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帯とけの枕草子〔二百七十七〕神のいたうなるおりに
言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。
清少納言枕草子〔二百七十七〕神のいたうなるおりに
文の清げな姿
雷神がたいそう鳴る時に、雷の陣こそ、とっても恐ろしいことよ。左右の大将、中将、少将などが、(清涼殿の)御格子のもとに控えていらっしゃるのは、とってもお気の毒なことよ。鳴り果てたとき、大将、命令して、「おり(下り・退り」とおっしゃる。
原文
神のいたうなるおりに、神なりの陣こそ、いみじうおそろしけれ。左右の大将、中少将などの、みかうしのもとにさぶらい給ふ、いといとおし。なりはてぬるをり、大将おほせて、おりとの給。
心におかしきところ
かみ(女たち)がひどく泣き叫ぶ時に、神鳴りの陣屋は、たいへんおそろしいことよ。左右の大将、中将、少将など(そうそうたるつわものども)が、身、格子のもとに参上して居られて、とってもおきのどく。(女たちが)泣き叫び果てた折り、大将、思いて「折り(挫折…逝り…死亡)」とおっしやる。
言の戯れと言の心
「かみ…神…雷神…上…女」「なる…鳴る…雷鳴…女が泣き叫ぶ」「おほせて…仰せて…命令して…おぼせて…思われて…思案されて」「おり…をり…折り…その時…折れ逝き果て」「折…逝」。
伝授 清原のおうな
聞書 かき人知らず (2015・10月、改定しました)
原文は、岩波書店 新日本古典文学大系枕草子による。