![]() | 閉鎖病棟 (新潮文庫)帚木 蓬生新潮社このアイテムの詳細を見る |
精神病院自体を社会からの閉鎖病棟と捕えてあるよう。
糖尿病や高血圧と同じ統合失調症も一般的な病気と研修では説明を受けたが
世の中の偏見は根強い。
一般社会から隔絶して閉じ込めて、その人ははじめから居ない人としてしまう。
20年、30年の入院生活をしている人と普通に暮らす人比べて
入院患者の方がより人間的な温かみや純粋さを感じるように人物像が描かれている。
発達障害もまた精神障害の中に入れられているけれども精神薄弱者まで入院患者にされていることに驚いた。
この小説は過去の精神病院のしっぽを引きずっているのであって
今は短期間入院で社会復帰が援助されていると思いたい。
最後に通院と訪問看護で生活サポートをしてゆく下りがあったが、
自宅での生活アドバイスや支援がしてもらえる訪問看護あれば
共に暮らす家族も孤軍奮闘しているような焦燥感やらが減ると思う。
一度、息子にも訪問看護にきてもらえた時期があったが、
息子が担当医師にプライドを傷つけられたと怒ってダメになった。
この小説にも患者の気持ちを逆なでする医師が出てくるが、巷に居ないこともない。
こういう素材は
我が家にとっては小説の虚構のと言う次元にはならず、つい身につまされる。