あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

猫と生きる人生。

2010-09-26 00:17:49 | アニメ・コミック・ゲーム

グーグーだって猫である〈2〉 グーグーだって猫である〈2〉
価格:¥ 1,155(税込)
発売日:2002-12
最近、『グーグーだって猫である』1巻を読み返してハマった私ですが、おくればせながら2巻、3巻も買いました。

1巻のラストの方にちょっと触れられていた卵巣腫瘍の手術についての顛末が、『人生の大晦日』という2巻冒頭の章に詳しく描かれ、なんとなく身につまされました。

私もひとり暮らしでこそないですが、おひとりさまで妊娠・出産経験がなく、婦人病のリスクは高そうだな~と思っているので他人事でなかった。

それにしても大島氏が人生の一大事に比較的落ち着いていて、毅然としているのには感心します。

おひとりさまこうあるべき、と、自分は無理かもしれないけど憧れます。自分の死にもしっかり向き合い、身の振り方やまさかの時のことをきちんとしておくのがマナーだなあ、と思ったりして。

もっとも、大島氏はまったくのひとりではなく、猫たちという家族がいるのでした。

しかも、最初は初めての猫故サバが去った後、グーグー1匹と始まった生活が、あれよあれよと家族が増えて……4巻以降も新しい猫との生活が描かれるのだなと思うと、楽しみやら、他人事ながらちょっと怖いやら……

そういえば、余談ですが読んでいてちょっと心にひっかかった描写がありました。

大島氏が退院したとき、グーグーがキャットシッターの方に愛想がいいのにショックを受けるのですが、ビー(2番目の猫《サバのぞく》)は意外と冷静で、拾い主が誰かを認識している。

そうして、大島氏は考えて納得するんですね。“ケガをして空腹で暗闇をさまよっている時、キャットシッターされたらだれだってその人を忘れない”

そのシーンで、5月に逝ったウチのあやを思い出したのです。あやは迷い猫だったのですが、1ヶ月たっても風邪が治らず、病院に連れて行きました。

そのとき病院が怖くてパニックになっていたのですが、「大丈夫だよ」といって撫でると、とたんに顔が穏やかになって、身を寄せてきたのです。出会ってたった1ヶ月でこんなに信じるものか、とちょっと驚いたのですが、あやもレスキューされたって感覚があったのだろうかと思いました。

閑話休題(それはさておき)。あんまりネタを割ってはいけないのですが、大島氏は3巻ではさらに大きな人生の転機を迎えます。それの遠因には、やっぱり猫たちの存在がある。

そうして、このシリーズではないのですが、大島氏が友達に桜の開花を追っての長い旅に誘われて、「サバがいるからいけない」と言い、友達が、じゃあずーっと先でもいい、と妥協したのに、それでも断って呆れられ、「それじゃ、結婚よりきつい束縛じゃないの!」と言われるシーンをふっと連想しました。

そう言われて、大島氏はなんと、その“束縛”ということに幸福を感じるのです。

人生はやっぱり、少し、不自由な方がいいのかな。人ってまったくの独りでは生きていけないものなのかな。

そんなことを思わされて、シンパシーと、多少複雑な思いとを同時に感じました。

このシリーズは5巻まですでに発行されているようで、大島氏の猫とともに生きる女の人生をまた追体験したい、と思っています。

コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 思い出のラジオドラマ | トップ | 正義という美酒 »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
>シンさん お返事遅くなってスミマセン[E:wobbly] (雨ふり猫@管理人)
2012-09-03 22:14:33
>シンさん お返事遅くなってスミマセン[E:wobbly]
なんか、何もしてないのに疲れてしまって……[E:sweat02]

ところで私も、大島さんの作品を読むようになったのは、『グーグー』以降です。
図書館に大島さんの傑作選があって、サバの短編読みたさに借りてきたものです。

私も少女時代は大島さんの作品は食わず嫌いでした。
女性特有の感性というか、複雑さがちょっと怖かったのです。
でも、あらためて読むと、この歳になったからかもですけれど、とてもいいんですよね。
私は『24年組』ではシンさんと同じく萩尾望都氏と、竹宮恵子氏のファンでした。
両作家はやや中性的というか、男性作家でもおかしくないテーマを扱うことが多かったように思うのですが、大島氏の作品は実に女性的、というか、少女的ですね。

