No Room For Squares !

レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

プリアンプ考察 Mcintosh C-32 

2013-01-11 | オーディオ
オーディオ装置で音楽を聴くには、まずは音源を再生するプレーヤーが必要だ。CDプレーヤーとかレコードプレーヤーとかがそれに当たる。最近ではCDをリッピングしたり、ダウンロードした音源データを使い、PC等がプレーヤーになることもある。これをアンプで増幅し、スピーカーあるいはヘッドフォンで聞くことになる。iPod等は、オーディオ的にはヘッドフォンアンプ内臓型のプレーヤーなのだ。一般的には、このようなことは意識すせずとも、家電量販店で売っているミニコンポやPC、カーオーディオなどで気楽に音楽は聴くことができる。
ところが、である。どの道にも好きモノがいるもので、世の中にはこのオーディオに尋常ならざる情熱を傾ける人たちもがいる。レコードプレーヤーの針(カートリッジ)に何十万円も掛ける、何百万円もするスピーカーやアンプを使う、更には機器を繋げるコード、それどころか、機器の電源コードに何十万、何百万もかける輩がいるのだ。傍からみればバカとしていいようがないのだが、当の本人たちは至って真剣。僅かな音質改善のためにトンデモナイ投資をする。僕もオーディオファンではあるが、とてもそんな資本力がないので、ソコソコの投資でセコく楽しんでいるのだが、それでも普通の人からみれば十分マニアの領域にはいるのだろう。

そのなかで、今回のお題はアンプ。アンプといっても数千円のものから何千万円もするものまでピンきりではある。だが、ある程度のマニア層になると、アンプを「プリアンプ」と「パワーアンプ」とに分かれたセパレートタイプにしたがるものである。プリアンプは、プレイヤーの音を入力し音を整え増幅するアンプ。パワーアンプは、それをスピーカーに送り駆動するアンプ。ワザワザ分けなくても、通常の「プリメインアンプ」はその両方の機能を持っていて十分いい音もする。だが、機能を特化させ、音の純度を高めようとマニア層はセパレートを、ことのほか喜ぶ。バカじゃないの?と言うことなかれ。これ何かに似ているのではないか。ワザワザ、レンズとボディを別々に買う、カメラマニアさんたちと・・・。一体型でも十分な性能の機種もあるのに、レンズ交換式でないと納得できない。僅かな画質向上のために何十万円もするレンズを買う。ある程度の金額を超えると音質(画質)向上のコストパフォーマンスが極端に悪化し、単純な良し悪しではなく好みの問題になる点も同じだ。レコードプレーヤーとCDプレーヤーは、以前からフィルムカメラとデジタルカメラに例えられてきた。違いはオーディオアンプの場合、レンズと違い、マウントという概念がないので、プリアンプとパワーアンプの組み合わせは無限大であることくらいか。

写真は愛用のマッキントッシュのプリアンプ(コントロールアンプ)、C-32というモデルである。マッキントッシュというとコンピュータを連想するが、それは「Macintosh」。アンプは「Mcintosh」、全くの別会社である。ちなみに日本語では、アンプの方は「マッキン」と略されるのに対し、パソコンは「マック」と略されている。スバルの一部車種にはオプションでマッキントッシュのカーオーディオが用意されているが、中古車等では「マックオーディオ」と間違って表記されていることがある。当然ながら、正しくは「マッキンオーディオ」なのである。もっとも、スバルオプションの「マッキン」はOEM製品であり、実際はクラリオン製品らしいが。

さて、話題をC-32に戻そう。手元の資料では1977年の発売で、当時で77万円前後の希望小売価格だったようだ。現在の70万円でも高いのに、30年以上前の70万円って・・・・。つまりは高級機なのである。
「そりゃ当時は高級機だったかもしれないけど、技術進歩のペースからいって、今の時代の普及期にも及ばないでしょ」。
そう言い放った知人は、このアンプと、これまた同時代のスピーカーから出る音を聴かせると、その余りの凄さに絶句していた。要するに「濃厚」なのである。濃くて溶け落ちそうな位の音がするのである。現在の高級ピュアオーディオと比べれば勿論、物理的な特性では劣るであろう。だが、物理的な特性と聴感上の気持ち良さが比例しないのはこの世界の常識。僕の家は、CDプレーヤー以外、オーディオ製品は1980年前後の製品を使っている。聴くレコードのほとんども1970年以前のものだ。その時代のソースを当時のオーディオ機器で聴いているわけで、相性が悪かろう筈がない。それともうひとつ。田舎暮らしの特権としてどれだけ大きな音で聴いても近所から苦情がくる心配が無い。さすが、アメリカの製品である。近所なんか気にせず、ボリュームを上げると、それに比例して音も良くなっていく。間違っても、隣の部屋を気にして、ボリュームを絞って聴く機器ではない。僕も昔、都会のマンションで隣を気にしながら音楽を聴いていたことがある。それではオーディオ機器の真価は分からないのである。オーディオの口コミ評価等で、スピーカーでは音が変わるが、プレーヤーやアンプは高級機も普及機も驚くべき差はないという意見がある。それは大きな音で聴いていないからではないか。

