◇水無月某日、歌舞伎座にて片岡仁左衛門丈が演じる「一世一代 女殺油地獄」を観劇してきました。
◆歌舞伎座では久しぶりの仁左衛門さんの「油地獄」、しかも一世一代…。
演目が発表された時、厳しいチケット争奪戦が予想されましたが幸運なことに席を取ることが出来ました^^
◇「女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)」は大阪天満の油屋河内屋の放蕩息子・与兵衛が金に困り、ついには向かいの同業豊島屋の女房・お吉を惨殺してしまうという話。仁左衛門さんがこの役をはじめて演じたのは孝夫時代の1946年のこと。出世役であり当たり役でもあった。
◆仁左衛門さんといえば圧倒的な人気を誇る役者さんだ。花形時代からの玉三郎さんとの目の覚めるような「玉孝コンビ」は多くの人を劇場に呼び寄せたし、大病を乗り越えられたこともある。そして三男である孝夫さんが「仁左衛門」の名前を襲名した…。花から実へ、役者の年月の重さを思う。そして65歳の今、その当り役に別れを告げた。息子さんの孝太郎さん、お孫さんの千之助ちゃんと同じ舞台に立ち、今もなお若々しく鮮烈な与兵衛を演じられた。凄惨な殺しのあと、我に返った与兵衛が震えながら花道を去るラストシーン。その姿が、観客の万感こめられた拍手に包み込まれた。「まだ、やれる」「やって欲しい」というファンの声に「そうしたら一世一代が、いかさまになってしまう」と笑われたという仁左衛門さん。記念的な舞台を観る事が出来、私にも幸せな時間でありました。
一世一代:その役を当たり役にしていた役者が一生の仕納めとして演じること。
◇歌舞伎座の前にいつの間にやらカウントダウン時計が…。
この日は午前中大変な雨で、芝居が終わり外に出たらなんとまぁ快晴!!
芝居の余韻にぽわ~んとしながら歌舞伎座を後にしました。
◆今回は勝手ながらコメント欄を閉じさせていただきます。