ダンテの「神曲 地獄」編 第12歌(カッコ内は筆子、その5)(原 光訳 2000年、沖積舎)
◯かうしてあの岩石の積み重なりを踏み下っていくと、岩石はしばしばわたしの足の下でつねならぬ重さのためにぐらついた。
わたしが考へ込みながら下つてゐると、師が言つた、「恐らくそなたはいまわたしが消したあの獣の怒りが監視してゐる、この岩崩れのことを考へてゐるのだろう。
では知るがいい、わたしがこの前ここから地獄の底へ下つたとき、この岸壁はまだ崩れ落ちてゐなかつたのだ。(ここまで前回)
◯が、わたしの考へ違へでなければ、たしかに、ディテ(地獄の王)から上の圏へあの大きな獲物を奪ひ去つた、御方が来られた少し前に(キリストの十字架の時を指す)、
この戯れた深い谷がくまなく震動した(マタイ27・51)ので、わたしは世界が愛の力を感じたのかと思つた、なんども世界を混沌に変へると
あるものが信じてゐる愛の力を。その刹那にこの古い岸壁がここや他の所でこのように崩れ落ちたのだ。(つづく)
◯2015年12月13日は、今年の第五十一主日。日聖協「聖書愛読こよみ」は「愛は神より」という主題である。ルカ1章5~25節、その13節、「天使は言った。『恐れることはない。ザカリア、あなたの願いは聞き入れられた。あなたの妻エリザベトは男の子を産む。その子をヨハネと名付けなさい。』」と。この世のすべての出発点は神にある。
◯写真は11月24日より12月25日まで、JR大分駅前、全天候型広場で、連夜のクリスマス演奏会および独唱