またまた話が逸れてしまったが、C-32の中古相場は25万円前後。ただ、自己責任ではあるが、コマメに探せばオークションで半分以下で入手できる可能性もある。ボディ中央部の5つの小さなツマミはイコライザ。周波数帯域ごとに出力を調整する。これをグルグル廻して遊ぶのだ。どの段階かで落ち着くところに落ち着いて、使用頻度は減ることに間違いはないが、男心を刺激する装置だ。ベースを強く、シンバル生々しく、サックスを明るく、ボーカルを強調して、などど慣れれば自在に調整ですることができる。当初、僕はプリアンプの存在を馬鹿にしていて、プリアンプは必要悪で、音はパワーアンプで決まると考えていた。でもC-32を使うと、所謂マッキンサウンドの多くはパワーよりもプリで形成されることがよくわかる。セパレートアンプにする前は、MA6500というマッキンのプリメインアンプを使っていた。そのままでも結構良い音がした。MA6500をパワーアンプ代わりにしてプリアンプにC-32を繋ぐと、音の濃さが2倍になった。びっくりした。マッキンサウンドとはプリアンプが作り出していたのである。



コメント (4)

LINN MAJIKCDを聴く

2013-01-10 | オーディオ






「オーディオ」というカテゴリを作った。興味のない方には全く意味がないものだし、単なる僕の自己満足だからスルーして欲しい。
さて、僕はアナログレコードメインでオーディオを楽しんでいるが、当然ながらCDプレーヤーだって所有している。これまでは、TEAC製VRDS-15を、大阪のオーディオショップが独自にチューンしたものを使用していた。これが凄い音で、ウッドベースの音なんか「ブルンブルン」弾けるように鳴る。ESOTERICのX30を遥かに凌駕するとの触れ込みだが、当たらずとも遠からじ。だが、残念なことに2年連続年末に故障し、昨年末もメーカーに入院した(というよりも一昨年の故障修理が不完全)。無難にDENONやマランツ辺りの中級機への買い替えも検討しない訳ではないが、対象はどうしてもスーパーオーディオCD再生機になってしまう。スーパーオーディオCDディスクを聴く気なんてサラサラない僕。5000円近くも出してあんなモノ(失礼)を買うのであれば、LPレコードのオリジナル盤を買う方を選ぶ。ジャズのCDソフトも最近は1000円シリーズもあるし、中古も豊富だ。スーパーオーディオCDなんて不要である。話が逸れてきたが、要は以下の通りで、聴きもしないスーパーオーディオCD再生機能が価格に反映されているのが気に入らないのである。

 →→→ CD再生専用機(35万円)>CD再生専用機20万円≒スーパーオーディオCD再生機35万円


そんなこんなで、TEAC機を修理に出して、年末年始はレコード三昧かと考えていた。忘れていたが、僕のメインソースはあくまでLPレコードなのである。ところが・・・、である。
年末近くにヤフオクをチェックしていると、「LINN」というメーカーの、それもCD専用機が格安で落札されようとしていた。LINNはイギリスの会社で、イギリス王室御用達の由緒正しき、格式も高ければ値段も高いオーディオメーカーである。本来僕なんかには、到底分不相応な機器である。そして、その後の心の葛藤は省略するが、結局LINNのMajikCDは落札され、暮れも押し詰まった12月30日、とうとう僕の家にやって来たのだ。TEACは年を跨ぎ入院中であるにも関わらずである。このMajikCDは新品当時は、希望小売価格475,000円(それでもLINNにしては安い)もした高級機である。僕はカブレているので感覚が麻痺しているが、考えてみれば凄い価格である。製造中止品なので、当然中古ではあるが、実際は吃驚するくらい安く落札できた(落札価格は秘密である)わけだが。
さて、そのMajikCD、それだけの高級なオーラを出しているかというと、全くそんなことはない。LINNのマークこそ眩しいが、正直安っぽいビデオデッキみたいな風貌である。重さも拍子抜けするほど軽く、僅か5キロし程度しかない。国産メーカーであれば、大抵は10キロ以上、ちょっとした高級機では30キロ近いものも数多くある。3枚目の写真のDENONのMDデッキは、ヘッドフォンアンプ代わりに使用している。昔オークションで5000円程で購入したこの機種(新品時の希望小売価格は7万円弱)が、LINNよりはるかに高級に見える。それは誰の眼にも明らかだ。

