帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの枕草子〔二百七十七〕神のいたうなるおりに

2012-01-13 00:05:38 | 古典

  



                    帯とけの枕草子〔二百七十七〕神のいたうなるおりに



 言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。



 清少納言枕草子〔二百七十七〕神のいたうなるおりに


 文の清げな姿

 雷神がたいそう鳴る時に、雷の陣こそ、とっても恐ろしいことよ。左右の大将、中将、少将などが、(清涼殿の)御格子のもとに控えていらっしゃるのは、とってもお気の毒なことよ。鳴り果てたとき、大将、命令して、「おり(下り・退り」とおっしゃる。


 原文

 神のいたうなるおりに、神なりの陣こそ、いみじうおそろしけれ。左右の大将、中少将などの、みかうしのもとにさぶらい給ふ、いといとおし。なりはてぬるをり、大将おほせて、おりとの給。


 心におかしきところ

 かみ(女たち)がひどく泣き叫ぶ時に、神鳴りの陣屋は、たいへんおそろしいことよ。左右の大将、中将、少将など(そうそうたるつわものども)が、身、格子のもとに参上して居られて、とってもおきのどく。(女たちが)泣き叫び果てた折り、大将、思いて「折り(挫折…逝り…死亡)」とおっしやる。


 言の戯れと言の心

  「かみ…神…雷神…上…女」「なる…鳴る…雷鳴…女が泣き叫ぶ」「おほせて…仰せて…命令して…おぼせて…思われて…思案されて」「おり…をり…折り…その時…折れ逝き果て」「折…逝」。


 伝授 清原のおうな

 聞書 かき人知らず (2015・10月、改定しました)

 
原文は、岩波書店 新日本古典文学大系枕草子による。