女流立葵杯の街から

囲碁の女流棋戦の中継予定を中心に投稿しています。

女流棋戦ふりかえり__2020年(No.02/03)

2020年10月14日 | 女流棋戦ふりかえり

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 2018年の女流立葵杯。この年、関西棋院理事会が動揺。その理由とは、所属棋士である#吉田美香 八段 、田村千明 三段の お2人が本戦を勝ち抜き、現地・福島県会津若松市での対局が決まったから。

「関西棋院所属の女流棋士が、5年連続で現地入り。しかも2018年は、2人も4強に……これはエライコッチャ。
 立葵杯には毎年毎年お世話になっているのだから、関西棋院としても ご挨拶に伺わない訳にはいかないやろう」

 そんな話が行われたらしい。そこで、関西棋院理事である #榊原史子 先生が、前夜祭での挨拶に急遽出席。

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 ≡≡ レディ・サムライの覚醒 ≡≡


 新型コロナウイルスの感染拡大防止の為、2020年は現地対局は無し。本戦の対局会場は東京本院。関西棋院からは岩田紗絵加さんが準決勝に進出。立葵杯以外では、非公式戦ながらも結城聡九段に勝たれた。こうした出来事は、着実に実力を付けている証拠かも知れない。

 そこで〈2020年、活躍した1人〉を挙げるとしたら、#岩田紗絵加 さん(写真の女性)かも知れない。

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A≫関西棋院が発掘した才能
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 岩田さんの経歴。
 元々は東京の院生。院生を辞めた後には、男女混合の東京予戦を勝ち抜き、アマ全国大会に出場。
 院生時代から参加していた都内碁会所での対局成績は、現役のプロ(本戦リーグ在籍者)相手にも互先で勝率5割を超える様に。
 アマの全国大会の後、都内の碁会所スタッフからの報せには「岩田さん、プロの試験に合格しました。関西棋院みたいですけど」

 今は行われていない様ですが、以前の関西棋院では、アマ棋戦で活躍した実力者を採用する制度『研修棋士採用制度』がありました。その制度によって採用されたらしい。

 関西では関西棋院と関西総本部の所属棋士、そして地元在住のインストラクターが協力し合い、囲碁普及をされています。その結果として、2005年頃までには着実に囲碁ファンの増加に成功。
 しかし囲碁棋士の県外出張や女流棋士の産休・育休等の事情があり、関西圏内で行う普及活動に必要な人材が不足していたらしい。そこで関西棋院が始めたのが、優秀なアマ人材をプロとして採用する『関西棋院研究棋士採用制度』

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B≫対局と慶應と海外遠征と
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 関西棋院所属の女流棋士は普及活動に力を入れており、活動の様子をインターネット上等で紹介しています。
 研修棋士制度とは どの様なモノなのか。採用基準を読んだ事がありますが、この制度では試験対局・大会実績だけを基準に採用するのでは無く、❬❬ 関西棋院が行う普及活動に協力する事 ❭❭ と言う文言が繰り返し書かれていました。

 この2つを鑑みて私が推測していたのは、「関西棋院でプロになったのだから、岩田さんも関西での普及活動に参加するのだろう」
 しかし、それについての話は全然伝わって来ない。

 一体どうしたのか……とと気になっていた頃に放送されたのが、NHK囲碁フォーカスの特集。画面には、スーツケースを牽いて歩く岩田さんの姿が。番組のナレーションでは、
「関西棋院所属棋士としての対局に加え、慶應義塾大学に通学。
 関西と東京を往復する〈二足のわらじ〉の生活をしています」

 その前後、岩田さん ご自身がツイッターに、「世界大会に出場する為、韓国に行ってきます」と投稿。

 こんな旅生活を続けていたら、体力的には大変では無いのか?__そんな疑問もありました。しかし ご本人としては、特にキツいとは感じていなかったらしい。
━━日本と外国の移動生活が多いが、その方が体調や碁の内容が良い━━
 と、女流立葵杯保持者4連覇の藤沢里菜さんがコメントされていましたが、岩田さんもそうなのかも知れない。

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C≫常識を変えた剣豪スタイル
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 そんな岩田さんの碁の内容について。若手棋士の1人は、

「元々実力は ある程度あったのですが、安定感に欠ける印象だったのでそこを克服したことで勝ち進みやすくなったように思います」

 そんな評価をされています。

 これまで一般事情として。囲碁棋士として強くなりタイトル戦に絡む為には、

「院生在籍中に、プロの採用試験に合格する」
「中部地方や関西地方では無く、(強いプロが多い)東京本院所属のプロになる」
「高校や大学には行かず、囲碁の公式戦や研究会に専念する」
 
 これが条件・常識と言われています。しかし岩田さんの場合、そんな常識とは全て逆。

「院生を辞めてアマの大会に出る様になってから、急激に強くなった」
「東京本院所属では無く、関西棋院所属の棋士になった」
「関西での棋士業と、関東での学生業を同時平行」

 それらに加え、海外への武者修業。そんな岩田さんの囲碁棋士としてのスタイルを伝え聞くと、日本全国を1人旅して腕を磨いていた昔の剣豪の様な印象があります。そんな岩田さんの事を、

 〈日本囲碁界の #レディサムライ 〉

 と呼ぼうかと思っています。

#女流棋戦ふりかえり
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