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「級位者に、プロの碁は理解出来ない」
これはよく言われますが、5~10級の人の中にも、最新の棋譜に詳しい人は結構います。
“ 級位者に、プロの碁は難しいのでは? ”
そんな気がかりがありながらお話しを伺うと、そうは感じないらしい。……何故?
「NHK杯を録画して、特に気になった所を繰り返し見ています。その後、雑誌や新聞で復習します」
本を読んでの勉強は難しくても、テレビ解説なら無理なく続けられるらしい。
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棋譜並べ。プロの碁以外の選択肢としては、
「多子局の打ち方(5子局以上、序盤戦)を徹底的に調べる」
事をお奨めしています。
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【推薦教材】
◆古谷裕解説 正解図参照
http://kisei.yomiuri.co.jp/column/shinan_furuya/01.htm
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置碁学習を通じて得られる「理に叶った、石の戦い方」には、トッププロの最新譜を(何となくでも)理解するヒントが隠れている場合が多々あります。例え有段者とはいえ、置碁を軽んじるなかれ。
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A》今と昔を比較してみる
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テレビ解説視聴。私もこれは有効だと考えていまして、囲碁将棋チャンネルで放送されている番組『記憶の一局』『囲碁名局の解説(明治~昭和50年の棋譜)』を推奨しています。こうした番組をボンヤリ鑑賞しているうち、高度な打碁に対する拒否感が無くなる。それから少しずつ、棋譜並べにトライする。
テレビ解説を視聴し続けていれば、古今の棋譜に多く触れる事が出来ます。そうすれば次第に、
「あの碁とこの碁、ここが同じでここが違う」
と考える癖がつきます。しかしこれは相当高度な内容で、はっきり言えば高段者~県代表向けかも知れません。
ですが級位者の囲碁勉強には、こうした流れが良さそうだと思っています。
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そういえば古力さん(中国の囲碁棋士)も日本の碁、特に昭和40~50年代の棋譜研究に力を入れているそうです。古力さんは今時珍しく『三連星布石』を使い、しかも独創的な打ち方をする。それに目をつけた日本の観戦記者が企画を持ち込み、雑誌『囲碁研究』で巻頭特集された。そんな事がありました。
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B》置碁指導は時代の鏡
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(AIの進化の有無に関わらず)布石や定石に対する評価は、時代によって変わります。この様な現象はプロの碁に限らず、置碁や指導碁も実は同じ。「こう打つのがよろしい」と言われていた置碁の手法も、
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「本当にこれで良いのか?
旧来の打ち方は、囲碁を勉強する人達の為になっているのか?」
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そうした問答が繰り返されるうちに、「そうとは限らない」事が判明。それによって、緩着・疑問手・悪手とされた否定的評価が逆転する事すらあります。
分かりやすい様に、あえて置碁の図を使って説明します。古谷裕プロの解説より。
↑↑↑古谷裕プロ↑
今回ご紹介する記事「小ゲイマガカリに対する肩ツキ(9子局)」も、以前とはだいぶ変わった様です。
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↑↑以前は、「積極的に戦いましょう」(1980年代)
↑↑近年は、「真っ直ぐ伸びて、天元と繋げれば良し」(2005年以降)
旧来の打ち方「肩ツキ→→コウ仕掛け」については「級位者には難しいかも知れない」と、武宮正樹九段も30年以上前から指摘されている様です。
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