大丈夫なのだろうか・・・。リン。
僕は恐る恐る、CDをセットした。そして、そこから出て来た音は・・・・。なんというか意外と普通の、これといった感動もない音であった。勿論悪くはない。透明感があって、女性ボーカルなんかは眼の前で歌っているようだ。でも、まあそれ以外は普通だ。いや、これだったらTEACの方が良いのではないか。無いものねだりで、あの弾むように鳴るベースの音が懐かしくすら思える。TEAC=ブルンブルン、LINN=ボンボン、引っぱり出した20年前のデノンCD機=ボワンボワン、そんな感じである。やってしまったか。ちょっとした絶望感を味わいながら、「でも安かったしな、人生で一度くらいLINNオーナーになっておかないとな・・・」などど自分を慰めるしか方法はなかった。それでも、いままでと音が変わる珍しさから、お正月休みは手持ちのCDを取っえ引っ替え、聴きまくって過ごしたのであった。温泉で一泊した以外は、ずーっと音楽を聴いていた。
そして、とうとうその瞬間が訪れたのである。正確にいうとそれは、音もなく、何の予兆もなく、いつの間にか、訪れていたのである。
「あれ??音が良い」。そうなのである。約1週間で軽く60時以上はCDを回しただろうか、ふと気づくとリンはとても良い音になっていたのだ。嘘みたいだが、そうとしか表現のしようがない。多分、まだ使い込まれていなかった個体で(そういえば液晶には新品時の保護シートがまだついていた)、しかもブランクがあったのだろう。使用に伴いエージングが進んだものと思われる。逆にいえば、前オーナーはMajikCDの真価を見届ける前に手放したのではないかと、心配になる。

どういう音なのか。これを言葉に変換することは困難だ。前述したウッドベースの音などは明らかにTEACに劣るであろう。音の解像度もTEACよりは良いが、最新のプレーヤーにはとても及ばない。でも、なんというか、音の一つ一つが「音楽として美しい」のだ。必ずしも再現性を極めた音でもない(勿論高いレベルで実現はしているが、それが売りではない)。テナーサックスでいえば、中華製2万円の新品と1950年代作製のセルマーの音の違いとでもいうか。とにかく楽器とか人の声が、とても美しいのである。決してモニタライクではないが、音楽を楽しめる音なのだ。それは決して、音はソコソコだけど雰囲気があるとか、そういう逃げ口上を言っているのはない。音はあくまで良いのである。でも、音の優劣を気にせず楽しめる音というか・・・、うまく表現できない。自分でも何をいっているのかさっぱり分からなくなってきた。
まあ結局のところ、それがLINNサウンドというものかもしれない。

ただ、僕はJBLにマッキンというコテコテのジャズマニアである。僕のシステムから出力される音が、正統的なLINNの音かどうかは疑わしい。筋金入りのLINNユーザーからは、「こんな汚い音はLINNの音じゃない」と言われるかもしれない。そもそもマッキンを使った時点で、恐ろしい程の「音のコク」が出ているわけで、しかもJBLのホーンである。これにTEAC機のエネルギー感が加われば、それは当然凄いのだが、正直聴き疲れしたり、音のキツサみたいなものを感じてもいた。だから必然的にLPレコードの方がよい音だとレコード狂になったのかもしれない。JBL+マッキン+リン。このステーキとワインと刺身みたいな組合せ。合う筈がないようでいて、不思議と絡み合う奇跡的なマリアージュ。オーディオは分からないものである。

MajikCD、大切に使っていきたいと思う。

(参考)
プリアンプ   :Mcintosh C32
パワーアンプ  :Mcintosh MC7270
スピーカー   :JBL4333AWX


コメント

山形OCTET

2012-03-15 | オーディオ




最近は東北ジャズ喫茶巡りにはまっている。
かの有名な「一関ベイシー」以外にはジャズ喫茶らしいジャズ喫茶はほとんど絶滅しているのかと思いきや、探せば結構あるのだ。
それどころか、最近になってから開店した店もあり、まだまだ楽しめそうだ。
写真は、老舗にあたる山形駅前の「OCTET」。ごく短時間の滞在ではあったが、マスターの人柄が滲み出たような優しい店だった。
記憶が不確かだが珈琲が1杯500円くらい。特筆すべきは2杯目のおかわりが200円。
当然おかわりをした。僕はジャズ喫茶では出来る範囲で客単価を上げるよう自助努力をしている。

