さて、先日某オークションを見ていると、MC7270用のムギ球が8ケセット(片側4ケ)で1万円で出品されていた。交換もして貰えるそうだが、工賃がかかるので、自分でやれば1万円で済むということだ。そんなに作業は難しくないとある。販売している電球は単なる豆電球のようなもので、ブルーライトは電球ではなくガラスで表現されているようだ。ここで僕は根源的な疑問にぶつかる。「異常に高くないか??」。単なる豆電球が8ケで一万円。1ケあたり1250円もするではないか。ここから暫く地道にネットで検索を続けると、次のことが分かった。
1)電球は、6V3Wの定型もので、ハンダ等の必要のない差込タイプである。
2)主には、バイクや車のメータ照明用のライトとして使われ、現行品である。
3)販売金額は1ケあたり200円程度であり、10ケ入りのパックで1000円で売っているものもある。
4)オリジナルのGEのNOS(新古)品でも1ケ250円程度で入手できる。
そして試しに僕は、小糸製作所製の10ケ入りパックを1000円で買ってみた。問題の入れ替え作業は至って簡単である。そもそもメンテナンス用にメーター背後の部分のカバーがネジ4本だけで外れるようになっている。開けるとメーター部分は密閉されているが、上の部分の基盤に電球が刺さっているので、それを外せばよい。当初、僕は外し方が分からなかった。プラスティックのピンのようなもので留められいて困惑した。そこをドライバで抉ってみたりしたがうまくいかない。とうとうフロントガラスも外してみたが、無関係のようだ。やけになって基盤をグイっと引っ張ると、ぱかっと外れた。
何のことはない、ただ基盤を真上に「エイッ」と引っ張ればよいのであった。あとは電球を入れ替えて差し込むだけ。箱型のアンプの筐体を開けるよりも遥かに簡単である。これでやり方は分かった。もう電球切れに悩むことはないのである。数年に渡り、切れたらどうしようと悩んだことが馬鹿らしい。ちなみにMC7300以降は箱型なので、どうなっているのか分からない。多分、筐体さえ開ければ後は似たようなものだとは想像している。ちなみに秋田県内の某業者に以前相談したときは、「県内では交換できない。特殊作業なので、東京か大阪か九州、数社しか出来るところはない。私は顔が広いので、特別価格でやる。5万円(送料別)でよい」だった。阿保くさいのでやめたが、酷い話だった。MC7270をご使用の方は、ブルーライトの弾切れにはもう悩む必要はありませんよ。
ちなみに電球は片方4ケづつで、両方とも3ケしか点いていなかった。すべての電球を交換し、ついでにメーターガラスの表面を綺麗に葺いたので、若さを取り戻したかのような明るさになった。そんなの知ってるよという方は無視して頂くこととして、超簡単に手順を示す。くれぐれも作業は自己責任で。
<まずは赤丸の部分の左右のネジを4本抜く。通常のプラスドライバーで良い>
<そうするとカバーが上方向にスポッと抜ける>
<赤丸の基盤部分がライトの差し込み口だ。えいっと真上に抜こう>
<あとは電球を差し替えて、元に戻すだけ。所用時間30分もあれば余裕>
<6V3Wのイカ球>
プ○ケーブル(○に何か字が入ります)という音響機器会社がある。所謂PA関係の機器を販売する会社であり、既存の権威主義のオーディオ業界に真正面から喧嘩を売り、販売数を伸ばしている。この会社の特徴は、ライブやイベント、あるいは楽器用の機器、これらをプロ機器と称して、その中には安価なのに高級オーディオを遥かに凌駕するものがあると紹介していることである。例えば、クラウンD45というプロ機器パワーアンプは、当時の実売金額で7~8万円程度であり、それは数百万円の高級オーディオアンプをも凌駕すると宣伝し、かなりのヒットとなった。実際に、このアンプの音に衝撃を受けて、それまで持っていた100万円を優に超えるパワーアンプを処分した人も多いという。
<その真偽>
一方で、プ○ケーブルはその宣伝手法と相まって「まるで新興宗教」のようであると批判も受けている。「至高のアンプ」とか「電源タップの最終回答」とか、「JAROにいうじゃろ」と言いたくもなる宣伝文句を駆使し、高級オーディオ=悪、プロ機器=善という、善悪二元論に持ち込み、ユーザーの考え方自体をコントロールしようとしているように見える。しかも、「最強のアンプ」と謳っていた製品が生産中止になると、一転「最強のアンプ」を2ランク上回る「至高のアンプ」が現れたりするなど、彼らの善は彼らの販売事情と見事にシンクロしている。つまり大人の事情に基づいた「善」なのである。