自分も少女だった頃に読まなかったのが残念な気もしますし、いやいや、その頃の私にはやはり味わえないよ、という気もします[E:confident]

シンさんが挙げた中では、「秋日子かく語りき」が好きですが、また読み返したくなりました。
返信する
ご無沙汰してます[E:coldsweats01][E:paper] (エラティト・シン)
2012-09-01 15:16:58
ご無沙汰してます[E:coldsweats01][E:paper]

「グーグーだって猫である」単行本を全巻揃えるわ、白泉社文庫本の大島さんの作品をあれこれ買い集めるわ、今ちょっと、今更ながらの大島弓子ブームで盛り上がっております。

正直、大島さんがバリバリ新作描いておられた頃は、苦手な作家さんでした。
自分の価値観、感受性をモロに乗っ取られてしまうような、そんな強い吸引力、影響力を感じていたのかもしれません。

私は、『24年組』では、萩尾望都さんに傾倒していたと言えますが、萩尾さんの作品は、読者がエンタテインメントとして享受し、堪能する事を許してくれる感じがありました。
大島さんの作品には、「…で、あなたは、どうなの?どう思っているの?それはあなたの正直な気持ちなの?」と迫って来るような感じを抱いていましたね…あくまでも、当時の一読者の感想ですが[E:coldsweats01]


今回、昔の作品を再読したり、初めて読んだりしながら、「ああ、面白いな~[E:confident]こんな哀しい結末や不条理な結末でも、読者を不快にさせたり、絶望させたりしないんだから、大島さんって…大島さんって…本当に…プロフェッショナルなんだなぁ[E:sign03]」と、遅まきながら感動している次第です[E:coldsweats01]

「グーグー」での、自らの病気入院の件りにおいても、極力、ご自身の生の感情を露出せず、明るい局面、ユーモアを感じられる出来事を選んで描写されていたように感じました。
それは、「読者に読んでもらう」「読者に楽しんでもらう」事を、何より大切に考えて、漫画を描かれているからなんだろうな、と思うのです。

自らの感性を独特の表現を用いて描いている、のは間違いないにしても、それをただ、「自分の気の済むように描きたいように描いていた」訳じゃないんだ、と、本当に遅まきながら気付かされた訳なんです。

いやぁ、まさかあの、映画「グーグーだって猫である」からここまで広がるとは、私自身も思ってませんでしたが[E:coldsweats01](でも、あの映画は今もって、お勧めはしません[E:dash] こうやって大島さんの作品を読めば読む程、ますますそう思う[E:coldsweats01])

昔『怖い』と思っていた作家の作品を楽しめるようになったのは、いささかなりとも、私自身が成長したって事かいなぁ[E:coldsweats01]と、思うようにしてます。

ちなみに私がハマった作品は…
「ジイジイ」「サマタイム」「秋日子かく語りき」「8月に生まれる子供」「夏の夜の獏」「ダイエット」「ダリアの帯」「乱切りにんじん」「さようなら女達」、それと「サバ」シリーズであります[E:coldsweats01]
これらの作品のほとんどが、タイトルだけ先に決まっていて、後からウンウン苦しんで内容を考えていたって、ホントかなぁ[E:coldsweats02]と思いますけどね[E:coldsweats01]

では。残暑厳しき折、くれぐれもご自愛下さいますように[E:confident]
返信する
いや、どーも、不穏な表現を使ってしまってすみま... (エラティト・シン)
2012-06-23 01:00:46
いや、どーも、不穏な表現を使ってしまってすみません[E:sweat01]

