少女と雨 2008年10月14日 22時59分34秒 | オリジナル小説 雨の日は楽だ。 若菜薫はそう思う。 雨の日は誰も彼もが鬱蒼とした顔をしている。どれだけ普通にしていても、他人からよく呆としている、と云われる薫にとって、雨の日は自分のそんな表情が目立つこともなく、誰からも注目されることがないので楽でいい。 若菜薫は他人に注目されることが嫌いだ。 それは人付き合いが幼い頃から苦手で、さらに云うと、自分が他に人間とズレている、と感じているからだ。 いまでこ . . . 本文を読む