それでも、この会社がいうことには理に適った部分があることは認めなくてはならない。例えばハイエンドオーディオの世界では、機器の電源ケーブルが交換式なのは当たり前で、そのケーブルに10万円以上するものがあり、なかには60万円もする商品が存在する。恐ろしいことに、実際にそれを使っている人もいる。プ○ケーブルは、「それは異常なことです」と言い切る。何故たかが電源ケーブルがハイエンド一眼レフやバイクが買える値段なのかと。そして、それより遥かに高性能の製品を8000円位で紹介しているのである。オーディオは自己満足の趣味なので、それぞれの考え方があってよい。プ○ケーブルにすべてを委ねる気はないが、安くて良いものが入手できるのであれば、歓迎する。僕は、主に接続ケーブルなどをこの会社から買っていた。5000円程度のベルデン製ケーブルを使用したもので、これが数万円のケーブルより遥かに良い。スピーカーケーブルも以前は、ホースみたいに太いメーター5000円もするものも使ったが、今はプロケーブルからメーター数百円のものを買っている。ホームセンターの廉価ケーブル並みの値段で、PA機器用の良質なケーブルが入手できるのだ。
<そしてとうとうThomannを購入>
実はプ○ケーブルが、「チャンネルデバイダー」の最終回答と謳う製品を購入したことがある。ベリンガーのCX2310という機種で、権利の関係で同社では取り扱いをしなくなったので、別の販売店から買った。価格からすれば優秀な製品かと思ったが、僕のアンプはバランス伝送に対応していないので、変換ケーブルをかました。しかもそれを粗悪なケーブルで代用したので、残留ノイズが酷く、結局は別のものに買い替えた。キチンとバランスケーブルを使える環境であれば、もっと良い音は出たかもしれない。
(※もう一つ、パワーアンプのボリュームは最大に固定し、プリアンプ側のボリュームをかなり絞って使っていたこともある。正しくはパワー側を絞り、プリ側はより最大に近い位置で使うことらしい)
そんななか、予てからの懸案である夏場の真空管アンプの代替機として、今同社が一押しの「究極のアンプ」であるThomann S100Mk2を入手した。新品でも2万8千円程度、僕はオークションで1万8千円で入手した(少し出力の小さいS75は新品で2万4千程度である)。まあ僕も大人だから商業世界でいう「究極」の意味と程度は大凡理解しているので、過度な期待は抱かず出てくる音を迎えいれる用意をした。
な、な、な、なんだこれは!!!!
す、す、す、すごい!!!!!
弾むような音、部屋中を包み込む立体感。格が違う。2CHマルチアンプ(JBL4333AWX)の中高域用に使ったわけだが、別物の音である。もっともこれまで試したのは、ムジカの30万円位のパワーアンプ(実際は4万円で買った)、テクニクスの古いパワーアンプ、ラックスマンA3700(KT88プッシュブル)、ダイナコマーク3(6550のGE管)なので、とてもハイエンドとは言えない面子だけど。自己評価でいえば、ラックスマンとダイナコからは2ランクほど違いがあり、ムジカからいえば5ランクの違いがある、最早意味不明の領域である。低域用にはマッキントッシュのパワーアンプMC7270を用いている。当初Thomannは、MC7270に釣り合わないと心配したが、釣り合わないのはMC7270の方ではないかとさえ思える。聴きこむうちに、CDや比較的新しい音源ではその差は圧倒的であり、音が凝縮された古いレコード等(とくに楽器の音色)では真空管アンプの良さも際立つことが分かり、少しだけ安心した。それにしても、これが新品で3万以下。今の時代、50万円出しても、これと同等のアンプは手に入らないだろう。一気に洗脳されて、それまでのオーディオ機器を全て入れ替える人がいることも理解できる。僕も正直、音だけを考えるのであれば、THOMANNのアンプが2台あればそれで良いように思う。これ絶対オススメです。余程思い入れや憧れがない限り、このアンプを凌駕する機器は簡単には見つけらないと思う。
<Thomann S100 Mk2 に欠点はないのか>
