前回で錆色仕上げまで完了しましたが、最後の仕上げで、鉄の鈍い光を再現します。
この手のテカッている部分ですが、これは鉛筆の粉を擦り付けたものです。
240番位のサンドペーパーにHBの鉛筆の芯を擦り付け、黒い粉を作ります。
その粉を、フェルトの様な柔らかい布で本体に擦り付けます。
あまり強く擦らず、最初は軽く、テカリを強く出したい部分は強く擦ります。
使用する鉛筆は、2Bとか、4Bより、HBや、F位の硬めの芯の方が強いテカリが出ます。
顔の様に凸凹が繊細な部分は強く擦るとフェルトが引っかかったり、細かい造形が破損する可能性があるので、軽く丁寧に擦ります。
刀などは、エッジの部分を重点的に擦ります。
この下地に使った「ウッディー粘土」は、薄くスタイロフォームに塗りつけるだけで、荒い鋳物の表面の様な仕上がりになります。
何も考えずに粘土を塗っただけですが、鉄の鋳物の感じがよく出るのが不思議です。
以前、金属の鋳造を本職にされていた方から、本物の鉄の鋳物に見えると言われました。
このやり方は間違っていない様です。
使用した「ウッディー粘土」は、それほど高価な粘土では有りませんが、いろんなものに良く食いつき、木の粉が入っているせいか、一般的な紙粘土より硬く、ひび割れし難いのが助かります。
ただ、水を加えて柔らかくすると、粘りが無くなり、まるで「泥」の様な手応えになり、細かい造形が難しくなります。
もう少し餅の様な弾力性が有ると良いのですが、値段が300円台なので、文句も言えません。
鉛筆の粉を全体に擦り付け、適度に鉄らしいテカリが出たら本体の完成です。
粉を擦り付けたのだから、触ると剥がれてしまわないか?
と思われるでしょけど、意外なほど剥がれません。
ただ、強く擦ると手などに黒い汚れが付きます。
白い服で接触すると、服が黒く汚れます。
その辺だけ注意すれば大丈夫です。
最後にちょっとした飾りを付けました。
「烏」と言う文字を入れました。
このフィギュアを見ても「烏天狗」と分からない方も居ると思いますので、ワンポイントとしてバックパネルの材料を電動の糸鋸(ミシン鋸)で切り出して木工ボンドで貼り付けました。
文字が接着されるまでマスキングテープで仮止めします。
これで、やっと完成しました。
製作には、約2週間ほどかかりました。
この烏天狗ですが、米子市が発行している冊子で、「かおり」と言う物が有るのですが、その表紙に使われました。
この烏天狗を米子工芸会で展示していたら、「かおり」の編集されている方が見て、表紙に使いたいと言われました。
ただ、写真の撮影はどうする?
しかも、この烏天狗の後ろ姿も裏表紙に使いたいと言われたのですが、後ろ姿と言われてもこんな形状だし、後ろがなかったので、仕方がなく、もう一つ小さめの烏天狗を新規で製作しました。
これなんですが、小さいと言っても、翼を広げた大きさは70センチほど有ります。
ポーズは大きな烏天狗と同じ状態で、作りました。
冊子の表紙にすると言われても、完全にノーギャラです。
撮影も出来そうな方がいなかったので、結局私が全部撮影しまして、パソコンで修正したデータを渡しました。
どんな表紙になったかは次回にアップします。
続く!