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ジャカランダ 価格:¥ 1,890(税込) 発売日:2005-06 |
これは友達に借りた本です。
彼女はもともとこの本の作者“しりあがり寿”氏の作品が好きで、いままで何冊か貸してくれたのですが、その大半はギャグマンガでした。
しかも何も言わず、何の先入観も与えないで貸してくれたので、ちょっと内容に驚きました。
私の個人的感想ですが、これはとても恐ろしい本だったのです。
ストーリーは、作者自身があとがきに書いているように、きわめて単純です。
ある日突然現れた巨大な木“ジャカランダ”が、大都市東京を一夜にして壊滅させる話。
ただそれだけの内容なのですが、それだけに、膨大な死と、阿鼻叫喚の描写のすごいこと。ちょっとノンストップムービーみたいで、一気呵成にラストまで読ませます。
冒頭の凄惨なエピソードや、巨大な木が芽を出した時点での人間の呑気で滑稽な対応などを見ると、この物語にある種のメッセージを読みとることも可能でしょう。
でもやはり、作者があとがきで描いている通り、“ボクのアタマに一夜にして東京を壊滅させる巨大な木のイメージがうかび、それが300頁のマンガを描かせるほどに強かった”という、シンプルなスタンスで読んだ方がいい気がします。
ラストはカタルシス、というか、ある種の爽快感があり、それもちょっと怖い気もするのですが……。
しかし、ロバート・フロストの『火と氷』という詩を読んだときは、世界の終わりは火と氷だけかと思っていたのに、まさか、木、という選択肢があったとは……。
そうして、おそらく私はこの状況だと、生き延びて最後の光景を見ることはできないな、と思うと、少し残念だったです。
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