では、このThomannに欠点はないのか、ここに触れなければフェアではない。僕はこのアンプの欠点は一言でいえば「色気」だと思う。決して無味乾燥なアンプという意味ではない。大きく分けると次の2点である。
1)見た目の色気
これはプロ機器なので仕方がない。実用を極めた機器は美しいこともあるが、この機器はラックマウント対応のPA機器そのものであり、共産主義時代の東ドイツのオバさん事務員みたいな無愛想さである。間違っても、撫でさすったり、スイッチをカチカチ動かしてニヤニヤできる製品ではない。オーディオは、「このアンプで聴いているんだ」という想いが、音を脳内でアップサンプリングする世界である。物理的特性より脳内変換で3割増しで良い音になる。そういう要素は、このアンプには皆無である。逆に無駄な部分にコストを掛けることを好まない人には良いアンプである。
2)音の色気
色気がないのではなく、究極にフラットなのである。例えばビル・エヴァンストリオのモントルーでのライブ盤を聴いたところ、エディ・ゴメスのベースが超色っぽいのである。鼻血が出て倒れそうなるくらいだった。でもこれは、元々そういう音が収録されていて、ある意味これまでの装置ではそこがスポイルされていたのだと思う。逆に、これまで装置が化粧していてくれていた音もスッピンになるので、ビロードが剥げたようになることもある。だから音源による差異が激しくて疲れるのは事実である。我が家の音の傾向を支配しているマッキントッシュのプリアンプC32を交換すれば、更に本来の音に近づくと思う。それは決して薔薇色の道とは限らない。
追伸:しばらくの期間、ランニングテストを行い、現在は真夏まで待機してもらうこととし、真空管アンプ(ダイナコ・マーク3)を復帰させた。冷静に評価すれば、各々に各々の良さがある、ということになると思う。意外だったのは、女性ボーカルなんかは真空管アンプの方が良いと思い込んでいたが、Thomannのリアリティは異状である。もしかすると、38センチウーハーの方をThomannで駆動し、中高域をMC7270で駆動しても面白いかもしれない。間違いなくいえるのは、血迷って買ってしまったム○カの希望小売価格30万オーバー(最近更に値上げした)のパワーアンプとは比べ物にならない。もうこれだけは断言する。マークレビンソンとかクレルとか、その人なりの思い入れのあるアンプを上回るかどうかは、ケースバイケースである。
何しろ、オーディオの音は万人に同じように聴こえるわけではない。その人の脳内のバッファアンプが機能するのだから。
iPhone 6S
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(2018年1月追記)
今でも検索でこの記事に辿り着く方がいるようなので、追記しておく。当アンプは夏場の真空管アンプの代用機として現在も使用しています。でもその評価は前言を撤回します。僕の環境ではダイナコMk3(古い真空管アンプ)の方が良いです。あくまで僕の環境ではですが・・・。
Thomanを繋いだ当初はその音の新鮮さに圧倒されたのは事実です。でもいつしかその音に飽きてしまうのも事実です。時期が来て真空管アンプに入れ替えると、心の底からほっとします。Thoman使用中は妥協感でいっぱいです。ただこれは僕の使い方の問題でもあり、好みの問題でもあります。とどのつまり、僕はオーディオマニアではなく、音楽(レコード)ファンだから。
我が家のオーディオ機器が、どんどん古い時代の製品になっていく。もともと、GEの1950年代初めのモノラルカートリッジ、通称「バリレラ」を使用していた(1枚目)。2CHマルチアンプの高域用に採用した真空管アンプ、DYNACO Mk3も1950年台の発売である(2枚目)。ちなみにDYNACOの真空管にはGE製を使っている。そして今回、バリレラ専用を謳う真空管式モノラルフォノイコライザーUPC-003Cを導入した。これもGE製で、3枚目の写真のものだ。1万8千円ほどで入手することができた。この価格(安さ)、この古さ、この小ささ、このシンプルさ。なのに出てくる音は凄いのである。ブルーノートのモノラル版なんかを掛けると、昨今のオーディオ業界が求める音とは世界観の違う音が出てくる。
