セイジの行方は未だわからない
いろいろ想像すると悲しくなってしまい、眠れない日々が続く
あの訴えるような目を思い出す
頭をぶつけてくる
あたたかい頭の感触を思い出すと切ない
外猫を外猫のままにしておくということの残酷さを思うと
なんとかしなければとも
ただ、飼い主がいつまでも見つからずゲージの中に閉じ込めておくことに
なりかねない
家の中にはもう5匹の猫がいて、介護もしているし
と堂々巡りをしてしまう。
そんななか、親戚から電話があった
お歳暮に送った品物が届いたという電話だったが
電話口で 急に思いついたように
「昨日、猫が死んでね」と
なんでも、散歩の最中 段ボール箱に入った猫を子供達が
なんとかしてほしいと言って来た
たまたま通りかかった時に声をかけたら、
もう10歳を超えるような老猫が病気と怪我をかかえて
捨てられていたのだそうだ。
3月からずっと面倒をみていて、最近は点滴を毎日行っていたと
獣医代も相当な額になったらしいが、保険が効かない
ただ、あまりに熱心に面倒をみるので最後の方は獣医師さんも
すこしは配慮してくれるようになったのだという。
お葬式を済ませ、骨壷を並べてあるのだという。
そんなふうに面倒をみたという猫の骨壷がいま5つに増えたのだと。
悲しい出来事である
ただ、
その話をしてくださった親戚の方の心があたたかくて
セイジのことで参っていた自分を励ましてくれた
猫の話をしていたわけではないのだけれど
猫を飼っているひとだから、気持ちをわかってくれるだろうと思ってと
打ち明けてくれたのだった。
最近 YouTubeのタイピー日記で
拾って来た灰色の猫が 真菌炎(猫カビと言われているらしい)にかかって
皮膚を毎日洗って ようやく改善してきたという動画が
連日アップされている。
最初の頃は、シャー シャー言って、瞳も細く なんだか反抗的な表情だった
子猫が、毎日洗浄してもらって ずいぶん手間をかけてもらっているせいか
瞳(瞳孔が)がまんまるくなってきて、表情が豊かになってきたように思えた
本当に愛情を傾けて、手間がかかることを 真心をこめてやってもらったから
ああいう表情になるのではないかと思う
その、心のうごきが見て取れるからこそ、ただ動物を育てる物語に
惹きつけられて何万人も一つの動画を見に行くのだろう
私たちは、なにもかもがお金に紐づけられて
なにか行うたびに それがお金になるのかどうかを検証しなければならない
世界に生きているなぜなら 毎日ただ生きているだけで
税金がかかり(年金 健康保険 固定資産など)
生きていくためには常に稼がなければならないという十字架を背負っている
裏金を「預かっていた」と言える厚顔さを持ち合わせていない人がほとんどの中
たった数百円の差額をもとめて利益を少しだけでもあげたいという運送屋さん(ガソリンが安いところを探して給油している)
搾取し、権力をもち、威張り、さらに締め上げることしか考えていない政治家が
君臨する世の中を生きている。
だから、こうして なんのとくにもならない 優しさだけで生きることを
自信もってやれない
これでいいのか
自分は甘くないか こんなことで生きていけるか
でも、本当は助けたいし、
心地よく寝ている猫の安らかな顔がみたい
あたたかな寝床で丸くなっている
安心しきった顔がみたいのだ。それが 本当の正直な気持ちなのだ
セイジを一番可愛がっていたヘルパーさんが言った
「だれか、あの綺麗な猫を引き取ってくれたんだと 思うことにした」
成猫になった野良を引き取って飼ってくれるような奇特な人はなかなかいない
ただ だれかがもらってくれればいいという考えではない
その猫が、幸せであってほしいのだから
ものではないのだから。