■■■■■
帯とけの枕草子〔二百七十二〕日のうらうらとある昼つかた
言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。
清少納言枕草子〔二百七十二〕日のうらうらとあるひるつかた
日のうららかな昼ごろ、また、たいそう夜更けて、ねのときなど(子の時刻…夜十二時ごろ…寝のとき)と言うほどにもなったでしょうから、おやすみになられたでしょうなどと、思っておりますときに、「男ども(誰か)」と、(主上が)お召しになっているのこそ、いとめでたけれ(たいそう愛でたいことよ・大事な執務など終えられたのでしょうか)。
夜中ばかりに御ふゑのこゑきこえたる又いとめでたし(夜中ごろ御笛の音きこえているのもまたとっても愛でたい…夜中ごろ御武笑の声が聞こえているのもまたとっても愛でたい)。
原文
日のうらうらとあるひるつかた、又いといたそふけて、ねのときなどいふほどにもなりぬらんかし、おほとのごもりおはしましてにやなど思ひまいらするほどに、をのこどもとめしたるこそ、いとめでたけれ。夜中ばかりに、御ふゑのこゑのきこへたる、又いとめでたし。
言の戯れと言の心
「日…太陽」「うらうら…うららか…のどかな春のひざしのさま」「ねのとき…子の時刻…夜中十二時ごろ…寝の時…寝ているべき時」「愛でたし…素晴らしい事に対してほめ讃えたい感じ」「ふゑ…ふえ…笛…夫ゑ…武笑…力強い笑い」。
伝授 清原のおうな
聞書 かき人知らず (2015・10月、改定しました)
原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。