最近は、猫も杓子もハイレゾと叫ぶオーディオ界。僕には何かが間違っているとしか思えない。誤解を与えないようハッキリさせると、ハイレゾ自体を否定するわけではない。ハイレゾ=良い音、それ以外=悪い音、という洗脳作戦が気に入らないのである。ハイレゾとはデータ形式のフォーマットの通称で、良い音かどうかは本来は別問題なのである。それなのに周辺機器まで「ハイレゾ」対応が宣伝文句。ハイレゾ対応って、一体何がどう対応しているのか。一昔前の「ファジー回路」とか「抗菌処理」と似た匂いがする。公正取引委員会が調べれば、「根拠なし」という結論が出るかもしれない。
いずれにせよ、1950年台の装置を使って聴くモノラルレコードには、ハイレゾでは不可能な色濃い音が再生されるのである。
EOS 6D / EF24-105 F4L IS
ここ一ヶ月で目まぐるしく変わり続けた僕のオーディオ環境。LUXKIT A3700(KT88)は、とても良い音だった。低域にはMcintosh MC7270を使っているので、中高域のホーンを担当してもらい、本当にスピーカー自体が変わったような錯覚を覚えた。ジャズはもちろん、これだったらクラシック音楽だっていける。本当に良い音はニュートラルなんだって気付かされた。ニュートラル・・・。もちろんJBLとMcintoshが絡んでいるのだから、濃い音は当たり前ということを前提にしてはいる。でも、そのニュートラルで良い音は、何となく落ち着かない音でもあった。そして今週末、またも山形のオーディオショップまで往復し、A3700を返品し、追い金を払って「Dynaco Mk3」を入手した。KT88互換の6550真空管を使ったモノラルパワーアンプ2台である。もう馬鹿として言いようがない。でも、これ、これ、これである。音は正直ラックスの方がはるかに綺麗だけど、このアンプからは観念としてのジャズ喫茶の音がする。高音質であれば良い、そうとうも言い切れないからオーディオ道楽はタチが悪いのだ。もう体力の限界なので、これで手打ちとする(本当はA3700に未練がある)。いやでも、なんであんなにA3700の音が良かったのか、謎ではある。
ただでさえ色々な問題があり忙しいのに、更に混迷の度を深めさせていたオーディオ問題。色々と遠回りもしたし、不愉快な思いもしたし、全てが完成した訳でもない。でも何とか道は見えてきた。結局、KT88という真空管を使ったラックスの古いアンプを導入した。こういう組み合わせが良いのかどうかは分からない。ただ岐阜県メーカーのアンプ(希望小売価格30万円)をラックスの真空管アンプに入れ替えると、眼の前の霧がパッと晴れ渡った。更にJBLのチャンネルデバイダーを格安で入手することができた。まさにスピーカーの目が覚めたような音。これぞ雲泥の差。この差は製品の差だけでなく、相性とか用途の問題でもある。苦労の後だけに、KT88(真空管の名前)の淡い光を眺めてから寝ると、良い夢が見れそうだ。そしてそろそろ、オーディオ感傷から音楽鑑賞に戻り、写真生活を取り戻すことができそうだ。
※写っていませんが、メインソースはレコードです。
EOS 6D / EF24-105 F4L IS
私事で色々あり、写真を撮ることができない日が続いていた。少しだけ落ち着いたものの、写真のストックがない(まあ、ないことはないんだけど、直近のものがないということ)ので、非写真ネタでお茶を濁す。今年になって挑戦しているオーディオのマルチアンプ駆動は、一応形になった。3ウェイスピーカーを2chマルチアンプで駆動するのだから、簡易マルチアンプに過ぎないかもしれないが、音は決まってきた。写真の組み合わせに、スピーカーはJBL4333AWX、ターンテーブル2台とCDプレイヤー1台を運用している。アンプ関係は以下の通りである。
◯プリアンプ=Mcintosh C32
◯パワーアンプ1(LOW)=Mcintosh MC7270
◯パワーアンプ2(HIGH)=Musica Raicho2
ムジカのアンプは、正直・・・だけど、270WのMC7270に対し70W前後のアンプを高域用に用いるとバランスが良いようだ。将来的には、高域用のアンプを真空管アンプに変えたいと思う(ムジカも真空管ハイブリッドだけど)。音の方は、とにかく低域が太く締まり、大迫力である。ジャズを聴くには最高である。マルチは泥沼と言われる割に、お金を掛けずに最低限のレベルには到達できたと思う。まずはやってみないと、改めて思った次第だ。マルチアンプをしようかどうか悩む諸兄は、手始めにベリンガーのチャンネルデバイダー(実売9000円弱)を利用して、安上がりに挑戦することを勧める。ダメなら戻れば良い。不要になったチャンネルデバイダーも3千~4千円程度でオークションで売却できるはずだ。勉強料としても決して高くない。でも、言われるより簡単に運用できる可能性も強い。その後、ゆっくりと発展を考えれば良い。僕のシステムは仮完成したが、今は時間が取れないので、ゆっくりと発展させたい。
