気の向くままに

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変わる図記号

2016-10-24 18:18:11 | 日記

 2020年東京五輪に向け、日本人に長く親しまれてきた絵文字が変わる。

▼経済産業省が、日本工業規格(JIS)の改正委員会で現在約140ある図記号のうち約70を国際標準化機構の規格に来夏から、そろえる方針を先ごろ示した。手のひらに斜線が引かれた「さわるな」を意味する図記号は、「近寄るな」と受け取られるため、手を横から見たデザインになる。

▼3本の湯気が立ち上る温泉マークは人の姿が加わる。現状だと外国人にはスープなどの温かい料理に見えるからという。伝統ある記号の変更に「日本最古の温泉記号発祥の地」を名乗る磯部温泉(群馬)が猛反発している。

▼♨の意味が訪日外国人に理解してもらえないなら改善はやむをえまい。本紙窓欄「若いこだま」にも、小学生が「おもてなし」精神から図記号一新に賛同する投稿を寄せていた。

▼温泉マークの由来は諸説あり、明治時代から地形図の記号として使われ始めた。手ぬぐいやお饅頭(まんじゅう)についたり、絵文字で送信されたりと庶民に愛されている印の一つに違いない。

▼時代の流れとはいえ「さかさくらげ」とも呼ばれる素朴な絵文字♨が温泉の図記号から消えるかと思うと、さみしいものがある。国際標準化の波。新しく変わることより、変わらないでいることの方が難しい昨今である。

 2016年10月24日 京都新聞