音は睡眠の邪魔になるどころか、眠りに誘う役目を果たした。嗚呼、なんて快適な宿なんだ。今回は食事の写真は自粛したが、趣向を凝らした美味しい料理で、山の珍味も味った。そして僕は群馬の酒を呑んだけど、新潟の地酒も沢山揃っていた。ご飯は勿論、「南魚沼産コシヒカリ」である。こんな温泉旅館に簡単に来ることのできる北関東の人が羨ましい(終わり)。


X-PRO3 / XF23mm F2R WR
(一部iPhone8)
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約500kmの道のりを経て、ついに法師温泉「長寿館」に来た!

2020-08-13 | 街:群馬










(以下の画像はwikipediaより引用 File:法師温泉混浴浴場Img913.jpg)

三国峠といえば、群馬と新潟を結ぶ峠であり、江戸と越後を最短で結ぶ街道として古来重宝されてきた。今では高速道路の関越道に主役を譲ったものの、現役の国道17号線として残っている。その三国峠の群馬・新潟の県境近くに法師温泉は位置している。一軒宿の温泉ながら多くの温泉愛好家から愛されている。住所的には群馬県みなかみ町となるが、スキー場で有名な苗場リゾートまでは20kmほどの距離である。新潟は目と花の先だ。かつて田中角栄は「三国峠をダイナマイトで吹っ飛ばす。日本海の季節風は太平洋側まで一気に抜け、新潟に雪は降らなくなる。三国峠の残土で佐渡島と陸続きにする」と言っていたそうだ。凄い発想だけど、地元の方が苦労し続けた雪によって、この地の経済が成り立つようになったのも皮肉な話だ。

さて、法師温泉・長寿館に話を戻す。この宿の何が良いかといえば、まず第一に足元から源泉が湧き出す「法師の湯」が良いのである。その名の通り、弘法大師が発見したと伝えられる湯である。合計8つに仕切られた湯船は、それぞれ微妙に温度が異なるという楽しさ。しかも混浴である(女性専用時間あり)。足下から湧き出す温泉といえば、岩手県の鉛温泉(白猿の湯)有名だ。法師温泉の特徴は底に玉砂利が敷き均されていることで、そこからボコっと湧き出す様子が堪らない。いずれにせよ全国の温泉通を唸らせる名湯なのである。鹿鳴館様式の浴室には四隅に暖色の照明が薄暗く灯るのみで、静かな静かな時間が流れる。シャワーやカランなどもない。否が応でも秘湯感が高まる。言い忘れたが、無色透明のナトリウム硫酸塩で、優しい湯である。

そしてもう一つの良いところは、建物だ。創業は明治8年とのことだが、江戸時代の湯宿のような佇まいである。ランドマークになっている丸型ポストが脇に立つ正面玄関は、少なくとも大正か戦前の昭和そのものの雰囲気となっている。与謝野晶子が籠に乗って訪れた写真を見たことがあるが、その頃と何も変わっていないように見える。写真はフィルムシミュレーション「クラシックネガ 」で撮っただけで、何も加工はしていない。なかなかの貫禄である。お風呂は流石に撮影は断念し、wikipediaの画像を使用ポリシーに従ったうえでお借りした。家から約500kmの道のりを経て辿り着いた法師温泉。もう感無量である。(続く)

X-PRO3 / XF23mm F2R WR
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ケンミンショーの「もつ煮」食う?

2018-01-06 | 街:群馬








理由はよく分からないが、長期休暇の際は「群馬」に行くことが僕の最近のトレンドだ。今回も諸事情から時間制約が厳しいなか、無理無理と群馬県の四万温泉に行ってきた。朝6時すぎに秋田県の家を出て、運転疲れと空腹を癒すのは、あの「永井食堂のもつ煮」である。このもつ煮は初めて食べたのだが、とにかく汁が旨い。普通盛りでも大盛りとなっているご飯に掛けながら食べると最高である。また店内は「への字」型のカウンターのみで、扉を開ければすぐに椅子がある。チャキチャキとしたお姉さんが手際よく客をさばく様は圧巻である。

追伸:お盆は縦に置いて食べないと叱られます。


iPhone 8
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店を閉じた今でも温泉街に調和する

2018-01-05 | 街:群馬












四万温泉の廃店舗。不思議なことに現行の温泉街の地図にも掲載されているし、その佇まいと雰囲気も温泉街に調和している。いわゆる「廃墟」のようなものではなく、温泉街の記念碑みたいな様相なのだ。上の3枚が「よろず屋」。下の3枚が「おぐらや」。通常こういうものを喜ぶ人は少数派で(僕はその少数派ですが)、温泉街の美観を損ねるネガティブな遺構と捉えられる。四万温泉の懐の深さを垣間見たような気がする。四万温泉編、短いがこれが終わりである。



X-PRO2 / XF23mm F1.4R , XF18-55mm F2.8-4 R LM OIS
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