そして、もう二度と内臓ネットワークを使用した駆動に戻ることはないだろう。
EOS6D / EF24-105mm F4L IS
レンズ沼という恐ろしい沼にハマらないよう日々気をつけているのだが、オーディオにも沼があり、ふと気づくとハマりそうになっている自分がいる。何を思ったか、突然スピーカーのマルチアンプ駆動を始めてしまったのである。激安なのに高級機を凌ぐ性能と評判のベリンガーのチャンネルデバイダー。ネットショップで見ていたら、ほぼ一万円で送料無料なんだ、なんて感動してしまい、うっかりクリックしてしまったのだ。これって沼への入場券では?と気づき、キャンセルしようとしたが時すでに遅し。1時間後には商品発送連絡がきて、次の日にはもう現物が到着している始末。ここは秋田県ですよ。速すぎないですか。
マルチアンプ駆動とは、スピーカーのユニットごとにパワーアンプを複数用いて、アンプの負担を軽減しスピーカーの駆動力を上げる方式である。結果、音の純度が高まり、スピーカー本来の性能が発揮されるという理屈である。普通のスピーカーにも2WAYとか3WAYのユニットがあるが、スピーカーコードをつなげるだけで、あとは自動的に再生域が分配されているのだ。マルチアンプ駆動では、この分配を外付けのチャンネルデバイダーという機器で行うため、周波数の設定とか、ゲインの調整とか、端子の設定とか、いろいろ面倒なのである。ばっちり決まれば、およそ別物のスピーカーになったような素晴らしい音が聴こえる反面、弄っても弄ってもうまくいかず、結局は元のままの方が良かったというケースも多いという。原因をアンプの相性と決めつけ、アンプを何台も買い替える人もいる。最後には自分の基準を失ってしまい、良い音とは何かという形而上学的な疑問と格闘し、音の流浪の旅に彷徨う輩すらいるという。そして、あらゆる釣りを経験した釣り人が最後にはシンプルな「へら鮒釣り」に回帰するように、マルチアンプ原理主義者は、フルレンジ一発スピーカーに戻るまで、音の苦悩から解放されることはないという。。。。。。。。これは安物のチャンネルデバイダーでとどめ、沼の岸辺から離れないことが賢明だと思う。
ちなみに僕のスピーカーは、JBLの4333AWXというタイプで、元々内臓ネットワークをオフ(外部)にして2WAYマルチアンプ駆動を行うことができるようになっている。プリアンプはマッキントッシュのC32、パワーアンプが同じくマッキントッシュのMC7270のセパレートで運用していた。ここにパワーアンプを一つ追加して、中高域部(ホーン)を担当させる。MC7270は中低音(38cmウーハー)を担当することになる。手持ちの追加アンプがないので、リサイクルショップで古いテクニクスのアンプ(6千円!)を取り敢えず購入して、設定に奮闘している。大まかな設定はできたので、中高音部を担当のアンプを新たに探して本採用しようと物色中である。
やる気のない写真が続いているのは上記の理由で、諸兄のブログを拝見することすらできず申し訳ない。
EOS 6D / EF40mm F2.8 STM
今回は写真とは関係ないオーディオ記事で。どうも「C32」を検索して、このブログを見てくれる人が結構いるらしい。C32とは、マッキントッシュのプリアンプ(コントロールアンプ)のことである。確かにC32に関する情報はネット上にそう多くない。残念ながら、C29やC34、あるいはC40との違いみたいなものは僕にも分からない。だが、C32の機能については、もう少し詳しい情報が書けると思う。
C32は取扱もシビアでなく、修理等も比較的容易である。初めてのセパレートアンプということでも、十分使いこなせるうえに、一生使っても飽きさせない奥深さもある。以下に簡単に特徴を記す。
参考:以前の記事はコチラをクリック→→→「プリアンプ考察 Mcintosh C-32」
【外観】
