気の向くままに

終着はいつ、どこでもいい 気の向くままに書き記す

失敗は成功の…

2016-11-29 17:58:22 | 日記

 

 オランダから輸入したチューリップの球根の箱が、荷崩れを起こした。計50万個、数百種類の品種がまざってしまった。もはや選別は不可能、廃棄するしかない。会社の幹部が頭を抱えるなか、一人の女性社員が提案する。

 ▼「ごちゃまぜ」の「訳ありチューリップ」として、ネットで格安販売しましょう。「ほんとに何色が咲くかどれくらい偏るのか不明ですが送(料)込みですしめっちゃ安いので是非…」。ツイッターでPRすると、たちまち評判を呼び、2週間で完売してしまった。今月はじめに大阪の園芸会社で起きた、小さな奇跡である。

 ▼北九州市のテーマパーク「スペースワールド」では、サンマやイワシなど、約5千匹の魚を氷漬けにしたスケートリンクを呼び物にしようとした。「かわいそう」「気持ちが悪い」。こちらは逆に、非難の声が殺到した。

 ▼すでに魚を取り除く作業が始まり、来月には通常のリンクとして、営業を再開するそうだ。魚を氷漬けにして展示する「氷の水族館」は、全国で人気を博してきた。問題になるとは、担当者は夢にも思っていなかったようだ。人の心をつかむのは、なんとも難しい。

  ▼ヒットメーカーと呼ばれる人たちの本が、よく読まれている所以でもあろう。彼らも多くの失敗を重ねてきた。共通しているのは、そのなかから常に学ぼうとする姿勢である。

 ▼半年に1度、顕著な功績を挙げた社員を表彰する会社は珍しくない。同時に、大きな失敗をやらかした社員に「大失敗賞」を贈り、副賞もつく会社を小紙が紹介したことがある。「失敗を乗り越えるノウハウ」が得られるからだという。ピンチをチャンスに変えた園芸会社の例もある。スペースワールドの担当者の捲土重来に期待したい。

2016.11.29 【産経抄】