映画については、大島弓子さんをモデルにした漫画家の、アシスタントをしている若い女の子を語り手にしていまして、この女の子についての描写が多かったんです。(演じているのは、上野樹里さん)
小泉今日子さん演じる(大島さんがモデルの)漫画家にしても、猫との暮らしよりも、それ以外の要素を描く部分の方が多かったんですよね。

この映画は、何を一番描きたいんだろう?
アシスタントの女の子?
漫画家の生活の、猫以外の要素?
観ている最中にそういう事を考えさせてしまうっていうのは、どうなんだろう?…って考えてしまって…

舞台になっている吉祥寺の街の描写と、映画冒頭とクライマックスに当たる部分だけあれば、私は満足してしまえる映画でしたが…

管理人さんがこの映画を観て、「も~エラティト・シンさんの目は節穴? この映画、ここがこんなに凄いじゃない[E:sign03]」みたいになったら、それはそれで大歓迎です[E:confident]
ボケーッと観てた私が、観落としてしまった部分を教えてもらえるなら、有難いですから。

ヒマはヒマなりに、悪い事じゃない、と自分に言い聞かせてます[E:coldsweats01]
こういう時にやれる事をいっぱいやっておこう…と考えていても。ろくな事してないんですけどね[E:coldsweats01]

では。失礼致しました…
返信する
こちらこそ大変ご無沙汰いたしました! (雨ふり猫@管理人)
2012-06-22 21:38:15
こちらこそ大変ご無沙汰いたしました!
私はちょっと先月末と今月初めに飛ばし過ぎ、少しヘロヘロしてました。
もう無理がきかなくなったんだなぁ、と軽くへこみました[E:despair]

私はよく言えばスロースターター、ま、ありていに言えばグズで怠け者ですので、今までの人生ヒマしてた時期は多々あります。
実際、去年は4月から7月いっぱいまで失業者でした。
でも一方、この年齢になりますと、人生山あり谷ありで、悪い状況もまたそう続かないとも思っていますので、
ヒマな時間が出来てしまったときはそれを楽しもう、とも思うようになりました。
私なんかが言うまでもありませんが、シンさんも楽しんで下さいますよう!

ところで、私は映画版『グーグーだって猫である』は観てないのです。
でも、観たいと思っていたので、あんまり出来が良くなかったのかな、とシンさんのコメントを読んで思って、ちょっとショックでした[E:bearing]
原作は先ごろ、完結したのですよね。
シンさんは最後まで読まれたでしょうか。どのような感想があったか、お聞きしたいものです[E:confident]
返信する
ご無沙汰してます[E:coldsweats01] (エラティト・シン)
2012-06-21 17:45:30
ご無沙汰してます[E:coldsweats01]
お仕事その他、色々お忙しいのでしょうね[E:confident]
こちらは、ただいま人生最大級のヒマしてます[E:coldsweats01]

この間、NHKーBSPで観た映画「グーグーだって猫である」…まぁね~漫画を忠実に映像化なんて出来ないもんね~しかしこの映画の出来上がり自体には、色々言いたい事があるぞ[E:happy01][E:annoy]な、私、つい本屋さんで原作文庫本の立ち読みを…[E:coldsweats01]

いけね~商売物に涙を垂らしたら申し訳ねぇだ[E:sweat01]と、ついつい買ってしまいました[E:coldsweats01]

猫はみんなそれぞれ違う、違っているから、どの猫もみんなそれぞれに愛おしい…[E:confident]
楽しさと寂しさと、自責の念をシャッフルした、大島弓子さんの猫ライフ…
そのスタートとなったグーグーの存在感に、今、かなりあれこれ考えながらも癒されてます[E:coldsweats01]
(いやネットで検索して、ちょっとショックな事実とか知ってしまいまして…)
まあとにかく、映画と原作は(当たり前ながら)全くの別物、として考えて、腹の虫を抑えてます[E:coldsweats01]
ファンとまでは言わないけれど、長年大島さんの作品を読んでいたからこそ、やっぱり原作に軍配を上げたい気分なのでした[E:coldsweats01]
返信する

コメントを投稿

アニメ・コミック・ゲーム」カテゴリの最新記事