スイッチを入れると、ガラスパネルの文字部がグリーンに点灯する。ただし、アンプ名のところは点灯しない仕様だ。また、入力セレクター部分も、該当箇所が赤く点灯しない(C34等は、ここが赤く点灯する)。僕のものは、ウッドケースに入っているが、ウッドケース入りだとアンプ上部にある、モニタ出力調整はできない。
【入出力及びモード】
豊富である。Phonoは2系統(電源スイッチ近くのプッシュボタンで切り替え)あるので、合計7系統(うちテープ3、フォノ2)もある。TAPE3の入出力は(1本端子)は前面にもある。ヘッドフォン出力も2本あるが、これはモニターアンプと連動している。モノラルレコードも聴くアナログ派に嬉しいのはモードセレクター。およそ考えられる全てのパターンを網羅している。ステレオカートリッジの片CHが死んだときも、モノラル仕様であれば、問題なく使用できた。
【5バンドイコライザ】
これを邪道みるか、楽しいとみるか。ストイックなオーディオファンからみれば邪道かもしれないが、部屋の条件も聴く音楽も、好みの音量も人によって異なる。僕の場合、以下の通りである。
●30HZ=下げ、
●150HZ=上げ、
●500HZ=下げ、
●1500HZ=上げ、
●10KHZ=上げ、
30HZを下げて、150HZを上げるとベースが締まって明瞭になる。逆に30HZを上げると低域のボリュームが出るが、僕は割と大音量で聴くので低域はボリュームよりも明瞭感を求めている。同様に500HZと1500HZは、楽器やボーカルで同じことが起きる。500を下げて、1500を上げると女性ボーカルがクリアになるし、逆にすればサックスの低域が強調される。10KHZを上げると音の透明感が増幅されたり、シンバルが生々しくなる。逆にそれが耳につくときは下げることもある。まあ、5バンド位が弄るには丁度よいと思う。これが8バンドとかだと、ちょっと難しくなりそうである。大体、ある程度で基本が決まり、あとは微調整だけとなるギミックではある。
【下部スイッチ】
画像がぼやけているが、右から①電源スイッチ ②スピーカー2 ③スピーカー1 ④HFフィルター ⑤LFフィルター ⑥EQアウト ⑦録音モニタ ⑧フォノ切り替え、である。背面は省略したが、プリアウトは2系統となっている。
【その他】
右側は、左右バランスとラウドネスの2軸ツマミ。ラウドネスは非常に優秀である。左側は、EXPANDERでハム対策。マッキントッシュのパワーアンプはトランジスタなのに、巨大なトランスを搭載している。ハムとかハウリングとは無縁ではない。
【パワーアンプ】
MC7270を組み合わせている。当時の黄金コンビ。アンプ界のON砲である。ちなみに、C32にもモニターアンプと称し、小出力のパワーアンプをが搭載されている。だが、このクラスのアンプには不釣り合いで、確認用なので、大抵は長期間使用されない。結果的にガリが出たり実用には適しないことが多い。また、モニターアンプの修理は部品入手の関係で困難らしい。僕のC32もメンテをしたが、モニターアンプは部品が入手できず、接触が悪いまま。ヘッドフォン出力も殆ど効かない。モニターアンプは当てにするな、ヘッドフォンアンプは別途用意。これが鉄則だと思う。
ちなみに、僕はDENONのMDデッキをヘッドフォンアンプ代わりに使用している。1~2万円程度のヘッドフォン専用アンプと同等かと思う。
【音質】
音質評価は、人によって意見が異なると思う。ディテールを細部まで描くことを、どこまでも追求する方には向かないと思う。ディテール描写が甘いということではなく、そういうタイプではないということだ。管楽器の空気を震わす音、ベースが弾む音、ブラシの炸裂する音。そのリアルさ、音場感。(極端なことをいえば)多少歪もうと、ハムが入ろうと、ガリが出ようと、音楽がそこで鳴っているような音を求める人に向いていると言える。だから、ジャズファンに愛されるのだろう。特に、様式美と言われようと、JBLとの相性は抜群である。また、時代的にもフォノアンプの音質も素晴らしい。
一方で、このアンプのような音を嫌う人がいても、一向に不思議でもない。一切のノイズを排した、どこまでもピュアな音こそが一番という人には向いていないと思う。特にJBLとの組み合わせでいえば、清濁合わせ飲むというか、不協和音すら飲み込んで、音圧にしていくかのような迫力があるのである。ジャズファンは絶対後悔しないアンプだし、どうしてもロックの迫力がでないとお嘆きの諸兄にもお勧めである。