でもいつも思うのだが、可能であれば夜に行ってゆっくりビールでも飲みたいものだ。
コメント (2)

眼鏡橋とパラゴン

2012-03-05 | オーディオ




岩手県一関市には、「日本イチ音の良いJAZZ喫茶」として知られる「ベイシー」がある。
昔から有名なお店で、秋田に来てから僕もたまに遊びに行く。
その一関の秋田から見て手前には、水沢という街がある。上段の眼鏡橋があるところで僕の好きな街の一つだ。
この界隈には、江刺など他にも好きな街があり、非常に良いスポットだ。

そして、下段の写真。これはJBLのパラゴンというスピーカー。まるで工芸品のように美しいスピーカーだ。
もう40~50年前のスピーカーだが、現在買えば数百万円はするだろう。
このスピーカーを鳴らすJAZZ喫茶「HALFNOTE」という店が、水沢にあることを知り、今回初めて行って来た。
JAZZ喫茶には珍しく、ウッディな別荘のような一軒家で、開放的な空間のなかでリラックスしてJAZZを聴くことができる。
ランチのカレーライスも美味。珈琲は400円とリーズナブル。いい店である。パラゴンもご機嫌な音で鳴っていた。

惜しむらくは、そうそう毎週行けるような距離ではないことか・・・。しかも、日本海側の高速道路無料はこの3月で終了してしまう。
高速道路を走ってJAZZ喫茶に行くということ自体も凄いことだが・・・。
出来ることなら、JAZZ喫茶は身軽に電車で行きたいものだ。


コメント (4)

SPU降臨

2012-02-26 | オーディオ
最近は写真も撮らず何をしているかというと、コレ。
オーディオマニアとして生活している。色々な機器が故障し、オークションで売却したり購入したり、そんなことを延々と繰り返していた。
オーディオ製品は、古い物でも意外と高く売れるので、装備のアップグレードを図っていた。

さて、写真はオルトフォンのSPU-GT。この黒いゴキブリのような、カブトガニのような物体だ。
端的にいえばレコードの針なのだが、デンマークの会社の製品で、その昔からジャズには抜群の相性のカートリッジ(針)として有名なのだ。
もちろん中古だが、オークションにて入手した。新品時の価格は、言ってみればLレンズと同等といったところで、とても手を出せる代物ではない。
現在、オークションで買えば、高めのコンデジ位の価格で購入できる。(あくまでカートリッジのみで)

このオルトフォンSPUでジャズを聴くことは、オーディオファンであれば一度は夢見る理想郷といえる。
SPU-GTの凄いところは、このカートリッジ自体にトランスを内蔵している点だ。まさに専用トランス。音の組み合わせもばっちりだ。
高価なトランスを買う必要もないし、一般的なアンプにイージーに入力も可能だ。
その代わり、重さが30グラムオーバー。そんじょそこらのプレーヤーのアームには取付不可能で、プレーヤーも選ばなければならない。
SPUを聴くが為に、それまでのレコードプレイヤーを売却し、対応できそうなものを購入した。
カメラマニアさんも、「スーパーアンギュロン」を使いたいから、ライカを買ったなんて人もいるから似た様なものかもしれない。

肝心な音だが、これは、凄い!
一体何なのだろうか?この音は? ちょっと反則の音である。
こんなに濃密な音は聴いたことがない。人によってはゲップが出ても何の不思議もないが、僕はこの音、大好きだ。
溶け落ちそうな中音に、殺気を孕んだ高音。引き締まった低音。ウッドベースの音なんか、もうたまらない。
何故、もっと早くこの世界に入らなかったのか。後悔しきりである。現代オーディオではこんな音は出せないと思う。
そして、このフォルム。いいものは姿形からして美しいのだ。

(参考)
◯ターンテーブル Thorens TD521
◯トーンアーム  SME3012R
◯カートリッジ  Ortofon SPU-GT


コメント (2)

JBL4333AWX

2011-12-04 | オーディオ
先週は写真を撮る時間がなかったのと、風邪を引いていたので、更新がほとんど出来なかった。
今週末も全く撮影していないので、平日に身の周りのものを撮影しないと、またも更新できないことになる。

さて、20年来使用したJBL4312から、ついに38センチウーハー+ホーンのオールドJBL、4333を導入した。
夢にまで見たスピーカー。今週はコイツのセッティングがメインの仕事になる。
まだ、視聴程度の状態だが、すごい切れと張り出し。追い込んでいけば、更によくなるだろう。
アンプ修理中で、サンスイのプリメインで鳴らしているのだが、それでも鳴るのだ。

なんて、オーディオマニア的な作業をしていると、やはり猫が怒っていた。
コメント (8)