(原 光訳 2000年、沖積舎)
ダンテの「神曲 地獄」編 第9歌(カッコ内は筆子、その14)
◯すると答えた、「ここにはあらゆる宗派の異端の長(かしら)が、追随者たちとともにゐて、信じられぬほど多くのものが、これらの墓に詰込まれてゐるのだ。
似たもの同士が一緒に埋葬されてゐて、墓の熱さには強弱がある。」さう言つて師は右手に向ひ、わたしらは苦悶と高い城壁の間を進んでいつた。(ここまで前回)
ダンテの「神曲 地獄」編 第10歌(カッコ内は筆子、その1)
◯いまやこの都市(まち)の城壁と苦悶の間の秘密の小路(こみち)を、師と師の背後のわたしは進んでいく。
「おお、異端の圏(かこい)をぐるりと導く、至高の徳よ、」とわたしは口を切つた、「よろしければ、わたしに話してわたしの切望を叶へて下さい。
これらの墓の中に横はつてゐるものたちは、見られるのですか?すでにすべての蓋が持ち上げられてゐて、いかなるものも見張つてゐませんが。」(つづく)
◯2015年5月17日は、今年の第二十主日。日聖協の「聖書愛読こよみ」は、申命記7章6~11節、その7節である。「主が心を引かれてあなたたちを選ばれたのは、あなたたちが他のどの民よりも数が多かったからではない。あなたたちは他のどの民よりも貧弱であった。」という。宝の民と呼ばれるイスラエルの民は「貧弱であった」が、神の愛によって選ばれた。神の前で誇らないためである。
◯写真は、閉店間際の大分県立美術館。(12日18時50分撮影)